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私の撮影した写真を使って下さったクリエイターさんたち、本当にどうもありがとうございます!その中から、「こんな捉え方や世界観もあるんだなぁ」っと、個人的に気づきや学びを得た記事のま…
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#私の作品紹介

《連載ファンタジーノベル》ブロークン・コンソート:魂の歌声

前回 1.長く困難な旅ー(3) 「ひとつ質問してもいいかな?」  ジミーは、1966年型復元モデルサンダーバード・コンバーチブルのハンドルを握っているスザンナへ向けて言った。返事はない。スザンナの姿は大昔の映画に出てくる女優気取りだ。ロングスカーフを頭からすっぽりとかぶり、首のところでクロスさせている。 ジミーはスザンナの耳元へ顔を近づけた。 「スザンナ、質問があるんだ」 「何?」  スザンナの声が、首元ではためくスカーフの先端から飛んでいく。 「君って、事務所の

酋長

また休んでしまった 少しの後悔と 安堵が入り混じって 外の雨音に流される 雪にもならない 情緒のない街で 灰色だけの空が 人間の業の総量を 示しているみたいだ こんな日は 家にいるに限る そう思って 誰に許されたのか わからないまま いつもの自分が 顔を出す 生きてりゃいいさ 文明に毒されない 酋長のように あの人は歌った もうあそこには 戻れないだろうし 戦争はなくなっていない 生きてりゃいいさ 言霊よ 灰色の空の下 どこまでも 絶望を 流していくように