東日本大震災～もうすぐ10年～

はじめに

東日本大震災の時、皆さんは何をしていましたか？私は必死に岩手県大槌町(おおつちちょう)に住んでいる家族の情報を求め、ネット、テレビ、友人etcを使い探し続けました。しかし、情報を得ることができないと知った私は友人と一緒に被災している岩手県大槌町に家族の状況を知る為に向かいました。これは私の当時の状況を書いた自叙伝になります。決してハッピーエンドではないですが、読んでもらえればと思います。

地元に行くか？

岩手県上閉伊郡大槌町(かみへいぐんおおつちちょう)。私が生まれた町です。
2011年3月11日東日本大震災で津波と火事でめちゃくちゃになってしまった町だ。

2011年3月11日
当日私は会社を休んで、用事を済ませ、自宅で昼寝をしようとしていた。
2時46分。日本が揺れました。埼玉県自宅では揺れがそんなに強くなかった為、私はあまり気にせず、昼寝を続けようとしていた。
揺れが長い為、妻が叫びだした。
「ちょっと、長いけど、大丈夫。起きなよ。」
私もさすがに長かったのと、まだ2歳の子供がいるので起きてトイレの中にでも避難しようとしたが、ちょうど揺れが弱くなってきて、そして止まった。
地震大国の日本に住んでるので震度4の地震がちょっと長かっただけだと思い、又昼寝をしてしまった。この時、私はとても間抜けだった。日本で、地元で、何が起きているかなんて少しも気に掛けていなかった。この時、地元の家族に何が起きていたかを考えると本当に私は馬鹿で、間抜けな男だと思う。
まだ昼寝をしている私を妻が大きい声で起こし、日本がやばい事になっていると言い、ニュースを見せて来た。ようやく事態の大きさに気付いた。
すぐさま、母、父、兄に電話、メールをして、連絡を取ろうとした。全然取れない。頭が真っ白になった。その間、津波のニュース、火事のニュース、原発のニュース、色々な情報が入ってくるがほしい地元の情報は入ってこない。とにかく地元の状況がどうなっているのか知りたいと思い、ネットで情報を集めた。使ってなかったmixiやその時有名だったTwitterに登録して、検索ワード「大槌」で調べまくったが、出るはずがない。人口1万弱の町の情報を求めている人も又1万人くらいしかいない為、中々情報が見つからなかった。
私は昔、祖母から聞いた話を思い出しながら、実家は大丈夫と信じていた。
「町の中心地にうちがあるから、ここまで津波が来るって事は大槌町がおしまいなんだよ。だから、ここまで津波が来ることはないんだよ」って言葉を！
現実は違った。それが起こっていたのだ。航空自衛隊の映像をネットからようやく見つけ、実家が映ってないが、大槌町の中心地が海の中になっている事を知って、妻と絶望に陥った。https://youtu.be/gf2eQB2Ixyw
ここで大槌町が終わったんだと確信した。

しかし、まだ家が見えてない。まだ希望があるかも。とにかくもっともっと情報が知りたいと思い、探しまくったが、得られた大槌町の情報はこれだけだった。
そこから少しして、関東で働く地元の友達から連絡が来て、情報の交換をしたが、お互いに情報は何もなく、その時は少し話すだけで終わった。
ふとメールが来ているのに気づき、みると母からだった。
ただ一言？
「私は」
それで終わりだった。
何？「私は」なんなのか？続きが気になる。無事なのか？家族は？電波が届くとこに避難できたのか？
再度、電話をしたが、通じない。どうすればいいのか、どうすれば連絡取れるのか、不安は増すばかりで時間だけが過ぎていった。
そこから少しずつ、大槌町の情報も流れて来て、町長が死亡してしまったとか、公民館が避難場所だとか色々と情報が入ってきた。そこから今度は地元の家族がどうなったかを探しまくったが、情報が出てこず、とりあえずその日は寝る事にした。とにかく、無事に生きている事を信じるしかできなかった。

３月12日
朝から情報を集める為、ネットを活用しまくった。少しずつ、mixiに安否者の名前が出てきて、母の、父の、兄の、祖母の名前を探しまくったが、やはり何処にも載っていなかった。
とにかく、mixiで情報を載せてる人や情報を持ってる人に連絡を取りまくったが、わかりませんとの情報しかなく、なんとも言えない状況が続いた。
そのうち、テレビでは大槌町で火災が発生しているとのニュースまで流れてきた。どんどん不安がますばかりであった。
私は又友達と連絡を取った。友達家族もまだ連絡が取れないようだ。隣町の釜石に住んでる友達の嫁さんの家族とは連絡取れ、海沿いでない遠野という町までくると電波が通じる事がわかった。ただ、大槌の情報は全然える事が出来ず、友達が嘆いていた。そして、電話を切った。
そして、別の友達から電話。
似た情報があるだけ、その友達は海沿いに家がないので家が無事なはずだが、誰とも連絡が取れないのでどうしようか悩んでいた。それで電話をくれた。そして話している内に、友達が言った。

「地元に行くか？」