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絶対的アウェイの中での戦い

 先週の木曜日、新規の取引先となりえる相手が、話を聞いてくれるというので、部門長である僕自身が部下と一緒に説明に行ってきました。

 先方は誰もが知る大企業であり、豪壮な本社を都心に構えています。ただ、うちに強みのある分野においては、先方にとって重要なパートナーでもあり、組織の規模ほどは、立場的に差があるわけではありません。

 国と国の関係でいえば、先方が米国なら、うちはカナダとかイタリアといったところでしょうか。今回の商談は、先方にとってはほぼメリットがなく、本来ならば門前払いされても仕方ない話であるところ、そうした持ちつ持たれつの関係もあり、また、先方の内部でも一度、話を聞いてみてはと口利きをしてくれた人がいたので、実現したわけです。

 さて、行ってみたものの、向こうは話をしても得にならないと考えているところに心があるため、心を引き寄せる必要がありますが、まずは本題に入らないと、何しにきたのだろうということにもなります。

 本題を話をしていると、相手の表面を流れ落ちているのがわかります。ただ、いったん話を終える必要があります。

 僕の話がほぼ滑り落ちてから、先方の責任者からは、いきなりこんな話を持ち込まれても困る的な反応に加え、これが本当に実現すると思っているのかを訝しがっている様子。そこで、背景として、別な観点でメリットがあることを少し説明し、ここで、相手の表面に少しくぼみをつけて、わずかに水がたまったような感じです。

 あとは、本題ではない、もう一つの話題を振り込み、こちらは向こうにとっても、関心がないわけではないため、今度は少しずつ割れ目からしみ込んでいるような印象を受けます。

 そこからは、アイスブレイクに入り、立場を同じくする者同士、属する組織は異なれど、苦労は同じというような話になり、責任ある立場としての後進の育成とか、そんな話になり、最後の方では、こちら側の隠れ球を取り出して、相手に意外感を与え、面談は終わりました。

 正直、いきなりうまくいくとは、まったく思っていませんでした。目に見える成果はなかったわけですが、相手の手の内はある程度見えたし、こちらも見せた、印象には残せたし、相手が優位な中でも、変に卑屈にならずにフランクに話をして終えることができた、今後、すぐに花開くことはなくても、くさびを打ち込むことには成功した、そんな感じでしょうか。

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