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覚悟力

 「覚悟力」という言葉、僕はコンサルタントの藤堂昌恒さんの本で初めて知りました。

 この本と出会ったのは、今から7年前、役職が上がり、マネジメントと対外折衝の困難に直面していた時で、この本に書かれていた内容もさることながら、この「覚悟力」という言葉により、何とか逃げずに立ち向かおうという勇気をもらった気がします。
 この言葉自体は、今でもあまり一般的ではないようですが、その人の心の強さや決意、挑戦や困難に対する心構えを指す概念で、人間がどんな状況でも自分自身を信じ続け、困難を乗り越えて物事を達成するための重要な要素であり、覚悟力が高い人は、困難な状況に直面したときでもパニックにならず、困難な状況を乗り越えるための新たな戦略や方法を考え出す柔軟性を持つことで、落ち着いて適切な行動をとることができます。

 こうは書いてみましたが、困難に直面している時ほど、背後から更なる困難に体当たりされたりして、もともと心身が疲弊して足もとが覚束ないところ、不意打ちのダメージは大きく、心が折れそうになることがあります。
 また、疲弊していると視野が狭くなり、これ以上考えたくない、今の場所から逃れたいという心に占有され、新たな打開策のようなものは、思い浮かぶかもしれませんが、そんなゼロベースの打開策について、今から合意形成のプロセスを踏んでいる余裕はない、という気持ちになります。

 とはいえ、困難の岩肌に直面し、煮詰まっているぐらいなら、新しい道を切り拓く方が実は早道であり、現状に拘ることで、過去の選択を後悔したり、現状の不足を嘆くといった、不毛な消耗戦に引きずり込まれる前に、頭を切り替える力も、覚悟力次第というところは確かにあります。
 覚悟力を高めるためには、困難な局面においても自分を信じることのできる力、自分自身の強みと弱み、価値観、目標を理解する、自己理解と自己受容の裏付けがカギとなります。 
 こうした力は座学では得ることができず、困難な状況を経験することでしか得られないわけですが、自分のレベルにあった、取り組みやすい困難が、タイミングよくやってくることはなく、取っ掛かりさえよくわからない困難に直面し、何とか取っ掛かりを見つけるなり、石の目を見出して細かく砕くなりして、自分を落ち着かせ、状況を整理する中で、難易度を下げていき、何とか対処という段階まで持ち込む、そうした経験を積んでいく中で、自分に対する信頼性を高め、レジリエンスを高めていくしかありません。

 これも、書いてみると、ごく当たり前のことなんですが、行く手の困難が予想されることから、自分の中でいま一度、確認作業をすることで、現状の力量に加え、受け身の取れる技量を身につけて、仮に後ろから困難がやってきて倒されても、打ちどころが悪くてしばらく立ち上がれないような事態を回避し、最小限のダメージで、乗り切れるようにしたいです。
 困難は、乗り越えてみれば、人間を成長させるための糧になることは間違いないわけですが、できれば、それにより不得手なところに追い込まれてもがくのではなく、自分の強みを活かせる方策により、人生の推進力に転じられるような、困難に対する処し方を、体得したいと思います。



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