一時の感情に流されない

 やはり引越しというのは大変なので、母から引越しをやめたいような話がありました。一人暮らしになり、誰もいない部屋が多いのは怖いし寂しいということで、父の亡くなった直後から転居を強く希望し、それを実現しないとしきりに僕を責めていたのは母であり、東奔西走して何とか引越し先を見つけたのに、今さら引っ越したくないはないだろうと思いますが、一時の感情に任せ叱責しても、母の根源にある一人暮らしで寂しい問題は解決していないので、年寄りを精神的に追い込むだけで得策ではないと思います。
 かといって引越しをやめたらどうなるのでしょう。今の住まいにはとにかく居たくないわけで、膨大なコストと手間をかけて引越しを取り消したところで、一時的に引越し作業の労苦からは解放されるかもしれませんが、「半年かけて理想の住まいに向けた引越しを準備する」という、またも訳のわからない「青い鳥探し」を言い出して、その間は僕らを巻き込み続けることでしょう。土日は休みだから自分のことを手伝って当然だという母のスタンスに付き合い続けると、自分の人生の構造改革は進められないし、いずれ自分が疲弊して総崩れとなってしまいます。
 こうなればかかってきた電話にしばらく出ないという方法もありますが、これも実行してしまうと母のメンタルはその間で大きく落ち込むことになり、その間に憂いの底から誰かが引き上げてくれればよいのですが、そんな人はおらず、状況悪化してから結局は僕が対応するしかない、一時の楽が後での憂いの種になるという、これまた冷静に考えれば得策とはいえない展開が見えてきます。
 とにかく、ここまで来たら一時の感情に振り回されることなく、淡々と対応して、できることをするしかないですね。いろんな思いがあるけれども、そこは呑み込み、ただ毎日の時間は決めて、過度に振り回されることのないようにしたいと思います。

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