外局の乱立

 最近は国の外局、いわゆる「〇〇庁」というのが増えています。古いところでは消費者庁、観光庁がありますが、最近ではデジタル庁が創設され、今後、こども家庭庁、内閣感染症危機管理庁などもできるようです。
 「縦割りの打破」というのは聞こえはいいですし、旧来の省庁には疲弊したイメージがあり、政治や国民自身の覚悟のなさも含めてすべての不始末の責任を負わされているので、国民にやってる感を出すことはできると思います。また、民間登用とか言えば、これまでの体質が改められて良い方向に変わるようなイメージも作り出すことができます。
 しかし、結局はそうした外局についても、省庁から人を連れてこなければ組織を運営し、法令を制定運用し、政策を立案実行することはできません。トップの政治家と民間登用だけでは無理です。民間にも優秀な人材はいるのでそうした人を結集できて、さらに強い権限を与えれば動くのかもしれませんが、そうはならないのは、デジタル庁を見てもわかるような気がします。  

 中の人たちは頑張ってはいるのでしょうが、今までの省庁で進まなかったのは、役人の抵抗というよりその先にいる業界とか国民の少なくない人たちが世の改革の動きについていけないからです。そこに政治家もついていて、総論では外局をつくって進めようとしても、各論では自分たちの利益を損ねることには反対する、そういう構図だから進まないと思います。
 こうやって外局をつくると、政治的パフォーマンスに振り回され、屋上屋になり、疲弊するのは結局、官僚です。これからの時代、日本は下り坂の中で夢を見続けようとしていますので、官僚になるのは火中の栗を拾うようなものです。せめて、落ち着いて仕事できる環境を与えないと、人材が集まらない状況は改善されないと思います。

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