見出し画像

社会通念という高度な洗脳

 親子関係は円満であることが幸福度を高めることは確かですし、親孝行は誰からも褒められる行為です。親の恩を感じ、それに報いることは道徳や仏教の視点からも善行徳行とされます。そうした社会通念上のあるべき姿と、現実が違ってしまうことがあると、非常に心苦しい思いをします。
 こうした苦しい思い自体が、親に対する不義理をはたらいている結果だと思えば、ますます自分を追い込んでしまいます。無理をして、自分の幸せとは別なところにある親の幸せ実現にエネルギーを費やし、それどころか、自分が幸せになる前提として、親の幸せを達成することに尽力すべきとなってしまう。
 まずは自分の幸せが大事だと、さまざまな人や媒体から言われるのですが、社会通念という高度な洗脳は、そうした自分を守る努力を洗い流してしまう力があり、抗うことは容易ではありません。
 親子関係のみならず、社会通念はさまざまなところで人を絡め取っていると思います。もちろん、社会の安定のためには、大事なのですが、それを絶対視してしまう思考回路が、人を追い込み、悲劇を生み出しています。
 ずっと逃げ続けることは難しいにせよ、一時的な避難を容認する価値観と、居場所を社会の一部に確保し、灯炬として照らし続けることは大事であり、できれば僕自身、そうした役割を担っていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?