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K-POPのデザイン12: 虹をかけたJYP

JYP総合プロデューサーであるパクジニョン氏は、第2世代期にWonder Girlsとともにアメリカ進出を試みた。興行的には成功とは言えない結果であったが、その後の窮地をTWICEが救い今度はその彼女らとアメリカ進出を目指し大手 Republic Records とパートナーシップを結んだところだ。

一方JYPの新しいビジョンのひとつに「Globalization by Localization」というものあり、このフラッグシップとなっているJYP初の日本人グループNiziUではK-POPにおける音楽以外の育成文化やプロモーション戦略を日本に逆輸入的に持ち込み、次の時代のグローバル化を目指している。

NiziU結成までの物語「Nizi Project」については他でも語られているので、ここではこれまでの記事らしくクリエイティブ面だけ考えたい。まずMVとパッケージで考えられるパターンは少なくとも以下3通り。

①本国JYP型:MVはJYP御用達のNaive Studioが制作、パッケージはJYPのAD監修のもと外注してフォトブックメインの韓国式
②日本ローカライズJYP型:MVは日本のディレクター、パッケージはunited lounge tokyo制作で日本式ジュエルケース
③坂道グループ型:MVは日本のディレクター、パッケージはソニー・ミュージックコミュニケーションズ(SMC)制作で日本式ジュエルケース

プレデビュー曲のMVに関しては、現在の国を自由に行き来できない状況だから本国制作陣によるものなのか判断を待ちたいところだが、少なくともTWICEの日本ローカライズ曲と違いJYP本家のチャンネルから公開されている点からしても①が有力なのではないかと思う。

もしNiziUのパッケージデザインまでも本国制作になれば、日本語のアウトプットをどのようにマネジメントしてくるか見ものだし、さらにK-POPは知らないがNiziUにハマったという層が韓国式のパッケージにとっては本当に新しい経験になるのではないか。

ちなみに近年では日本語ローカライズのクリエイティブでも本国が担当することが増えてきている。SMの中でもRed Velvetの日本語版パッケージだけは例外的にずっと本国でミンヒジン氏が制作していた。TWICEの日本語MVも最近は「VISHOP」や「MU:E」が関わっており、SEVENTEENの日本シングルパッケージではデザイナー編で紹介した「studio gomin」、直近の日本語曲MVは映像作家編で紹介した「Rigend Film」が担当している。またローカライズのみならず、日本人グループJO1のデビューMVはアートディレクター編で紹介した「A:WE」がセットを担当している。

もちろん日本市場を意識したジュエルケースという可能性も消えたわけではないが、Sony Musicとの共同プロジェクトという点から、③の坂道グループのパッケージ等を担当してきた「ソニー・ミュージックコミュニケーションズ(SMC)」が制作する流れもワンチャン期待したい。またTWICEは日本でのレーベルはWarner Music Japanだが、2PMやStray KidsはSony Musicでどちらもソニー傘下のAniplexを通じてアニメ主題化を担当していたため、将来的にNiziUもタイアップすることは十分に考えられる。

日韓の間に虹をかけたJYPとNiziUは、プレデビュー段階のMV再生回数から見て取れるように、すでにトップスピードで世界的なファンダムを拡大させている。JYPはWonder Girlsでガールズグループの基礎を築き、Miss Aで多国籍メンバーの厳しさを学び、今TWICEでグローバルアイドルの天下を獲ろうとしている。そして今度は音楽だけでなく、その育成ノウハウやマーケティングまでもを新しい土地で浸透させようとしているのだろう。

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次回

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