「Little Letter」曲目解説（5）Home

使用ギター:ヘルマン・ハウザーⅡ（1958）
使用マイク:Schoeps CMC65

アメリカのギタリスト/作曲家、アンドリュー・ヨークによる名曲。
ギターのマスターピースとして、今後いつまでも弾き継がれる作品のひとつではないかと思います。

こうした、既に名演がいくつも残されている作品を録音するのは、自編曲のカバーとはまた違う精神状態になります。私はクラシックギタリストではないので既存曲を網羅したプログラムは慣れていませんし、やはり自作曲を中心にする性質なのだと思います。
この曲も、作曲者へのリスペクトは大事に持ちながらも、あくまで自分の音楽として発する事が（私には）必要でした。

タイトルの「Home」は、実に意味を広くとれる言葉です。
自分の場合は、家や故郷ではなく「原点」というのがしっくりきます。帰ってくる地点。
ギターを弾く私にとってそれは何かと問われれば、

「憧れ」と「好奇心」

という事になると思います。

メロディへの憧れ、音色への憧れ、それらの成り立ちへの好奇心、それが音楽家としての私の原点であり原動力です。

そのように曲に対峙すると、終止に向かう上昇音型、この曲の最後から2番目の音は（譜面指定通りではありませんが）あのように弾きたくなるのです。
原点に帰ってきたというだけでなく、また次へ出かけていくという方向性を、あの音に込めたつもりです。

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