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私のお友達(6)山本哲也

山本哲也(ギタリスト)

哲也さんとはここ数年よくご一緒するようになりました。特にコロナ・パンデミックが始まった2020あたりから本格的に共演を重ねるようになったギタリストです。

この人類が大変な時期により密に音を重ね、より言葉を交わせる関係性になったというのは、やはり大きな意味があります。
哲也さんとは、局面局面での感覚のベクトルが合い、共鳴できたのではないかと、ここ数年を振り返って感じています。

ギタリストとしての哲也さんの技量はもう飛び抜けて素晴らしいものです。
「アイリッシュ・ギター」という枠がもしあるとしたら、彼の視線と振る舞いは既に枠を超えて独自の立ち位置にあると感じます。
芳醇な音色、大胆にえぐるフレージングが生む鮮やかなコントラスト、そして終始繊細な楽音の処理。
底流にある「音楽(に限らず何か)に惚れ込む心」から、その全てが発せられるライブは圧巻の一言です。
彼のギターはいつまでも聴いていられます。一度40分1ステージ1セットで聴いてみたい…

彼とのライブは常にスリリングで楽しい。


哲也さんはアイリッシュに限らず様々な音楽を自分のソロスタイルに昇華させます。

私の楽曲「Inner Medium」を取り上げてくれた時には、単に嬉しかっただけでなく戦慄しました。哲也さんが楽曲から受け取ったものが外連味なく真っ直ぐに提示されていて、完全に新しい音楽になっていたからです。

深い眼差しで曲に切り込み、経験と技量で彫り上げ、完成したものは唯一無二の高みにありながら、しかも他者を拒絶しない。哲也さんの生き様の一端を見た気がしました。

「Inner Medium」という写真。

2人で話す時は、だいたい音楽及びミュージシャンの話、ギターや機材の話もけっこうします。
哲也さんも私も、どんなミュージシャンについてでも無碍に神棚に上げるタイプではないのでとても話が合います。

そして哲也さんは美しい風土や、お店や、芸術にも非常に敏感で、ツアー中の空き時間によく1人で展示会やカフェなどを見てきたりしています。つねに街に出てうだうだしている私とは大違いです。

2020年春、パンデミック真っ只中に2人で敢行したツアーは一生の思い出です。
あの時の「やりましょう」という言葉の響きは忘れられません。
これからもガンガン一緒にツアーで回りたいですね。

*お気に入りの1曲は、本文にも書きましたが、アルバム「INTO THE WORLD」より、私の楽曲「Inner Medium」です。
具体的に述べますと、この曲は同じリズムを持ついくつかのフレーズで構成されているのですが、彼はその全てを別のアプローチで表現しています。私の解釈は、リズムのリフレインと共に曲想を深めていくものですが、哲也さんはここでも”彫って”きたな、と感じました。ぜひ私の演奏と聴き比べてみてください。哲也さんの素晴らしさを、より感じていただけるはずです。

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