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「Little Letter」曲目解説(4)Looking at a Rainbow Through a Dirty Window

使用ギター:Ken Oya(2012)、Gibson J-50、中野潤(2019)
使用マイク:Schoeps CMC65

スコットランドのイーリアン・パイプ奏者、カルム・スチュワートが作曲した爽やかな名品。

私がこの曲を知ったのは、ハープ奏者の川島憂子さんの演奏でした。ライブの一曲目に演奏されていたのを覚えています。共演者だった私は、あつかましくも終演後すぐさま譜面をいただいたのでした。

長いタイトル。
「古びた窓越しに虹を見ている」
という情景も曲想にピッタリ合っていて気に入りました。


そのまま数年経ち、北海道の長沼で演奏した時のこと。
会場の「あまりや」は本当に素敵なスペースで、演奏者の背後には大きな窓があり、客席からは音楽と夕方の風景が楽しめます。
私が曲間のMCをしていると、お客様の1人が突然声をあげました。
「あ!虹だ!」

振り返ると雨上がりの空に見事な虹がかかっていました。田園風景がどこまでも続く長沼にかかる虹は、それこそ端から端まで見えるように感じました。

MCを中断し、みんなでしばらくの間、虹を鑑賞しました。

そして思い出したのが、川島さんに教えてもらったこの曲でした。古びた窓から虹を見ている。まさにこの時の我々ではないかと。

そこからギターアレンジにとりかかり、ライブでもお気に入りの定番曲となりました。


それにしてもこの曲、録音は難航しました。
ギブソンJ-50で録るつもりで、リハーサルもバッチリだったのに、どうも決まらない。少し録って聴き返しても良い音に感じず、どうしたものかと困っていました。
その時ご一緒していたギター製作家の大屋建さんが
「うちに調整に来ているギターを試してみてはどうか」とご提案いただきました。(大屋さんのお宅はスタジオから5分の距離)

早速試してみると、出て欲しいメロディがフレーズ終わりまできっちり出てくれて、すごく曲に合っていた!これはまさに幸運でした。事後報告にもご快諾してくださったこのギターのオーナー、鈴木さんには本当に感謝しています。

後日、Gibson J-50でストロークを、中野潤で副旋律をオーバーダビングして、ユニットアレンジにしました。
ソロ演奏がほとんどのアルバムの中で良いアクセントになると同時に、むしろ地続き感さえも生んでいます。
これは、誰もが共感できるメロディあってこそ、だと思います。

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