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中西理のアイドル論考

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演劇ダンスなどを批評してきた中西理がアイドルについて考えてきたこと、ライブ参戦のレポートなどを掲載します。
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#ダンス

【アーカイブ】ももクロとモー娘。のパフォーマンスの違いについての考察 ガールズ・グループの祭典 RAGAZZE!~少女たちよ!~@NHKBS1

地上波版は1時間だったが、この日は放送時間が2時間。AKB48のスペシャルメドレーを除くと全てフル尺で公開されたのはアイドル番組としては画期的なことではなかったかと思う。 トップバッターはももいろクローバーZ。いまももクロを持ってくるとしたらトップに置くか、トリとして最後に持ってくるしかないだろう。そのくらい現在の実力を存分に見せつけたセットリスト、そしてパフォーマンスであった。披露されたのは「ロードショー」「Chai Maxx」「天国のでたらめ」「走れ!-ZZ ver.-」

フィロのス、OCHA NOMA、アメフラが揃い踏み 歌舞伎町UP GATE↑↑@ Zepp Shinjuku (TOKYO)ほか

新しく出来たZepp Shinjuku。音響がよくVRなどの映像の使い勝手がいいというもっぱらの評判のため、そういう条件を存分に使いこなせる実力を持つAMEFURASSHIがここでどんなパフォーマンスを見せてくれるのかが、とても楽しみでチケットを取った。 直前というわけではないがこのフェスでは同じ会場をフィロソフィーのダンスやハロプロの実力派OCHANOMAのパフォーマンスも予定されており、動員、知名度はともかくこういう実力派のグループとの比較でAMEFURASSHIの実力の

乃木坂46のダンスパフォーマンス(レクチャーから抜粋)

 乃木坂46のダンスの特徴は群舞であることだ。その群舞も初期にようにほぼ全体で同じ動きをするユニゾンや少しずつ動きがずれながら移項していくカノン(輪唱)のような動きと比較的単純なものだったのが、次第に複雑なものに変化している。 乃木坂46にはそれほど詳しくない私には乃木坂46というと「ぐるぐるカーテン」のように身体は正面向けのままで両方の腕をゆらゆらさせようなイメージ。この頃の振付は南流石という人。「ぐるぐるカーテン」から5thシングルの「君の名は希望」までを振り付けています

AMEFURASSHI「FALL IN LOVE TOUR 2022」追加公演@代官山 UNIT

AMEFURASSHIツアー追加公演の代官山UNIT第2部に出掛けた。ツアー初日以来の参戦だが、初日にあった緊張が解けて、かといってツアー先の大阪、名古屋のようにぶっちゃけるということもなく、パフォーマンスの完成度の高さを見せつけるようなライブとなった。 K-POP系列のアルバム曲が中心だった前回の「Drop」ツアーから一転し、ロック系の従来曲、ダンスミュージックの色合いの強い最近の楽曲と同じ「アゲ」曲でも系統の違う楽曲を変幻自在に組み合わせ、ダンス&ボーカルグループとしての

AMEFURASSHI、アメフラ、3B 新旧楽曲を融合したライブ 「AMEFURASSHI FALL IN LOVE TOUR 2022」(2部)@KANDA SQUARE HALL

「AMEFURASSHI FALL IN LOVE TOUR 2022」初日の第二部を見た。前回のツアーが新アルバムを引っ提げてのアルバムツアーであったため、まだ節目となるライブでは未発表であった新曲「グラデーション」の披露はあるだろうと予想されたが、どんな方向性のライブになるのだろうということが予想しにくかったのだが、なんと「グラデーション」以外の新曲「Love is Love」も初披露され、さらに3Bjunior(3B)時代の楽曲やアメフラっシ時代の楽曲のアレンジや振付を

パフォーマンスの表現力 カギとなるジャズダンスへの入門 AMEFURASSHI シン・魂の公開稽古Vo.11 @恵比寿 The Garden Room

AMEFURASSHI シン・魂の公開稽古Vo.11 @恵比寿 The Garden Roomに出掛けた。パフォーマンス稽古(ダンス)として今回選ばれたのはジャズダンスである。ジャズダンスは二週連続で今回は一週目である。 ジャズダンスと言うとスタジオ系でダンスを学んできたコンテンポラリーダンサーにとっては基礎中の基礎なので、以前はダンスをずっとやっているけれどジャズはあんまり知らないという人はあまり居なかった印象があった。 ジャズダンスはどんな種類のダンスなのかという説

BTS、Dai-CE、Snow Manなど男性グループの曲もカバー。ノンストップで行うダンスミュージックのライブ「AMEFURASSHI ”SONG AND DANCE Vol.2"」@白金高輪SELENE b2

「AMEFURASSHI ”SONG AND DANCE Vol.2"」@白金高輪SELENE b2が凄かった。ハイライトがありすぎて、目移りするような展開。あーりんのポジションに萌花が入り佐々木彩夏ソロ曲「Lady Cat」をダンスカバー。BTSの「BUTTER」、Da-iCE「CITRUS」も歌、ダンスつきで完全カバーした。もちろんオリジナル曲もダンスに切れがあり、歌にもより勢いを感じた。Snow Manの楽曲を歌いながら、踊るなど女性ボーカル&ダンスグループとしてはこれ

多田淳之介インタビュー「Perfumeとももクロ」(「アイドル感染拡大」収録)

中西理(以下中西) 今回は「ももクロ論壇」(表題「アイドル感染拡大」)という批評誌に「パフォーマンスとしてのももいろクローバーZ」という表題で論考を書くことになりました*1。ももクロに代表されるような最近のアイドルのパフォーマンスが演劇の演出家の目にどのように映っているのかが知りたくて、今回の論考にもその作品が一部紹介され、アイドルにも造詣が深い演出家として東京デスロックの多田淳之介さんに話をお聞きすることにしました。きょうはどうもよろしくお願いします。 多田淳之介(以下多田

CROWN POP単独ライブ「豊洲に来て」@豊洲PIT

CROWN POP単独ライブ「豊洲に来て」@豊洲PITを見た。CROWN POPのワンマンライブを生で見るのは昨年8月の「CROWN POP STYLE」@Zepp DiverCity 以来だろうか。その間にフェスや配信では見ているとはいえ、ワンマンの場合満を持して仕上げてきている部分もあり、グループとしての成長を感じた。 特に目を見張ったのは田中咲帆のボーカリストとしての成長だ。クラポで歌と言えば三田美吹(いぶいぶ)の独壇場のようなところがあったが、この日は田中はその三田と

ポップダンス、ブレイクダンス……。アイドルの新たなダンス挑戦が魅力的。アメフラっシ 「シン・魂の公開稽古第三回公演」@新宿ルミネゼロ

愛来が足をケガのニュースが急きょ飛び込んできたのでどういう感じだろうと心配しながらの参戦。この企画は単独の自主的イベントからプラットホームを変えて、継続しているもので現在のフォーマットになってから第三回。会場も徐々に大きくなり、今回は客席250~300席の新宿ルミネゼロでの開催。  ゲストは第一部は予想通りにももクロのももクロマニアのマラソン大会の監修などでもおなじみの谷村真理。長時間のライブでも持ちこたえられるスタミナづくりという実践的な主題で、「ファンからすると意外かもし

論考「パフォーマンスとしてのももいろクローバーZ」その2

第1部「ダンスとしてのももクロ」(2) バレエやヒップホップといったジャンルダンスにはそれぞれに固有の動きやステップがあり、それはそれぞれのダンスの固有の歴史の中で構築されてきたが、米国のトワイラ・サープらポストモダンダンスといわれる振付家ではそうした固有の文脈以外の広範な動きを自由に動きに組み入れて、構成していくような振付がでてきた。そうした動きを受けてコンテンポラリーダンスでは日常のなかでのちょっとした仕草などさまざまな動きを振付に組み入れて自由に組み合わせることが行わ