マガジンのカバー画像

中西理のアイドル論考

107
演劇ダンスなどを批評してきた中西理がアイドルについて考えてきたこと、ライブ参戦のレポートなどを掲載します。
運営しているクリエイター

2022年11月の記事一覧

演劇と映像 二人の女性アーティストによる共同配信ライブ 宮崎企画「新作短編『回る顔』」@ライブ配信

宮崎玲奈(ムニ)は青年団演出部のニュージェネレーションのひとり。 今年1月に上演された前作 『つかの間の道』は若手の作品とは思えぬほどの完成度の高さに舌を巻いたが、今回コロナ禍で中止となった公演を受けて無観客配信となった『回る顔』も期待通りともいえる彼女らしい作品となった。 前回作品で宮崎作品をこのように評したがこれはそのまま今回の「回る顔」にもそのまま当てはまるといっていいかもしれない。 さらに言えば演劇における「表現すること/表現しないこと」に加えて、今回は映像撮影の小

乃木坂46のダンスパフォーマンス(レクチャーから抜粋)

 乃木坂46のダンスの特徴は群舞であることだ。その群舞も初期にようにほぼ全体で同じ動きをするユニゾンや少しずつ動きがずれながら移項していくカノン(輪唱)のような動きと比較的単純なものだったのが、次第に複雑なものに変化している。 乃木坂46にはそれほど詳しくない私には乃木坂46というと「ぐるぐるカーテン」のように身体は正面向けのままで両方の腕をゆらゆらさせようなイメージ。この頃の振付は南流石という人。「ぐるぐるカーテン」から5thシングルの「君の名は希望」までを振り付けています

AMEFURASSHI「FALL IN LOVE TOUR 2022」追加公演@代官山 UNIT

AMEFURASSHIツアー追加公演の代官山UNIT第2部に出掛けた。ツアー初日以来の参戦だが、初日にあった緊張が解けて、かといってツアー先の大阪、名古屋のようにぶっちゃけるということもなく、パフォーマンスの完成度の高さを見せつけるようなライブとなった。 K-POP系列のアルバム曲が中心だった前回の「Drop」ツアーから一転し、ロック系の従来曲、ダンスミュージックの色合いの強い最近の楽曲と同じ「アゲ」曲でも系統の違う楽曲を変幻自在に組み合わせ、ダンス&ボーカルグループとしての

パフォーマンスの完成度の高さを見せつけたアメフラ 新曲2曲ダンス、歌唱ともに圧倒的 AMEFURASSHI 「FALL IN LOVE TOUR 2022ファイナル」@横浜ベイホール

AMEFURASSHIの「FALL IN LOVE TOUR 2022ファイナル」@横浜ベイホールに行った。今回は1部2部両部に行くことができたが、いずれもこのグループの充実ぶりが分かる素晴らしいライブだった。ソールドアウトではないものの観客は両部ともほぼ満員で会場の熱気も最高潮となった。 この日は1部2部ともスタートの曲としてこの日初披露の新曲「Fly Out」が披露されたのだが、このツアーの初日に披露され、この日の深夜0時に配信も開始された「Love is love」と合

【連載第7回・完結】『ももクロを聴け!』の堀埜浩二さんにばってん少女隊『九祭』について聴く(7)

ばってん少女隊はダンスミュージックでありながら和のテイストも感じさせるような所属するスターダストプラネットのグループの中でもこれまでにないユニークかつ魅力的な楽曲がそろっており、個人的にも注目してきました。新アルバム「九祭」が発売になった機会をとらえアイドル楽曲に造詣の深い「『ももクロを聴け!』*1の著者、堀埜浩二さんに話を聞いてみました。 (ZOOMインタビュー発売以前の17日夜に収録。聞き手は中西理) 中西  次は渡邊さんの話をしたときにすでに話題に出てはいましたが「禊

【連載第5回】『ももクロを聴け!』の堀埜浩二さんにばってん少女隊『九祭』について聴く(5)

ばってん少女隊はダンスミュージックでありながら和のテイストも感じさせるような所属するスターダストプラネットのグループの中でもこれまでにないユニークかつ魅力的な楽曲がそろっており、個人的にも注目してきました。新アルバム「九祭」が発売になった機会をとらえアイドル楽曲に造詣の深い「『ももクロを聴け!』*1の著者、堀埜浩二さんに話を聞いてみました。 (ZOOMインタビュー発売以前の17日夜に収録。聞き手は中西理) 中西 初期の曲とかは別にしてばってん少女隊はボーカルのスタイルがほかの

大森望著「50歳からのアイドル入門」を再読

「ハロプロ」にハマったSF評論家・翻訳家の大森望さんが書き上げた、実用的アイドル入門書。初版が発行されたのが2016年2月。確かゲンロンのトークショーでそのことを知りすぐ購入して読んだのを記憶している。2016年2月というとももクロがアルバム「アマランサス」「白金の夜明け」*1を出した直後。 この後ももクロはDOME TREKと題する4大ドームツアーを開始。この時は札幌ドーム以外の大阪、名古屋、東京(西武ドーム)には出かけたから、かなりのめり込んでいる状態ではあったが、ももク

【連載第6回】『ももクロを聴け!』の堀埜浩二さんにばってん少女隊『九祭』について聴く(6)

ばってん少女隊はダンスミュージックでありながら和のテイストも感じさせるような所属するスターダストプラネットのグループの中でもこれまでにないユニークかつ魅力的な楽曲がそろっており、個人的にも注目してきました。新アルバム「九祭」が発売になった機会をとらえアイドル楽曲に造詣の深い「『ももクロを聴け!』*1の著者、堀埜浩二さんに話を聞いてみました。 (ZOOMインタビュー発売以前の17日夜に収録。聞き手は中西理) www.youtube.com 中西  やはり先ほど途中になってし

舞台「幕が上がる」2回目@ZEPPブルーシアター六本木

 舞台「幕が上がる」が映画「幕が上がる」と大きく異なるのは原作小説「幕が上がる」の作者、平田オリザが自ら脚本を担当したことである。映画版の監督である本広克行が舞台の演出も担当したとはいえ、脚本を喜安浩平(ブルドッキングヘッドロック)が担当し、さらにそれに監督、本広が手を加えた映画には「平田オリザの作品」とは受け取り難いところもある。  それに比べると演出までは手掛けないとはいえ、舞台「幕が上がる」は同時多発の会話など平田戯曲の現代口語演劇のスタイルがほぼそのまま反映されている