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ヨ式と筆のはなし

マシーネンクリーガーをきっかけに筆塗りでの模型製作を始めてからもう20年くらい経ちます。その間、いろんな筆を試してきましたが、ここ数年は文盛堂の「ハイセーブル:平筆」をスケールによってサイズだけ使い分ける、というところに落ち着いていました。
安定のハイセーブル、だったんですが最近ちょっと違和感を感じるように。

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文盛堂のハイセーブル。とっても安くてよい筆です。

そもそもがマシーネンから始まった筆塗り。
模型を始めた2000年当時は使う筆、やり方、全て当時のマシーネン界隈で良いとされたものを取り入れていました。筆はウィンザー&ニュートンの「Series 7」、陶器皿に入れたシャバシャバの塗料を重ねて色に深みを出していく…。

マシーネン原作者、横山宏先生のいわゆるヨ式塗装です。

で、これがもうやってみるとビックリするくらい出来ないんですね。
(正確にはまず出来ていない事に気付くまで結構かかりました)
シャバシャバの塗料を塗ると下地を舐めてしまうし、Series7も筆先が柔らかすぎて使いにくい。(ちなみにSeries7はとても良い筆です)

ひたすら塗りながらなぜできないのか考えました。
そして結論として自分にこのやり方は無理、という悲しい結論に…。

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バイブル「ヨ式講座」。読んで実践してまた読んで聞いて…出来なかった…

どうも自分は筆圧が高いようです。高い筆圧で濃度の薄い塗料をべたべた塗ればそれは下地なんて舐めて当然です。Series 7が柔らかい、ではなく力が入りすぎなんです。ついでに言うと不器用です。手先のコントロールが全然なってなかったんです。

手の動きというのは一朝一夕にどうになかる問題ではないので、やり方と道具を見直しました。その辺りを色々と試行錯誤した結果が、溶剤分の少ない塗料を使う、そしてちょっと硬めの筆、文盛堂のハイセーブルを使う、という今のやり方でした。

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出来てる感、でも出来てない。奥は本物。

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でもラッカー筆塗りがうまくいくとの独特の硬質感が出ていいんです。

10年近く自分流の筆塗りでやってきたんですが、最近ちょこちょこエアブラシも多用するようになって最初から最後まで筆、というのも減ってきました。
筆は最後に薄くタッチを加えたり退色表現を入れたり、という事をしばらくやっていたら不思議と薄い塗料でも使えるようになってました。

いつの間にか手先のコントロールができるようになった?
で、今の手には文盛堂のハイセーブルでは逆に硬すぎるって事?

なんだかそう思うと嬉しくなってしまって、先日新しい筆を買ってきました。

筆も以前は世界堂に行って片っ端から買う、という「地図を持たずに旅に出る」みたいなことをしてましたが、なんとなく自分に必要な要素が解ってきたので今回は候補3本で。

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結果、試して一番良かったのがAKAZAWAYAの「series 8064 フォート」。
文盛堂よりも穂先が柔らかく、塗ってみると塗料の当たりが凄く気持ちいいんです。

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お試し用に組んだ震電SF調で上塗り、ブレンディング等々色々試しました

筆は単純に新しいのを下ろすだけでもちょっと嬉しいんですが、今回は今の自分に合わせての新調なのでまた嬉しさもひとしおです。この筆なら前よりもっと色んなことが出来るんじゃないかという。

本格的にこれを使うのが今から楽しみです。

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