キワモノフィルムの使い方(机上計算編)

お値段もなかなかのキワモノ(¥2,280)

※公開当初最後のシャッタースピードの計算の大間違いをしていたので修正しました(2022/9/3 2:11)

横浜駅のとある写真店にキワモノフィルムが売っていたので買ってみました。
(というかフィルムめちゃくちゃ高いですね。LomoのカラーネガISO400が1本1380円ってどうなっちゃってるの。。。)

それが上の写真。左の水色のがISO1.6、右側がISO3というキワモノぶりです。
間違いなく三脚が必要になります。というか一眼レフで使ったらミラーショックでブレるんじゃなかろうか・・・。
こんな低感度だと当然露出計にも値がないので、絞り開放で撮るにもシャッタースピードがわかりません。
というわけで、机上でシャッタースピードを計算した上で撮影に臨むことにしました。今回は計算編で、次回が撮影編です。

事前知識として、こちらのサイトを参考にさせていただきました。
写真の露光量(Ev=Exposure Value)というのは

  • 絞り値(Av=Aperture Value)・・・F1.0を基準としてそこから何段絞ってるかで表す。数式にするとAv = log2(F値^2)です。

  • シャッタースピード(Tv=Time Value)・・・1秒を基準としてそこから何段あげているかで表す。数式にするとTv=log2(シャッタースピードの逆数)

  • ISO感度(Sv=Sensitivity Value)・・・ ISO100を基準としたときにそこから何段分高感度(低感度)かで表す。数式するとSv= log2(ISO感度の1/100)

この3つで決まります。
そしてこれらの数式は
 Ev+Sv=Av+Tv
という関係性にあります。
つまり、Evが知りたければ上記の式を移項し
 Ev=Av+Tv-Sv ・・・式①
となります。
なぜSvを引いてるか、一見すると分かりづらいかもしれませんが、要するに同じ露光量で高感度フィルムを使うとその分AvやTvは小さな値にしないといけない、ぐらいの認識で大丈夫です。

撮影機材にNikon F3+Ai NIKKOR 55mm F1.2を使用、撮影環境は晴天の海岸での適正露出とされるEv=15と仮定します。絞りは開放(F1.2)での使用です。
撮影環境と使用するフィルムのISO、それに絞りが決まれば自ずとシャッタースピードが計算できます。


<ISO3のフィルムの場合>
前述のようにEvは晴天下という仮定なので15で決まっています。
まずAv値の計算です。
 Av=log2(1.2^2)=log2(1.44)≒0.53
次にSv値の計算です
 Sv=log2(3/100)≒-5.06
今わかっている値を式①に代入します。
 15=0.53+Tv-(-5.06)
 15=5.59+Tv
  Tv=9.41
さてTv値が9.41の時のシャッタースピードは2^9.41で出てくるはずなので
 2^9.41≒680
これの逆数は1/680

はい、出ました。あれ、意外と速いです。
大抵のカメラでは設定できない値だと思うので、1/500でもよしとしましょう。
ネガなので大雑把でいいんです。


<ISO1.6のフィルムの場合>
ISO3の結果から大方想像はついていますが、ちゃんと計算します。
Svだけが異なるので、Svを計算します。
 Sv=log2(1.6/100)≒-5.97
同様に式①に代入します。
 15=0.53+Tv-(-5.97)
 Tv=8.5
 2^8.5≒360

というわけで、1/360ということになります。フィルムカメラで設定可能な近似値は1/250というところでしょうか。
一段違いますが、ISO1.6とISO3の違いなんて実撮影上は誤差みたいなもんですね(きっと)。

というわけで、本番撮影の設定は

  • ISO3・・・F値1.2、シャッタースピード1/500

  • ISO1.6・・・F値1.2、シャッタースピード1/250


で臨みたいと思います。果たして結果はどうなるか、気分はさながら遅すぎる夏休みの自由研究。この計算で大間違いをしていたら4500円分のフィルムがパーです。「撮影編」乞うご期待?!



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