最高の一杯

僕は学。大学2年生だ。僕には少し、悩み事がある。毎日、のどが渇いて、ペットボトルの水を買ってしまうことだ。
正直、大学生の身には、ペットボトルの110円は、なかなかボディーブローのように効いてくる。大学へは、週5日通っているので、月に約20日。
110円の水を20日買うと、2200円となる。これは大学生にはかなりの出費だ。漫画が4冊は買える。
しかも、500mlのペットボトルでは、足りないこともある。そんな時、時々は、大学の運動場に設置されている、水道水で水を飲むこともあるのだ。
そんな時、意味ねー!と叫んでしまいそうになる。そんなのだったら、最初から大学の水道水で、水筒なり何なりに、水を入れてそれを飲むとかすればいいと思うからだ。
でも、僕は少し意識高い系の男子なので(?)水道水は少しいやだとか思っている。1ℓの水が入っているペットボトルは160円と少し高いし、どうすれば良いかと悩んでいた。
そんな時、友達からある話を聞いた。大学からそんなに遠くないところに、そのまま飲んでも良いくらい、きれいな水が流れている川があるというのだ。
僕は、それを聞いて、これだ!と思った。そんなにきれいな水なら、週に一回くらい汲みに行ってもいいかもしれない。
僕はさっそく、コンビニで2ℓのペットボトルを買った。それも水が入ったペットボトルで、なんと値段は90円だった。安い。
とりあえず、その水を一日かけて飲み干し、友達が紹介してくれた、川にケイタイのgoogleマップで行ってみることにした。
バスや電車を使ってしまっては、交通費がかかってしまうので、自転車で行ってみることにした。大学から4kmくらい離れたところ。自転車で行けば、そんなにかからない。30分程度だろう。
少し自転車で走ると、商店街があるようなところから、ずいぶんと田舎っぽいところに出た。少し走るだけで、こんなに田舎になるんだなと思いながら、自転車を走らせた。
ここらへんかな・・と思った。Googleマップでは、50mくらい先と出ている。川の水の音が聞こえるような気がした。
あった。マップには小林川と出ている。
看板があった。蛍を取らないでくださいとある。近くに、蛍が出るような川があることが、意外だったし、かなり嬉しかった。
早速、その川に手を差し伸べてみる。冷たい。季節は春の終わりくらいだったが、水は本当に冷たかった。
これは美味しそうだぞ・・と心を膨らませる。空にした、2ℓのペットボトルに川の水を入れる。あっという間に溜まった。
いくら、そのまま飲めるといっても、一回家で沸騰させた方が安全だろうと思っていた。だから、その場では水を飲むことはせず、家に帰ることにする。
男の一人暮らしだ。寂しいこともあるが、親にとやかく言われないという利点もある。そこで、家に帰ると早速、ヤカンにその水を入れて沸騰させた。多分これで、水の中に微生物がいたとしても、死滅したはずだ。
そのヤカンを、とりあえず1時間くらい置いておく。だいぶ冷めたなと思ったところで、ヤカンの水を、ペットボトルに移した。
そして、冷蔵庫に入れて、2時間ほど。かなり冷めただろうと思ったので、飲んでみた。
美味い!コンビニの水も美味いが、自分で取ってきただけあって、さらに美味く感じる。
これを、風呂上がりの一杯として飲めたら、最高だろうなと思った。
そして僕は、週に一回は、あの場所に行こうと心を決めるのであった。

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