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Dyson Sphere Programで人生を吹き飛ばさないために

あまりにも魅力的すぎて止め時の見当たらない、極めて完成度の高いゲームのご紹介をさせてください。

しかしゲーム内容より、まずはこれをご覧いただきたい。

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プレイ時間29時間なんて、大して遊んでないじゃんって思われる方、そのとおりです。ですが僕はこの間5時間睡眠をとった以外は、ずっとこのゲームで遊んでいました。ほぼ連続で29時間を燃やしてしまいました。仕事もせずに。

若い方には伝わりづらいかもしれませんが、人間ゲームを遊びすぎると死にます。肉体的か社会的か、どっちか早い方が理由で死にます。

いい歳こいた大人が、心臓の鼓動が明らかにおかしくなり命の危険を感じたり、もうやめなきゃ普通の生活に戻らなきゃと心の底から強く思いながらもゲームから離れられないとなれば、それはそのまま続けたら死ぬでしょう。

Dyson Sphere Programは、そういうゲームです。知らない方が幸せだったまである。

工場ゲームの大傑作

Dyson Sphere Programは、2021年9月現在Steamでアーリーアクセス配信中のゲームです。アーリーアクセス、つまり未完成状態での公開ながら、評価は堂々たる「圧倒的に好評」

ジャンルはいわゆる工場ゲーム、その特徴は星系をまるまる開拓しつくすスケールの大きさにあります。

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綺麗ですね、わくわくします。馬鹿が、お前はここで俺とともに死ぬのだ。

背景の細かなことは各自ぐぐっていただくとして、最終的には星系をまるまる一つ開拓し、中心の恒星を巨大太陽電池「ダイソンスフィア」に変えてしまうのが目標です。

で、初めはこんな感じに開拓ロボットで資源惑星の地表に降り立つところからはじまるのですが、

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こんな穏やかな景色が

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13時間少々遊べば、この有様。
しかしこれでほんの序盤の序盤、基本惑星での資源採掘と加工の自動化が軌道に乗ったかどうか…くらいのところです。沢山遊べますね。

しかし真に問題なのは、この13時間はほぼ無休憩で遊んでしまっているところです。

普通のゲームなら休憩なりなんなり挟みながら遊び、一日一時間とか二時間とかを上限にしてすっぱりやめてまた明日と(やろうと思えば)できるところを、このゲームは呪われているのでできません。気絶寸前まで遊ばされる羽目になります。どういうことなんです?

このゲームの何が特異なのか

中毒性の高さは、この種の工場ゲームに共通するものです。素材の加工とクラフトの連鎖は果てがなく、際限なく遊んでしまいがちです。
僕もそこそこ好きな方で、自分から追い求めはしないものの、うっかり触れるとおサルめいて無限に遊んでしまう傾向があります。

例えば僕の場合、スケールはやや小ぶりながら、ネズミの可愛さと相反するハードなSF観が魅力的な「サバクのネズミ団!改。」のプレイ時間は100時間以上と表示されてしまいました。

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なるほどなぁ。いやさすがに離席時間もカウントされていますが、相当に夢中になって遊んでいたのは事実です。

そしてDyson Sphere Programは、惑星系をまるまる相手にするというスケールの大きさで魅せてきます。こりゃいつまで経っても遊びきれないなあ、どんだけ時間が溶けてしまうんだろう。

とかそういう話をしたいのではありません。なんの覚悟も無く手を出すと、僕のように死にかけるという話をしたいのです。

本作の特徴は、ソフトとしての異常なまでの完成度の高さにこそあります。
一般にインディーゲームのアーリーアクセスというのはバグが多かったりバランス調整の煮詰めが甘かったりするものですが、本作は既に完成しているといっても過言ではない出来です。そしてその出来の次元がとてつもなく高い。

特にこの完成度の高さというのが本当に恐ろしくて、UIひとつとっても、あらゆる操作が直感的かつショートカット完備。ものすごく快適に遊べてしまいます。決して奇をてらったUIではないながら、あまりにも練られすぎている。ぱっと見こそ凡庸なのですが、遊べば遊ぶほどゲームへの没頭を妨げない作りになっている事実に打ちのめされます。

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こういう画面だけ見ると、普通っちゃ普通に見えるんですけどね。

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素材レシピがマウスホバーだけでいつでも表示されたり、

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建築設備のコピペができたり、

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常に操作説明が表示されていたり、

きょうび当たり前なのかもしれませんが、この当たり前が行き届きすぎていて、息をする様に採掘施設を建て、工場を建て、コンベアのラインを引いてしまいます。資源生成のツリーがわかりやすいのもあって、ひたすら生産とラインの管理最適化に没頭できてしまうのです。

多くのクラフト系ゲームが「やることをやりつくす」前に「要求作業がどんどん複雑になってくるのに操作が面倒でやめた」となりがちなのを思うと、本当に恐ろしく快適な作りです。善意で舗装された地獄への道です。

ソフトウエアとしての完成度の暴力

しかし、ただただ出来が良いだけでは、夢中になるのには限界があります。
ここで前の話に戻るのですが、このゲームは惑星系をまるひとつ開拓し尽くすという壮大なSFゲーム。スケールの大きさで魅せてきます。それもただただスケールが大きいというだけでは誇大妄想狂の戯言に終わるところなのですが、

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シームレスに他の星へ行けるんだよなあ。

星系ひとつ相手にするにあたり、ロードを挟んだり特別な手順を挟んだりの様なしらける要素はありません。究極のオープンワールドゲームかもですね。気分と燃料次第で、スペースキーひとつで大気圏を脱出して他の星へ飛んでいけます。

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心細くも胸躍る、初めての惑星間航行。

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ちなみにこれが現在開拓中の惑星系、

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そしてこれが星系全体図。だだっ広ーい!!!

観光気分でガス惑星の見物に行ったり、ブラックホールに行ったりもできます。こいつらも後々資源になるらしいですが。冒涜的すぎる。

つまり、設定の壮大さを快適かつ作り込まれたUIと高度な技術力でもって、まるっとPC上に顕現せしめている。これが問題なのです。

あまりの技術力の高さに、プログラマとしては素で嫉妬するレベル。馬鹿じゃないのって気持ちと降参ですという気持ちがないまぜになって、呑まずにいられないやつです。むきー。

以上、あまりに完璧なゲームなのでさあ買った買った。そして僕と一緒に生産性をドブへ捨てたらいいよ。GPU負荷も高くて二倍お得。

締め切り抱えてる最中だったら本当に死ぬところでした。

なんかケチつけて

一応バグというか、ベルトコンベアの高さの調整をちまちま動かすと置けてはいけないはずの高さにコンベアを置けるとか、そういう地味な何かはあります。が、逆にそのくらいしかケチのつけどころがありません。本当に欠点の見当たらないゲームです。研ぎ澄まされています。
悪いところはピンポイントで人生を破壊しかねない中毒性だけであり、そこがこのゲームの最高に邪悪なところです。

・水を電気分解できないのに水素を大量要求されるとか
・いかにもありふれてそうなチタンが初期惑星には全然無いとか

そういう私怨めいた何かはあるものの、これはゲームバランスには一切影響しない話なので、それはそうなんでしょうで終わり。はい。

ですので、僕は開拓に戻ります。仮想世界の2000億人民(てきとう)が、僕の届けるエネルギーを待っているのです。
みなさんは自分の人生を大事にしてください。

余談

ゲームエンジン、Unityらしいですよ。僕の知っているUnityと違う。

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