表出した怒り

怒りの感情が苦手だ。
自分が抱くことも、他者が抱くことも、その感情が表出することも。
放たれた怒りは何よりも重苦しくて、空間に溶け出した怒気に触れるだけで身体は妙に誇張された危険信号を訴える。

放たれた怒りが存在するということは、怒りを放つ人間が存在するということ。
鈍く錆びついた凶器のような感情を、人に向けることができる人間が存在している、その事実だけで私はこの世に対する期待を諦めることができる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?