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繊細で、優しくて・・・不登校 2

不登校だけど、高校は行きたい

 今年度は学校に行かないと決めた息子。
 宿泊学習の後、夏休みに入ると、過敏性腸症候群はたまに現れるものの、頻度が激減し、仲の良い友達ともよく遊んでました。束の間の休息・・・。自分だけじゃなく、みんなも学校が休み、という状況は気が楽なのでしょう。永遠に夏休みなら良いのに!

 本人に、中学卒業後の進路の希望を改めて聞くと、
「高校に行き、好きなことを学べる大学まで行きたい。」
 と、そこは以前と変わらず。はっきりしていました。
 親としても、現代の日本で、体力がなく精神的にも脆い息子が、親亡き後も生きていく為には、少なくとも高校卒業はして欲しい。これが、綺麗事抜きの切なる願いでした。
 
 どこでも良いわけじゃなくて、息子が希望する「行きたい高校」を目指すなら、うかうかしていられません。中二の学習内容が、高校入試において最も比重が高いことを知っている私はまたもや焦っていました。1学期は勉強どころではなく、ほぼ欠席だったので、抜けている部分が沢山あります。

 学校に行かなくても、そこに通えば出席扱いになる。日中通って、人と交流したり勉強できる場所。そんな所は無いか、血眼になって探しました。


選択肢は3つ

 探してみて驚いたのが、我が家が選べる選択肢は下記の3つしか無かったことです。田舎だからでしょうか・・・。

  1. 適応指導教室(各市町村に設置)

  2. トライ式高等学院中等部(民間フリースクール)

  3. すらら(通信教育) 

 1の適応指導教室は、費用は無料。運動ができる小さめの体育館もあり、施設も綺麗で、聞けば先生が勉強のわからないところを教えてくれる。
 ただ、学習計画を一緒に立てて伴走してくれる感じではなく、あくまで、自分で問題集など用意して、わからない所があったら空いている職員に聞いてもいい、という程度のものでした。
 この形式だと、息子のように遠慮がちで大人しい恥ずかしがり屋は、全く質問できないことが予想されます。
 見学して、息子は、

「学校っぽくて嫌だ。」
 
 と、拒否。教育委員会がやっているので、そりゃあ学校っぽいですね。     
 それに、うちから通うには、本数が少ないバスを乗り継がなくては行けなくて、弱った息子が一人で通うには現実的では無かったです。女子しかいなかったのも、マイナスポイントでした。

 
 2のトライ式高等学院中等部は、駅前の通いやすいところにあり、塾っぽいので息子も抵抗感が少なかったです。夕方からは実際塾になり、日中は、不登校の中学生や通信制高校のサポート校として利用する高校生が通っています。

「人によって傷つけられた傷は、人によって癒したい。」

 という教室長の言葉に、そうなればどんなに良いか、と希望を抱きました。

 授業はプロ家庭教師とマンツーマンで、コマ数を買う形です。
 費用は、3つの中で一番高額で、週一回・1時間の授業で、確か月2万円くらいでした。授業回数を増やせば、さらに金額は上がります。でも、プロ家庭教師がマンツーマンで教えてくれるので、これでも通常よりは相当安いらしいです。

 
 3のすららは、オンライン学習で出席扱いになるシステムです。わからないところまで戻って学習できるし、家に居ながらにして出席もゲットできるという素晴らしいシステムですが、できれば、家に引きこもらず、少しでも外に出て欲しかったので、もし何もかも無理だった場合の控えとして考えていました。

 

新たな苦役

 
 検討した結果、息子はトライのフリースクールを選びました。
 日中、いつでも行って良いのですが、この頃、やはり、人間不信が強く、新しい場所に行くのはハードルが高かったようで、全然行きませんでした。   出席を稼ぐために、頑張って行っても、30分もしたら帰っていたようです。

 やはり、それぞれ事情があって通ってくるだけに優しい子が多く、一緒にお昼食べよう、など誘ってくれてたようですが、息子の中で、中3になって、クラスが変わったら学校に行くと決めていたので、仲良くなっても別れる時悲しい、と、いう理由で断っていたようです・・・。

 勉強の方は、息子曰く、自分と性格が似た先生が担当になり、息子はこの先生をとても慕っていました。しかし、貴重な週1回の授業がある日も、過敏性腸症候群の腹痛が出て、行けないということが良くありました。
 キャンセルは前日までなので、その時にならないとわからない過敏性腸症候群の性質上、コマが無駄になることも多かったです。

 1回1回が高額なだけに、裕福ではない我が家には、ゆったり構えるのは難しかったです。だって一回5千円!
 授業に行けない息子を、仕事先から電話で何度怒鳴ったか。何度泣くまで叱ったか。
 
 今思えば、この時の息子はとてもじゃないけど、新しいところに行って勉強する、っていう状態では無かったのです。
 それをあれこれ情報を仕入れて、焦って、追い立てるように次のフェーズへ向かわせてしまった私。
 息子本人も今の状況をまずいと自覚しているから、足を引きずるようにしてそこへ向かう。

 腹痛になるのは、わざとじゃ無いのに・・・やる気がないわけじゃないのに・・・そもそもこうなったのも、息子のせいじゃないのに・・・。

 そう、この理不尽に我慢ならず、なんとかしたかった。少しでもこれが息子の将来に、不利にならないようにしたかったんです。怒りが私を突き動かし、もがいていました。
 でも、私がもがくことで、息子に新たな苦役を背負わせていたと、今ならわかります・・・。
 


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