蒼と青 たまにグレイ
湘南
もう響きが九十九里浜とは違う
江の島 鎌倉 R134
あの頃千葉県に住んでいた若者には、何故こんなに違うんだろうってくらい湘南はブランドだった。
20歳だったかな もう記憶は朧気だけど、湘南江の島にドライブに行った
ナビなんてないけど高速走って彼女じゃない子と行ったんだよな
その子、中学の同級生で 中学のときとても好きだった
でも親友の彼女になったんだよね高校の時。
その親友と久しぶりに会ったとき、その子と別れたと聞いた
その時俺も彼女と別れたばかりだった
俺、特にチャンスとか思ったわけじゃないけど、その子に電話してドライブ行かないかって誘ったんだよな
そして海に行きたいとのリクエストに応えて、どうせなら江の島行こうぜとなったんだよ
5年ぶりに会ったその子は、相変わらず可愛いし、尚且つ化粧なんかしてるもんだから、もう俺は太刀打ちできないくらい大人の女性になりかかってた。
同級生って小学生の時からだけど、圧倒的に女子のがいろいろ早いですよね
その日はたしか平日 とても良い天気だった
青い海、でも空との境界は分かる 紺碧とは少し違う蒼い空の色
青 蒼 遠くに少しだけ薄い灰色の雲
お互い特に突っ込んだ話をするわけでもなく、ただとりとめのない話をずっとしていた
夜、せっかくだから中華街で食べていこうぜって。
そもそも中華街はそれが初めてだったけど、悟られないように とにかく高そうな店なら大丈夫かなって学生の分際で立派な門構えのお店に入った。
中華ってラーメン食べるわけじゃなくて、一皿一皿頼むんですよね
ですからとても時間がかかる分野
時間はどんどん遅くなっている
そして此処は千葉県じゃなくて神奈川県横浜市。
帰り道、2時間はかかるよな。この流れ、俺の取るべき道はどれだ?
話をしながらも違うことを考えてる俺
帰り道、今度は車の中はずっと沈黙。ただひたすら。
もし、今の俺ならば なんでも言ったしなんとでもしたでしょう。
その時の俺の頭の中は、灰色一色。モヤモヤで埋まっていたと思います。
朝から夜中まで一緒にいて、あんなに青の海を見続けて
俺はその子にいくらでも告げることできたのに。
ただ、二十歳の俺は、まだ蒼かった。
気分は青 蒼 たまにグレイ 送って1人帰る俺の気持ちは もう青をグレイが埋め尽くしていた。
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