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デレマスの総選挙の商法の独自解釈。

デレマスの総選挙の商法の独自解釈

なんとまあデカい金が動くゲームシリーズなのだろうか、アイドルマスターシンデレラガールズ。毎月数億単位で金が動くらしい。
そんなデレマスは毎年「総選挙」が開かれる。幾多のオタクが泣いて笑ってキレて炎上するところが目玉だ。

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毎年Twitterは地獄化する。

適当に入った大学でそういったマーケティング、実際の運営の理論を軽く学んだのでその知識を活かしてデレマスの悪魔のような商法を紐解いてみたいと思う。

ただ、留意しておいて欲しいのは私はこういった知識を1年と少し齧った程度で、根拠もデータも無い私の憶測に過ぎず、素人の妄言である。運営は微塵もそんな事を考えておらず、私の言っていることは全くの出鱈目かもしれない。


まず、大前提に置いて欲しいのは

どれだけ綺麗事を言おうとこれは金稼ぎであり、
キャラクターは金稼ぎの道具であり、
キャラクターは金稼ぎの手段であり、
キャラクターは非実在の存在であり、
キャラクターは感情を持たない。

運営にとってこれは商売であって、失敗は即死活問題に変わる。

そのため多少の強引な手段であっても、それを享受したいのならば我々は受け入れるしかあるまい。

逆に言えば、我々がそれを享受するために犠牲にするものが見合わないと判断すれば容易に切る事ができる。

何故なら我々は殆どの場合、こう言ったものは趣味で楽しむものだからだ。

それでは本題に移る。

セグメントという単語がある。これは本来、マーケティングに於いては購買者を「年齢、性別、家族構成、収入等々で分類した」モノである。
今回のこの文章においては「オタクセグメント」という言葉を独自に使う。要はオタクを分類するのである。黒髪好き、ツンデレ好き、ヤンデレ好き、清楚好き、お嬢様好き、元気っ子好き、ロングヘアー好き等々…

アイドル、二次元キャラクターは元々この世に全く存在しないモノである。
裏を返せば、自由に創造が可能で製作者の采配次第で個性を幾らでも付与出来る。
(アイドルマスターシリーズの場合この個性は二次創作において付与されていくことも多いが)

例えばロングヘアー +八重歯 +元気 +野球 +可愛い という子は中々現実に存在しないだろうが、二次元においては簡単に製作できる。何故なら現実に存在しないから。

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いたら良いけどね。

キャラの個性は強みである。ロングヘアーのキャラはロングヘアー好きが引っかかるだろうし、清楚なキャラは清楚好きが引っかかる。そう単純に考えてもらって良い。


ここでデレマスの悪魔の所業は既に片鱗を見せる。
キャラクターが190人(韓国組を入れるなら193人)存在するのだ。

様々なオタクセグメントに対してそれぞれヒットする個性を持ち、尚且つ顔が良い人間を探してアイドルに仕立て上げる、と言うのは現実ではかなりの労力だ。
もちろんコストがかからないとは言わないが、下調べした「ウケる」法則に沿ってキャラクターを作り出す方が遥かに楽なのは想像に難くない。
様々な人間にヒットするキャラを揃える事が出来るのは二次元の強みである。

八重歯キャラが好きな人。元気っ子が好きな人。20歳という設定が好きな人。
これらのオタクセグメントを一人に収斂させる事が出来る。

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また、同時に一人の人間に複数のキャラをヒットさせることも出来る。
単純に言えばロングヘアー好きな人にとっては、
野球好き娘、歩く清楚、セクシーデリバリー、純和風着物娘、美術館好き大人しめっ子辺りがヒットする事となる。
ワンフォアオール、オールフォアワンでは無いが、それに近しい性質を持ったキャラを基幹にしている事はなんとなく想像できると思う。
好きな属性が1つだけ、という人も大概少ないと思うのでそれも考慮し始めると指数関数的に膨れ上がっていく。

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それにユニットで展開させるだとか、共演させるだとか、仲が良い設定を付けたりするだとかを行なっていくとかなりの多方面をカバーできる事となる。


そして運営はこの「個性」を使って血も涙も無いような商法を展開するのである。

明らかに運営から与えられている「個性」に格差があるのである。
言っちゃ悪いが、人気が底辺にあるキャラと上位にあるキャラではそのキャラクターの魅力度、持っている個性の質が全く違う。人気があるから個性が付与されていった、個性があるから人気になっていった、と考えるのは卵ヒヨコ問題になってしまうのでこの場合は深く追求しないが、個性の格差があるのは誰もが認識していることだと思う。

あくまで個人的解釈だが)この格差はわざとである。

ここからはキツい言い回しになるが、人気の無いキャラのファン層を「マケグミ」、人気のあるキャラのファン層を「カチグミ」と称する。これは格差がある事をとある小説に倣っての表現であり、個々のキャラとそのキャラを好きな人を貶める意図は一切無い。

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デレマスは単純に言えばマケグミがカチグミに憧れる構図を作り出している。

マケグミはカチグミに比べ、普段「嬉しい」事は少ない。
この場合の「嬉しい」事とは、イベントへの選抜であったり、ボイスであったり、SSRであったり、要は出番の事と言い換えられる。逆に言えば、今回のカチグミは「出番が多いキャラのファン」と言い換えることも出来る。

前述の通り、本来キャラは現実には存在しない空想上の存在(声優等は別にして)なので感情を持たない。キャラが登場して嬉しいのはそのキャラが好きなファンであり、悲しいのも同じくファンである。

このゲームに於いて、カチグミとマケグミが得られる差はかなり大きい
故にマケグミはカチグミが非常に羨ましくなる。マケグミはカチグミにのし上がりたくなる。
そこでマケグミがのしあがれる手段として、一番わかりやすく提示されているのがシンデレラガールズ総選挙なのである。

仕組みは単純明快で、好きなキャラにみんなで金を注ぎ込めば順位が上がる。
(基本無料ゲームは全く別の理論による理由で、無料ユーザーは一定数必要なため無料ユーザーへの選択肢も用意される。)
マケグミは良い思いをしたい。一番それに近づくのに手っ取り早い手段は金を払う事。
これで晴れて、マケグミユーザーが課金する状況の出来上がりである。

カチグミだってぼーっとしている場合では無い。いつ自分がマケグミに落ちるかは分からない。そのためカチグミで居ようと金を払う。カチグミユーザーの課金というシステムの出来上がりである。
この商法の悪魔めいた所は、そもそも個々のカチグミと個々のマケグミの絶対数が大きく違うため中々その差が埋まる事が無い、と言う所である。

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また、カチグミの中にも格差は存在する。カチグミはカチグミの中でまたのし上がろうと闘い合う。この場合の「嬉しい事」は例えばシンデレラガールに選ばれるとか、ランクインするとか、公式からの言及が増えるとかそういった話である。
カチグミの上位戦争は、其々のカチグミが多い分熾烈になる事が予想される。

そしてこの商法をややこしくしているのが、カチグミとマケグミの交差状態である。

先程述べた通り、デレマスはセグメントに基づき、個性を持たせた大量のキャラで絨毯爆撃を行う。その結果、好みのキャラクターが1人2人に留まっている人間は少ないだろう。
複数のキャラクターが好きな状況で、キャラ全員が同じように人気があれば良いが現実はそうはいかない場合が多い。

つまり、この商法に於いては「1人でマケグミとカチグミ双方に属する」場合が発生する。全くのマケグミとまではいかなくても、やはりカチグミは各々のカチグミで格差はある。カチグミの中のマケグミといえば良いのだろうか。
1人の人間がマケグミ同士で争うと同時に、カチグミ同士で争う光景はなんら珍しいものでも無い。
また、カチグミ同士で争うとマケグミが付け入る隙が減り、更にマケグミ同士の争いが熾烈になるといったダメ相乗効果も1人で招いてしまう事となる。

デレマスは二次創作が非常に盛んであり、各各のキャラクターはそのファンが勝手に宣伝してくれる。そういった意味でもこの商法は非常に有用に思われる。例えそれが健全であろうがエロであろうが、そのキャラが他の今まで刺さっていなかった人に刺さる要因となれば運営としては万々歳だからである。

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姫川友紀は別にGPA0.2でも無いしタバコも吸ってない。人は二次創作で、キャラに好感を抱く事は多くても幻滅する事は意外と少なかったりする。人はポジティヴな物は積極的に取り入れ、ネカティヴな物は理由を付けて排除するからである。もし、この絵で姫川友紀にネカティヴな感情を抱いても「まあ二次だし(公式じゃ無い)」で過ぎていく人が大半であり、もしこの絵で姫川友紀に好感を抱いてもわざわざ「二次だし(公式とは関係ない為公式の姫川を好く理由にはならない)」と考える人は少数派である。



総選挙の順位発表にもカラクリがある。

冷静に考えてみれば、総選挙で上位にランクインした所で確実な褒賞が約束されるのは上位中の上位のみである。その他は特に約束もされない。ただ、なんとなく出番が増えるだろうと勝手に想像しているのみである。実際出番も増えているかもしれないが、それも運営の我々からしたら恣意的な(デレマス程の巨大コンテンツなら綿密なマーケティングが絡んでいるだろうから)モノによる所が大きい。

総選挙の結果は50位までしか発表されない。50位以下は51位であろうと、190位であろうと等しく発表されない。
なので、実際には80位だったキャラが51位のキャラよりも人気があると思わせる事だって可能である。そうすれば51位のキャラのファンは勝手に焦ったりするかもしれないし、逆に出番の多い80位は活躍でファンを増やして次回の総選挙でより稼ぐようになるかもしれない。その辺もおそらく運営の采配でキャラを使い分けているのだろう。

つまり、人気と順位と出番を過度に関連付けるのはあまり良くない、という事だ。
気を病んでしまう。

もうかなり面倒くさくなってきて、結構な数の説明も省いている。

ボイスを人質に取る商法であったり、キャラクターの展開の方法であったり、出番の使い分けであったり、本当はもっと更に色々なものと絡まった上に成り立っているのが総選挙なので説明するモノはかなり残っているのだが、今回はここまで。

続きは気が向いたら。

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多分向かない。

ちなみに、ねとらぼの記事によれば

「 「すごい3%が選挙の1割を握る」と捉えるか、「無課金&微課金層が9割を決する」と捉えるか。

 血のにじむ努力をして2000票投じる仲間を40人集めるか、200票を400人から、20票を4000人から集めるかの違いだ。」

らしい。これから考えるなら、なりふり構わずとにかく浮動票を掻き集めるのが一番手っ取り早い気もする。

https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1706/04/news008.html

(2020 4/24 14時追記)

Twitterでも言及したが、この理論でいくならば運営にとって将来性があるのは、10人から10万票集めるキャラよりも、1000人から10万票を集めるキャラである。

1人が投票できる上限を(経済的な意味も含めて)仮に1万票とする。極端な話をするならば、1000人がそれぞれ1万票を投じるファンに変貌しないとも限らないからである。

恐らく、順位と実際の扱いのズレはこういったところにも原因があるのかもしれない。カルト的人気を誇り、一部からのブーストを受けて上位に躍り出るよりは、複数人から満遍なく愛を受ける方が有用性があると判断され易いかもしれない。

そう考えるなら、自分で投票するのも良いが、自分の知り合いになりふり構わず認知させるのが(その上で投票させなくてはならないが)1番の有効策だと思われる。

ただし、宣伝にあたっては決して「◯◯=◯◯P」という項を作るべきでは無い。受け取り主が求めるものが、宣伝内容から次第に宣伝主にすり替わってしまうからである。

多くの観客を集めるためのエンタメ性は極めて有用であるが、宣伝に於いてエンタメ性を追求し過ぎてしまうとエンタメ性のみを求める観客だけが定着してしまう。(テレビCMでも同じ商法が取られているが、あちらは母数が違う。観客の全体の1割でもサービスを認知すればそれで十分成功。)

要は超長期にわたって宣伝エンタメをシリーズ化するとか、宣伝よりも集客を優先して過剰なエンタメに走るとか、そういったことを行わなければエンタメを用いた宣伝も安全に有効策として活用が可能だ。

キャラの認知度を上げるだけであれば、エンタメ全開でも別に構わないだろうが、次いで魅力も伝えたいとなるとエンタメは途端に劇薬になってしまうので注意した方が良い。

正直、すでにエンタメが目的となってしまっている事例はニコニコ動画等にして往々に見られる。例え、宣伝主=キャラという項が認識されていようと宣伝主への好感度がキャラへの好感度に直結するかと言えば、しない。ただ、その逆は大いにある。広告主への悪評判はキャラに直結する。詳しい理論は省くが、人間はそういう生き物であり、それゆえ各広告会社は宣伝に過剰に敏感なのである。

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