見出し画像

ゴミを売る通販Wishでゴミを買う(製品レビュー第四弾)

眠いときに何かを行うとたいてい失敗します。受験校の選択、受験、期末試験、仮想通貨の利確、買い物の決断、スーパーマリオオデッセイ最後のステージ…みんな眠いときに行ったせいで失敗しました。それはWishでの買い物でも…

しむしむこんこんしむこんこん(挨拶)、どうもこんにちは。最強クソゴミ中華通販、Wishの商品レビュー第4弾です。それを努めますは私しむしこ。最後までお見知り置きくださいまし。

さて、なぜ前回あれほど恭しく「レビューはこれで最後」と述べたのにも関わらず今こうしてレビューの続きを書いているかというと、あれからWishで様々な商品をたくさん購入したからです。人は凝りません。バカみたいな金をWishに費やしている以上、せめて他人に事の顛末を見せて使った金に意味や価値を持たせたい…この文章はそんな怨念の代物です。それでは参りましょう。

その前に、第1弾、2弾、3弾のレビューはこちらからです。


今回は前回までの「怪しげなガジェット」ではなく、「怪しげどころか多分一発アウト」の商品が多いです。楽しみですね!

Beats Studio3 Wireless

今回紹介する商品はあの天下のAppleの傘下、Beats社が開発したワイヤレスヘッドホンです。ノイズキャンセリング機能等々の性能を持ち高級商品の名に恥じません。お値段は正規品で34,800円 (税別)。Apple Storeで通販で購入できます。そんな高級ヘッドホンがどうもWishで販売されていたみたいです。

さすがWish。世界最大規模の通販だけあってそんなものまで取り揃えているなんて!格安通販の名の下、割引しているんだろうな!お値段はいくらぐらいなんだろう?正規品が34,800円だから、1万円引きで25,000円とか?そんなに安いわけ無いか~


画像1

お値段驚愕の1654円。すぐに計算できない割引率です。20分の1の値段はいくらなんでもやりすぎ。

商品説明を読むと、どうやらこの商品は(自称)中古品や故障品を修理したもの、だから安いのだそうです。そして正規品との表記。

画像2

てことで注文しました。Wishは注文する時々によってお値段がかわる謎システムを導入しているので本体価格若干上がって1732円。送料は本来は5ドルのところ(包装に書いてある)を1021円取られているので4ドル分ほどぼられています。なので本体価格は実質2000円ちょい。

画像3

到着したのは9月14日。注文からおよそ半月で到着しており、Wishではまあよくある日数です。

画像4

箱がベッコベコですが、マットな手触りしかり、何も知らない人間が見たら正規品だと思ってしまう程度のクオリティが感じられます。あるわけないと考えつつも、もしかしたら本物かも?と少し期待するしむしこ。

画像5

箱の隅を見てみます。使われている英字フォント等は本物と同じですが、日本語のフォントが若干怪しいです。そもそも今回頼んだ色は(中身に入っていたのは)シャドウグレイではありません。

画像6

裏の注意書きや、金色に光る印刷も再現されています。さまざまな言語で性能が記述されていますが…

画像7

アウト。音楽の「楽」が「樂」になっています。天下のBeatsがこんなヘマするはずありません。これでこの商品は偽物確定です。よく見ると、下の「内臓ワイヤレスマイク」の「蔵」も繁体字になっています。

偽物に限らない話ではありますが、漢字という文字、名前の如く元ネタこそ中国語ですが、アジアに広まったあと数百年の時を経るうちに各民族各国による改良を経験し、様々な独自発展を遂げてまいりました。

中途半端にルーツが同じ漢字は独自発展した漢字になれきったアジア人同士特に間違えやすく、我々日本型漢字を使う大和民族(その他日本に住んでいる民族)にとっては日本型漢字、中国型漢字はその商品が中国のものかどうか判断できる好材料にもなります。(逆に日本人が繁体字を書く際もかなり苦労します

画像8

というか、そもそも箱の表面に印刷されているヘッドホンも何か別の素材から切り抜いたものを使っているらしく切り抜きが甘い部位によって境目ハッキリ見えていたります。また、解像度もガビガビです。

画像9

ともかく開封。安っぽいプラスチックの包装の中に鎮座していました。本物はきちんとケースの中に収められている上、収納用のケース等も付属しているためこの時点でも偽物だと判断できます。また、そもそも箱の大きさも違います。


画像10


商品自体の特徴ですが、やたらとマットでボケた暗い色といった具合です。金色も本物のような明るさはなくのっぺりしています。
そして写真じゃ伝わりませんがマジで臭かったです。特にイヤーマフから何かしらの化学的な匂いがしており、且つ薬品系のヌルヌルが付着していました。仕方ないのでアルコールを鬼のように使い掃除したとこ落ち着きました。

画像11


バリが丸見えというか、チープでチャチです。折りたたみ機構も動かすたびに軋んでパキパキ言うので折れてしまわないかと要らぬ緊張感を持ってしまいます。

とりあえず使ってみましょう。話はそれからです。

画像12

クソ生意気にもきちんと「Beats Studio3」としてペアリングされます。正規品はAirpodsの時のような特別アニメーションが表示されますがそう言うことはなく、あくまで「Beats Studio3」という名称の何かしらのBluetooth機器として接続されます。

音楽を聴いた感想は、まあこんなものか、といった具合です。一応きちんとBluetoothは繋がりますし、見た目こそBeatsですが実際は2千円そこらのワイヤレスヘッドホンです。値段と原産国を考えたら妥当な品質な気がします。

イメージ的には前々前回紹介したパチモンAirpodsの音質を少しあげ低音を強化した,といった具合です。Beatsは元々DJ向けによく使われている(ドンシャリと揶揄されていますが)ことからその辺りの再現を行なったと言う事でしょうか。

ただ、もちろん箱に書いてある一度の充電で22時間持つとかそういうことは全くなく、よくもって1時間少しといった具合でした。バッテリーの容量が低いのか、中国から日本に向けての長旅でへたっていたのかは分かりませんが…

総評としてはそこそこの面白みに値段相応の質、ということで決して悪いものではないということに落ち着きました。常用するには流石に耐え難い品質ではありますが、そんなにクソ高いわけでもない点が特に良いです。

と思いきや事態はそう甘くありません。我々が個人的に購入して偽物だ〜とケラケラ笑う分にはある程度問題はないでしょうが、これらがヤフオク等に「本物として」出品されていることが多々あると言う事です。

特に「日本のベトナム」「カス治安」「闇市」などの異名を持つメルカリやラクマ等等ではしょっちゅうこういうものが出品されています。


今まで紹介してきたものは、「本物に似た何か別の商品」が多く、大体一眼見ればそもそも正規品ではない事がわかるような商品でしたが、今回のこれは列記とした「Beats Studio 3」の偽物です。おまけにWishの説明文では「正規品」との記載があります。今回のこれはいわゆる「明確な悪意を持った商品」であることは間違いがないので、皆さん気を付けましょう… ヤフオク等でも気をつけて購入してくださいまし。

次行きましょう。

UNIQLO ドラえもん ぬいぐるみ

みんな大好きご存知!あのまあるい頭、愛くるしい表情、その知名度からもはや国民的キャラクターと言っても過言ではなく、その知名度は全世界に至り留まるところを知らない、マリオ、ピカチュウと並ぶかそれ以上の知名度を誇るジャパニーズロボット、ドラえもん。そんな彼は当然、様々な企業と過去も現在もコラボしており、アパレル業界も例外ではありません。最近ではGUCCIとコラボし世間を騒がせましたが、以前にユニクロとコラボしていたことがあります。

著名な芸術家、村上隆氏がデザインしたユニクロTの他、その柄をあしらったぬいぐるみがユニクロより2018年に発売されました。

画像13

出典:https://senken.co.jp/posts/uniqlo-doraemon
その人気たるや絶大で、定価2990円のところをあっという間に転売の餌食になり、プレミアが付属。現在の相場は安くても1万円からといった具合です。


画像14


そんなドラちゃんがWishに登場!お値段は1200円〜1900円をフラフラしております。正規品より1000円安いですが、送料3ドルのところを9ドル取られるので本体価格次第では、ほとんど正規品の定価と同じ程度になるかな、と思います。

画像15

この商品の特徴として、Wishユーザー認定された販売者がこのドラえもんを販売していると言うことが挙げられます。謂わば、公式からのお墨付き、質の良い商品を届ける業者だという証になります。もしかしたら本物かも?

画像16

と言うわけで購入。注文から到着まで20日といつもより少し長めでした。Wish側で見るとずいぶんザックリした追跡ですが、Wish POST(中国郵政とWishの協力会社)より追跡をかけるとより詳細な経路が判明します。今回のドラえもんは深圳より発送されました。この手の商品は、大抵深圳より直接来るか、香港を経て来る経路、もしくは深圳より台湾に飛んで日本に来るルートを辿ってきますが、今回のこのドラちゃんは何故だか一度上海に飛んでます。この上海旅行が通常より1週間ほど長引いた原因だと思われます。

画像17

開封。思ったよりしっかりとしたドラえもんです。髭の本数がおかしいとか鼻の位置がおかしいとか、目の雰囲気が違うとかそういうことはなく普通のちゃんとしたドラえもんが届きました。
ぬいぐるみの質としても悪くなく、綿がキチンと詰まっておりヘニャヘニャというわけでもありません。縫製もしっかりしています。座らせたらちゃんと座ります。

画像18

こっちはフォロワーより写真を頂いた東京で転売されていたドラちゃんです。お値段は25800円。定価のおよそ9倍です。まあ、要はこっちは(店側が騙されていなければ)本物だと言うことです。比べてみましょう。

画像19

左が正規品、右がWish品です。
今回のこのドラえもんは、そもそもユニクロの正規品自体が手作りゆえ図柄の配置やパーツの位置等の個体差が大きく単純比較出来ません。なのでパーツの精度を中心に見比べていきます。

結論から言うと、Wish品は偽物です。(でしょうけど)
写真から明確に分かる通り、布全体の滑らかさと精細さが正規品の方が明らかに上です。ポケット辺りをよく比べてもらうと分かる通り、パチの方がよりフワフワしています。鈴も、正規品のような鮮やかな黄色ではなく、茹で過ぎたゆで卵の黄身のようなくすんだ色です。髭の周りも、シャープ度合いが大きく違うのが見て取れます。白目が左右で交差する場所の処理の仕方が、正規品の方が明らかに丁寧です。そして最大の特徴が、偽物の方は表面の柄の印刷がボケている上に暗めだということです。

鼻の位置も対象に含めようか迷いましたが、どうも正規品の中でも結構個体差がデカイ部品のようなので今回は除外します。ちなみに私個人としては鼻の位置は偽物の方が好みです。

実際の表面の柄を見比べてみましょう。

画像20

こっちは偽物。

画像21

こっちは本物です。柄の中のドラえもんの精細度が違うことが見て取れます。表面に使っている生地の違い故、このような印刷の定着し具合に差が出るようです。

画像22

生意気にもタグの再現どあいは大変高いです。ユニクロから横流ししてるんじゃないかと思うくらいに高いです。紙の質感は本物のそれですし、フォントや字の配置にも大して違和感はありません。
ただ、偽物の特徴として値段がドル表記な事が挙げられます。日本で売られていたものはもちろん円表記ですし、仮に海外から持ってくるにしてもそれほどの在庫はどの国にも残っていないことから、まずドル表記であれば偽物と考えて良さそうです。

画像23

何より驚いたのが日本語が完璧なところです。先程のBeatsのパチモノのように、中国製の偽物は日本語が少々雑であったり繁体字を使用してしまっていたりと、日本語は我々にとっては格好の真贋判別材料になりますが、この偽物には通じません。

全体的に感じたものとしては、質の高い偽物だと言うことです。本物と比較しなければ若干の違和感あれど、普通に正規品だと勘違いしてしまうそうな質です。
別に縫製が変なわけでもなければ表記に違和感も見られない、ドラえもんが変な顔しているというわけでも無いのなら、最早この中国製ドラえもんが偽物だという証拠としてはWishから購入したから、ぐらいでしょう。

分かっていたことですが、一つ生じる大きな問題としてはこのパチドラをWishが認定した業者が販売していることです。積極的にパチを排除に向かっているAliExpressと違ってむしろ受け入れていく体制とも言えるWishは今後パチモノ業者が更に流れ込む危険地帯になるのかもしれません。

ちなみにこのパチドラ、

画像24

(値札が29.9ドル)

画像25

(異様に安い値段、海外製の表記)(最大3週間との表記から、注文が来てからアリエクかどこかで購入する気)

「オンラインベトナム」の異名を持つメルカリ、「どこでも中国」の異名を持つラクマや「本物か偽物かの籤引」とも言われるヤフオク等々で高値で転売されているのでご注意ください。
モノによっては8千円9千円の値段をつけているものも見ました。大層儲かりそうです。気をつけましょう。判断材料としては、
・目のクロスラインの処理
・鈴の色
・表面の柄の細かさ
・タグが日本円表記&使用時の注意書きが日本語でなされたタグがついている
です。
あーおそろし。未来の世界にもパチえもんとか存在するんでしょうか。言語が時々おかしくなる、出す秘密道具が技適が通っていなかったり電波法に違反してたりする、そんな怪しげなドラえもんが未来でも問題になっているのかもしれません。

次。

Apple iPhone用 高級ブランド スマホケース

高級ブランドは昔も今も魅力的なモノです。そのブランドを表す指標として、代表的なものに「ロゴ」がありますが、今回はそんなロゴがあしらわれたスマホケースのお話しです。

画像26

はいドン。うっすら何かブランドの文字が見えますね。あの特徴的なロゴも見えます。もう皆様なんのブランドかお分かりですね?

画像27

そう!GUCCIでございます。このリボンマークにも見えるGGの文字が特徴的です。あのグッチがこんな100均のような安っぽい袋に入れられてぶら下がって販売されているのか疑いたくなりますが、先方が本物の正規品というので間違い無いでしょう。

画像28

取り出してみました。可愛い水色が素敵です。手触りは思ったより滑らか。中央上に位置する「GUCCI」のロゴですが,実は「U」の右側は左側より細くなっており、財布の鑑定等の目印にもなっています。このスマホケースはUの右側が細い!つまり本物なのです!!

画像29

最初からなんか切れ端がありました。
まあ皆さん大概わかっていると思いますが、勿論このグッチは偽グッチ、いわば愚っ痴です。

お値段は1100円に送料300円。12月14日に注文して年末年始を経て1月3日に到着。29日時点で神奈川税関に居たらしいので、年末でなければもう少し早く到着していたと思われます。

画像30

Wish商品にしては珍しく、送り元の住所が記述された状態で到着しました。送り主の住所は上海の高架道路下の一角の雑居ビル群にあるそうです。電話番号も、多分WhatsUpか何かを使えば連絡可能でしょう。

画像31

ちなみに裏返すとこんな具合。こっちもちゃんとUの右側が細くなっています。裏地には感触の良い布が張られており、高級感はあります。

画像32

装着。なんというか、まあ普通です。中国ではどうか知りませんが、日本においてはこんなグッチ存在しないことが明白なのでこれをつけていたら恥ずかしいかもしれません。スマホカバーの機能は普通に揃えており落としても中身に傷は付かなさそうです。

画像33

ちなみにこのガラスフィルムが付属してきました。このWetとDryに別れたクリーナーは日本でも本当によく見ます。100均でガラスフィルムを買うとまずこれが入っていますし、中国の偽iPhoneにも付属しているそうです。かなり大幅な全世界展開ですね。パチにも正規品にも共通のものが付属品としてあしらわれているのは何か少しユニークです。

今回の商品に特にコメントはありません。いっときメルカリ等で大量に流通していたそうなので見たことある人も多いのでは無いでしょうか。
ちなみに、このグッチのスマホケースはパチモノ界ではポピュラーな商品らしくアリエクを筆頭とする様々な怪しげな通販で見ます。

画像34

こちらは私と同じ型番と思われるもの。お値段は驚愕の7千円でしたが、多分品質に差はありません。

画像35

アリエクでは700円に送料無料で売っているのでWishはかなり割高になってしまいます。この画像のように、右下に「GG」の金具が付いたものもあるそうです。

画像36

これもアリエクで見つけたルイヴィトンのスマホケース。シリコンの具合が同じです。

画像37
画像38

裏地もほとんど一緒。おそらく共通の素体が存在し、そこにブランド名を刻むことあのように様々なバリエーションを生み出しているのでしょう。

なんて事のないシリコン製の少々お色がビビッドなスマホケースが「GUCCI」の5文字を入れるだけであっという間に危険な代物に。
所詮記号に過ぎない文字を適当に5文字並べたら意味を持ち、それをあまつさえシリコンケースに記入してしまったら一気に商品そのものがグレーゾーンになってしまう、文字の認知とブランドの価値の源泉を捉え直し、考慮の余地を与えてくれる良い商品だと感じました。


次行きましょう次。

次で今回はラストです。

ファッションメンズレディースビジネスラグジュアリー長財布

まあ端的に言ってしまえば、ルイヴィトンとSupremeのコラボの財布のパチモノです。

画像39

Supremeのパチモノは大変数が多く(何せFuturaを斜体にしてSupremeと入力するだけで出来る代物です)Wishでも以前は数多く見かけていましたが、あるときより数が激減。久々にポンと表示されていたので買ってしまいました。

画像40

あ゛。これは届かないかもしれない。

この「ストアからの出荷」の表記、そしてつかない追跡番号以前届かなかったiPhoneであったりスマホであったり、いわゆる「地雷系」の商品と全く同じです。今の所この黄金の組み合わせで商品が届いた試しはなく、とんだババを引かされたものだとガックリきてしまいました。Wishは「3月2日までに届くから待つアル!」と言っています。Wishの名称の由来は消費者が「商品が届きますように!」と祈らなければならないところから来ているらしいです。

画像41

の割には返金を手配した!との旨が記されたメールが送られてきたりしました。それも3回も。実際は返金処理は行われていませんでした。なんだそれ。

半ば諦めつつあったその時、驚くことが起こったのです。

画像42

なんと注文から二週間後、いきなり追跡番号がついたのです。もう来ないとばかり思っていたのでこれには驚きでした。追跡番号がついたら、何かしらはここに来るということなので一安心。11日に出荷したと言われながらも実際は19日に出荷されたことも分かります。

何故こんなことが起きたのだろう?と少し考えてから答えが浮かびました。2021年度は中国の大型連休、春節が2月11日からスタートだったのです。中国の春節は太陰太陽暦に基づくので毎年日付が変わります、ということで全くそんな事気づかずに注文してしまったのです…

連休期間は一週間なので合点もいきます。とりあえず発送通知だけ出しておき1週間連休を謳歌。連休明けの仕事一発目に発送したのが容易に想像が付きます。こんなパチ物にもやはり人の手は関わっているのでした。

画像43

福州市から発送されたこのパチリームは深圳に到着後、何故だか東莞市まで移動し日本に発送されたようです。地理的には東莞市は深圳と香港の中間に位置するので何かしらの貨物の都合で移動したのでしょう。

東莞市も古い歴史を持つ都市です。観光地ではあまり著名で無いため知名度は低いですが、重工業以外のあらゆる製造業が発展した都市であるため大企業の駐在員や中国出張経験者は知っているかもしれません。日本で言うところの、愛知岐阜静岡辺りを一緒くたにしたイメージでしょうか。ちなみに人口は900万人ほど。土地面積等が大きく違いますが、東京の人口が1200万人ほどなので中国の規模の大きさが垣間見えます。

因みに、2014年ほどまで大変性風俗が発展した街でありとあらゆる所にエロ店が林立。飄客の聖地ともなっていたみたいですが、習近平政権の権力闘争の一環で大規模な都市ごとの摘発&浄化作戦が行われ今では見る影もない普通の製造業都市に落ち着いているそうです。習近平による、薄熙来事件を起こした薄熙来の利権つぶしとも、周永康の利権つぶしとも言われています。

画像44

話が脱線しましたが、台湾に到着してからは追跡番号が切り替わり、Wish側にも日本郵便の番号が表示されるようになりました。一度台湾経由で日本に来る、よくあるパターンの貨物ルートです。台湾国際郵便なんたらセンターから発送され7日後、日本の川崎国際交換局に到着。無事通関してからは僅か一日で愛知県まで到着しています。中国国内を何週間もぐるぐるしたりする中国郵政や中華郵政等に慣れていると、この日本郵政のスピードは大変驚愕的です。すごい。

画像45

手元に届いたのは3月11日。Wishは当初3月3日までに届かなければ返金と言っていたので返金されるのかなと覗いてみたら…

画像46

こっそり21日までに延長していました。それ許したらなんでもありじゃね?Wishは大体この期間延長を1度ないし2度、期間で言うところの2週間ほど延長するので注意しましょう。

画像47

というわけで注文してから34日後に無事(?)手元に届きましたパチリーム。この野郎!34日も待たせやがって!さぞかし格好良いのだろう!開けるのが楽しみじゃ!!

画像48

開封一段目。どうやら箱は付属していないようです。ま、まあ箱が付属していなかったりすることはよくあることだし写真と中身が違うのもよくあることだし…

でもこのなんとも言えないチープ商品用のシールに少し嫌な予感を覚えました。シールの文字の意味は、「水波紋」は中国語で「船が航行したあとに残る波跡」のことで、おそらくルイヴィトンのエピのことをこう表しているのだと思います。そしてその下の「丝印(Sīyìn)」は「シルクスクリーン」。シルクスクリーン?

開封。

画像49

君なんか写真と違くない?

画像54

一応、乗ってた画像はこれです。ぜんぜん違う。

画像50

引用:リファレンス神戸店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/reference/152832-13407-1.html?sc_e=slga_pla_i_shp_02495&gclid=Cj0KCQjwo-aCBhC-ARIsAAkNQisYW-UzqIfcPLBP8e5Hx6PqOPVuil0GCmbNnqN2gG4u4QjOz0So5FcaAnbWEALw_wcB#

正規品はこのように、文字の箇所の素材が違っており、かつ少し窪んでいます。(掘られてるという表現が正しいでしょうか)

ところがぎっちょん今回のこのパチリームは表面の「Supreme LV」という字が印刷です。色も違うし…

多分シールに書いてあったシルクスクリーンとはこのことです。この印刷はシルクスクリーンなのでしょう。

画像51

裏に至っては文字の位置が大きくずれています。かなりお粗末な代物。これだったら表面の文字なんぞ無いほうが大マシです。

中身を見てみましょう。

画像52

開いたところ。意外にも財布の出来自体はかなりしっかりしたものです。内外ファスナーはスムーズに開きますし、ほつれ等も特にありません。ガワはともかく、内部にはある一定の高級感はあります。普通の長財布としてなら十分使用に耐えうるでしょうが…

マジで臭いです。めっちゃ臭いです。激クサ王。

先程のBeatsで「臭い」と表記しましたが、そんなレベルではない科学的な、本能が拒否する嫌な匂いがします。密室した部屋に置いておこうものならその部屋が30分後には劇物臭がするようになる始末。これが良い香りなら史上最高のアロマになっていたでしょうが、残念ながらこれは臭い財布です。

冗談抜きで3日天日干しした上に重曹水でビッチャビチャにしまくりどうにか匂いが緩和されたので続きに挑みます。

画像53

因みに、正規品はこのように大きくガバーと開きますが、今回のこのパチリームはやる気が無いのかあの開き方で精一杯です。このエピリームを再現しようとしたよりかは、他のヴィトンのエピのパチモノにSupの文字を印刷して販売した、といった雰囲気を感じます。

画像55

外のファスナーの持ち手です。LOUIS VUITTONと掘られていますが、内部のレーザーの処理が甘いようでザリザリした見た目になっています。

画像56

こっちは手持ちの正規品のヴィトン。パーツが違うので一概に比較はできませんが、レーザー刻印の処理がきちんとなされており、文字は細いのに内部まできれいな溝になっています。

画像58

こっちは正規品のエピリーム。先程のリファレンス神戸様からの拝借です。そもそも外部ファスナーは「LV」マークであって、「LOUIS VUITTON」表記ではありません。

画像58

内部のロゴマークです。よく真贋判定の基準とされている箇所でもあり、偽物側も気合が入っているのか思ったより綺麗に印字されていました。ですが、Rマークの上の線がぶっとくなっていたり、mの字が少し潰れたりしていました。そもそも全体として字が滲んでいます。

画像59

こっちは手持ちの正規品のヴィトンです。かなり古いものですが字の判読は出来ると思います。古いものであるにも関わらず、字は潰れていないことが分かります。また、上から二段目の「LOUIS VUITTON」の「O」の字の横長感も正規品と違うことが見て取れます。

画像62

さっきも述べたとおり、表面はヴィトンのエピ風の加工が施されていました。見た目はまあそこそこ似てなくもないですが、実際の光の照り具合、色の具合、触った感触全てで、本物を一度でも見たことある人なら速攻偽物と分かる程度のものです。「エピ風の財布」としてならまあアリかもしれません。

とまあ、パチモノなのは明らか且つ写真と大きく違いすぎるので返金申請を行ってみました。

画像60

なんやと工藤!? Wishは多くパチモノを売っていおり、且つそこそこの頻度で荷物が届かなかったりしますがそれに対して複数回返金申請を行うとこのような状態に陥ります。返金申請は全て突っぱねられるようになり、仮にこの状態で荷物が届かなければ泣き寝入りです。

幸いにも申し立ては可能だそう。ということで、以前返金申請をした理由を逐次記述し、証拠の写真とともに送信。

画像61

こんなものが返信されてきました。この申し立ての結果も当初は2~3日以内に届けるとの記述が4日目から5~7日以内とこっそり延長してきました。このへんのルーズさもWishらしいです。

画像63

6日後、こんなメールが届きました。当然私の名前は田中商鞅ではありません。

「おめでとうございます!審査の結果、Wishが申し立てを承認しました。必要に応じて払い戻しやご注文の返品のリクエストを再開できます。さらなる返品や払い戻しを回避するため、ご注文の際には商品の詳細など、商品リストをよくご確認ください。」

怒られてしまいました。申し訳ないです。でも、そもそもあっちが送んなかったり貨物が途中でロストするのはしょうがなくねえか!?

なんだか腑に落ちませんでしたが、返送の必要はないそうです。だって購入したお店ごと商品ページ消えてるし… 適当に入荷した在庫を吐くだけ吐いて一撃離脱戦法を取ったのでしょうか。

ちなみにこのパチリーム、お値段4800円に送料1000円(5ドルのピンはね)で合計5800円でした。結構します。

ちなみに日本は日本で恐ろしくて、

画像64

「遠隔深セン」の異名を持つメルカリでは更に恐ろしいことに、仕入れ値2000円ほどのパチリーム(アリエクで2千円で売ってた)が60倍の12万円で売れていたりします。利益率6000%。笑いが止まらなさそうです。

総括

とまあこのようにWishは使わないほうが懸命な通販です。少なくともガジェットとブランド物においては。

Wishは取締役(実質的な所有者兼経営者)こそ元共産圏の東欧系の人物ですが一応アメリカに籍を置くアメリカ企業です。そんなアメリカでついこないだ新規IPOを行い株式市場をざわつかせ、大きく株価を上げるなどイケイケ系の企業扱いされており、あのAmazonを追撃するかもしれないとまで言われているようです。

まあ本国のアメリカでのApp Storeのレビューを見ても結構ボロクソで、YouTubeでも叩かれたりしていますが、消耗品に関してはそこそこの質がそこそこの値段で手に入ることもあってか支持は高いそう。日本だと100円ショップやドラッグストアがSPA等でしのぎを削って安価な消耗品生産を実現しているので、正直日本における存在価値はパチモノを購入できる数少ないチャネル、と言った具合です。しかもそれだったら別にアリエクやeBayを使えば良い始末。立ち位置が表的にも裏的にもイマイチです。

しかし、ここまで派手に偽物だの非正規品だの低品質のものだのを販売している以上、いつかどこかで清算が来ないとも限らないので投資には慎重にならざるを得ないと感じました。日本の消費者庁は動かないのかしら。

また何か買ってみたら、そのときは第5弾を書きます。その時までごきげんよう…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?