昔のラーメン二郎

「色々ルールがあるんですねえ。入ったらすぐ自分の前を拭くと」
「そう」
「それから水をもらったら下に置くと」
「そう」

「だめだよォこんな……夏の企画じゃないよお前ラーメン屋なんてのは」
「この暑いときに熱いのがいいんですよご主人」
「冗〜↑談じゃないよアツイ……暑いときには冷たいもんだよお前」
「いや、ぼくは暑いときには熱いもんじゃないとダメなんですよ」
「ダ〜メだよお前…んなお前…」
「そらまずいラーメンはダメですよ」
「冬やれ、冬、冬! 」
「おいしいラーメンですよやっぱり。夏は…」
「冬だったらよ…冬だったらなんでも協力してやんのによ…このクソ暑」
「今日はあんまり協力できないんですね? 」
「このクソ暑いのにお前…………マイクなんかつけられちゃってたまんね〜↑よお前」

 逸見政孝氏とラーメン二郎創業者・山田拓美氏の名共演である。この動画は友人にすすめられて知ったが、それ以来セリフを暗記するぐらい見ている。YouTuberのブライアンがモノマネしていたのでそれで流行っていたのかなと思う。目のつけどころがさすがだ。

 「だめだよォこんな……」のくだりは語録としての汎用性が高く、これだけで会話を成立させることができる。

「冗〜↑談じゃないよ……○○じゃなくて△△だよお前」

「ぼくは〇〇じゃないとダメなんですよ」「〇〇がいいんですよご主人」

「ダ〜メだよお前」「□□だったらなんでも協力してやんのによ」「☓☓なんかつけられちゃってたまんね〜↑よお前」

このテンプレは、日常会話の途中でも「冗〜↑談じゃないよ……」からタイミングを選ばずいつでも仕掛けられるのがスピード感があっていい。発生が速い技は強いのである。「冗〜↑談じゃないよ……」が決まれば相手は「〇〇がいいんですよご主人」と受けるしかないが、そうすると「たまんね〜↑よお前」まで確実につなぐことができる。
 同様に「そう」もどこにでも挟み込めるのでつよい。スキあらば「そう」を出しておけばそれだけで微優勢を確保できる。

 以上「ノーリスクで振れる技は強い」という話でした。どんぴこからりん、すっからりん。

「いやひさしぶりにですねえ、若者と同じペースで、同じ勢いで食べてしまいましたですねえ。まあラーメンというのはですね、昔も今もかたちを気にせずに食べられまして、私たちを満足させてくれる食べ物ですね。今日ご紹介しましたラーメン、そしてラーメン屋さん、そのすべてがおいしい味を求め、そのためのこだわりをもっています。また、そのこだわりがですね、技を磨いて人を呼ぶんでしょう。つまり、おいしいラーメンを食べたい、という食べる側の希望、そして美味しいラーメンを食べさせたい、という作る側の思い入れ、このふたつの気持ちがひとつになったときに、おいしいラーメン、魅力のあるラーメンが誕生するんでしょう。これからも、おいしいラーメンをどんどん食べたいという我々の希望にこたえるようなおいしいラーメンをですね、ぜひ作っていただきたいと思います。」
(〆のコメント、逸見政孝)

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