胎界主第三部 サタナキアの誘惑 7-12の感想
胎界主の無料更新日なので胎界主の話をします。今までの感想はここにまとまってます。
未読の人は一部・二部からぜひ! よろしくお願いします。三部完結まであと12年ぐらいあるのでぜったいに間に合う!
「本」に飽きるワシ
さて、聡明ワシが豪快に箱をあけて「本」を手に入れましたが、読みながらウトウトしています。おもしろくないのか? 聡明ワシ、ほんとうに聡明なのか? どちらかというと「アスだったころのワシ」ですね、これは。枕もでかいし。
夢見界へ
サタナキアの登場シーン、カッコいいですね。けっきょく、三部が始まってからサタナキア株が下落したのは一週目だけで、それ以降は上がりっぱなしのような気がします。あのとき買っとけばな〜。
ここでまず気になるのは、以下のやり取りです。
ソ「誰か? 」
サ「魔王サタナキア」
ソ「魔王…」
ソ「アスタロトはどうした?」
この時点でソロモンが「アスタロト」を知っていたことが明かされました。問題は、アスタロトがソロモンとどのような接触をもっているのか、ということです。「本」を読んだソロモンによってすでに召喚されたのか、それとも、以前からソロモンに仕えていたのか。アスタロト・元人間説というのもあり得なくはないと思います。「悪魔の中で唯一嘘をついても禁忌に触れない」というのは気になる性質ですしね。
さて「魔王」なる者を前にしたソロモンは、まずアスタロトを探します。この「アスタロトはどうした? 」というセリフは、①「本」を読んだソロモンは悪魔のことをある程度知っており、悪魔には悪魔で対抗しようとした のか、 ②単にアスタロトはソロモンの眠りを守るほどの側近である のか、いまいち判断がつきにくいところです。個人的には②かなと思います。だってこの聡明ワシが①みたいな周到な作戦を練ってるとは思えないから…。
サタナキアの嘘
聡明ワシの問いに対して、サタナキアはピクッとしたものの、その後、威厳たっぷりに「ここにいるのは私とお前だけだ」と返しています。
しかし、ピクッとしているからには、このサタナキアの返事は嘘ではないかと思います。おいおい、悪魔は嘘がつけないではないか、と思われたかもしれませんが、第一部の「夢魔」で稀男がこのようなセリフを言っています。
「本」によりゃ
この夢世界は
劇みたいなもので
『言葉の力』とやらは
台詞にすぎない
だから 悪魔でも
嘘がつけるんだが
俺と同じく
夢見人の支配下に
置かれるんだと
ということは、この会話が行われているのがソロモンの夢見界だ、ということを仮定すると、サタナキアは夢見人ソロモンの支配下にあるものの、ウソがつけるということになります。
夢見界では夢見人の信じることが実現します。第一部「夢魔」でも、魚成勇がそう信じたせいで、稀男の腹に本来はなかったはずの銃創があらわれるというシーンがありました。
ということで、このシーンでもソロモンは夢見人としての優位をもっており、出そうと思えばアスタロト(の役割をする人形)ぐらいは出せるはずです。しかしサタナキアのウソでまあそうかとなってしまい、相手のペースに巻き込まれてしまいました。まあ、このあたりの折衝は夢魔の主サタナキアの面目躍如ですね。全選手入場!夢見界ならコイツが怖い! 魔王サタナキア! ということでしょう。
夢想胎界?
つぎにサタナキアは、司神マークつきの玉を出現させて、そこから「口」を展開します。歯のらせん階段、おしゃれですね。そして裸足でついていく聡明ワシ。胎界主wikiの「人でなしの夢」考察によると、「靴を脱ぐことは世界を受け入れることの隠喩」らしいので、そのあたりも関係あるかも。
夢見界からの移動ですから、この口の行き先は夢想胎界だとしてよいでしょう。夢見界と夢想胎界の関係については、尾籠先生が
『夢見界』(第一部の三話や二部の寝槽)は個人的胎界=PC
『夢想胎界』=広大だわインターネット
『サタナキア防壁』=ファイヤーウォールという感じです。
と説明しています。ソロモンのPCからインターネットに繋いでみたと。そういう感じですね。
夢想胎界? の中は大きな手が浮かんでいることを除けば、幻想的でどこか美しい世界が広がっています。……と火曜日の有料更新では思っていたのですが、金曜日の無料更新のセリフ欄を見ると、この世界は
粘度が高い空気 水草水槽 無頭魚
らしいです。水槽の中、頭のない魚。このモチーフはあまりにも不穏すぎますね。これは、胎界主作中、井戸の連中が揶揄としてよくつかっている
どこにも行けない
なんにも創れない
というセリフと対応している気がします。水槽の中からどこにも行けず、頭のない魚には何にも作れない。
このモチーフのこまかい解釈や、空に浮かぶ大きな手の正体については次回の更新を待ちたいと思います。来週も楽しみですね。¡Hasta pronto!
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