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マグカップとシンク 乃木坂46 歌詞考察



『私、もう辞めようと思うんだ』

いつか、こんな日が来るとは思ってた。
でも、それは私が想像するより
だいぶ、相当早く急だった。

賀喜『・・・どうして?』

私には理由はわかっていた。
でも聞かなきゃいけないとも思っていた。

遠藤『いなくなっちゃったから』

誰が?何が?
と、聞くべきだったかもしれない。
でも、答えがわかっているのに
わざわざ聞くのは失礼な気もしたから

賀喜『後悔しないの?』

私は質問を変えた。
この答えだってわかってる。
さくちゃんはグループへの加入当初から
スタッフやファン、すべての人の
圧倒的な期待を胸に抱えながら
一人で戦ってきた。

私はそれを隣でずっと見てきて
支えてるつもりだったけど
さくちゃんの目には映ってなかった。
それでも私は良かった。

世の中はツートップって言うけど
私とさくちゃんでは
背負ってるものの重さが全然違うし
実力も脚元にも及ばない。

でも、そんなさくちゃんが
いつも隣にいてくれて
どんどん前に進んでいってくれるから
私はここまでこれたし
まだ私達は5年目で
正直、まだまだこれからだと思っていたから
そのさくちゃんよりずっと前を歩いて
さくちゃんを引っ張ってくれていた
あの人がいなくなって
さくちゃんがどうなっちゃうか
隣で心配して見ていたけど。


遠藤『正直、わからない』

遠藤『ごめんね、かっきー』

賀喜『やだなー、謝らないでよ』

遠藤『いつも相談もせず、勝手で』

賀喜『さくちゃんはそれでいいんだよ』

遠藤『かっきーがいたからここまで頑張れたよ』

賀喜『私は何もしてないよ』

遠藤『そんなことない』


私は、偉大な先輩が卒業して
目標と目的を見失ってしまった。
別にその先輩のために頑張っていたわけじゃないけど
その先輩に少しでも近づきたい
少しでも恩返ししたいと思って
毎日がむしゃらに必死にやっていたから
その先輩が卒業して、寂しいとかじゃなく
こんなにも穴が開くなんて思ってなかった。

そして、この穴がなんなのか
どうしたら埋まるのかわからないまま
毎日笑顔で活動するのは限界だった。

賀喜『なぎちゃんのことはどうするの?』

遠藤『え?』

賀喜『さくちゃんがあの人を追いかけたように』

賀喜『なぎちゃんは今のさくちゃんを追いかけてる』

遠藤『そんなことないよ』

賀喜『今さくちゃんが辞めたら同じ気持ちになるよ?』

遠藤『なぎちゃんはもう大丈夫でしょ』

賀喜『さくちゃんが、それを言う?笑』

遠藤『それもそうだね笑』

賀喜『やっと笑ってくれた』

遠藤『え?』


さくちゃんがあの先輩の卒業から
全然笑えてないのは気づいていた。
さくちゃんがセンターになった時
壊れないようにって先輩が守ってくれて
そこから2年間ぐらいずっと一緒にいて
多分、ずっと一緒にいすぎて
いきなりそんな存在がいなくなったら
私だってきっと笑えない。
だから私は大好きな先輩と
もっと仲良くなりたいけど
いつか来るさよならのために
その時に悲しくなりすぎないように
ある程度の距離を置いている。
好きだけど、もっと仲良くなりたいけど。

同期ならまだいい。
親友って呼べる聖来がこの夏で卒業だけど
同期なら気楽に今後も連絡できるし
いつだって逢える気がするから。
でも先輩だとそうはいかない。
今、忙しいかな?連絡しないほうがいいかな?
って考えてしまってきっとうまくいかない。

だからさくちゃんの気持ちはよくわかる。
もっと早く、色々なことを
話しておくべきだったのかもしれない。


遠藤『いつか、来るじゃない?誰にでも』

賀喜『卒業?』

遠藤『そう、誰にだって必ず』

賀喜『そうだね』

遠藤『そのタイミングが一番難しいよね』

賀喜『あの人には相談したの?』

遠藤『私がしてると思う?笑』

賀喜『してないと思う』

遠藤『でしょ。絶対にできないよ、あの人にだけは』

賀喜『めっちゃ怒られると思うよ?』

遠藤『だよね・・・間違ってるのかな・・・』


次期エースと呼ばれてまだ高校生で
グループに加入したばっかりなのに
センターと言われて私は心を失った。

そんな時、助けてくれた先輩がいて
そこからずっと何もかも
その先輩に面倒を見てもらってきた。

年齢も対して変わらないのに
本当にお母さんみたいだった。
そんなお母さんが急にいなくなった。
いや、実際は急にでもないんだけど。

次は私がなぎちゃんに対して
お母さんのようにしてあげるべき
なのかもしれないけど
なぎちゃんは強いから
その必要性はなさそうだし
じゃあ私は今、何を頑張ればいいのか
全くわからなくなってしまった。

かっきーに辞めると言ったのも
辞めると決めて言ったわけじゃなくて
かっきーに言ってみて自分がどう思うか
かっきーがどう思ってるか
かっきーと話して何を思うかが知りたかった。


賀喜『間違ってるかどうかはわからないけど』

遠藤『うん』

賀喜『私はイヤだよ』

遠藤『イヤ?』

賀喜『私はさくちゃんがあの人を追いかけたように』

賀喜『ずっとさくちゃんを追いかけてる』

遠藤『なに言ってんの』

賀喜『私にできないことをさくちゃんは全部できる』

遠藤『私もそう思ってるよ』

賀喜『だからこれからも私の目標でいて欲しい』

遠藤『・・・』

賀喜『それがさくちゃんの残る目的じゃダメかな?』


目標と目的を見失っていたけど
確かに、誰かの目標になるという目的も
世の中には存在するんだと思った。

でも私なんかが

という言葉は常に頭の中にあるけど
それを言うと、あの人に
『そういうことを思うんじゃない』
って怒られていた日々を思い出す。

そうか、そういえばあの人に
自分で自分を認めてあげられるようになったら
また逢いにいきますって言っちゃったんだった。
今のままじゃ・・・逢いに行けない。


遠藤『どうしたら自分を認められるかな?』

賀喜『みんなの目標になってよ』

遠藤『それは・・・』

賀喜『あの人がそうだったように』

賀喜『さくちゃんならなれるよ』

遠藤『無理だよそんなの』

賀喜『無理でもいいから、なってよ』

遠藤『かっきー?笑』

賀喜『やり残したこと、ない?』

遠藤『うーん・・・』

賀喜『私はあるよ』

遠藤『なぁに?』

賀喜『ダブルセンター、やってない』

遠藤『山下さんと久保さんみたいに?』

賀喜『そう、二人でやってレコ大いきたい』

遠藤『かっきーはいつも前向きですごいね』

賀喜『さくちゃんがいるからだよ』

遠藤『私なんて関係ないでしょ』

賀喜『私の夢はさくちゃんが隣にいるから叶うんだよ』

遠藤『・・・』


その瞬間、私の体の中を風が吹き抜けた。
先輩たちが守ってきたグループを
二人で前に進めるなんて考えたこともなかったけど
今、目の前にいる太陽のような同期が
私を引っ張っていってくれるなら
一緒にこの人と夢が見たいって思った


遠藤『かっきーについていってもいいの?』


この人は本当に何もわかってない。
私はよく太陽のような人だと言われて
さくちゃんは月のような人って言われるけど
私は一度もさくちゃんのことを
照らしたことなんてないし
むしろ、いつも眩しいのはさくちゃん。

私がもし仮に太陽だとしたら
さくちゃんはひまわりで
いつもこっちを向いてくれていて
ニコニコ眩しすぎるぐらい。

でもそんな話をしても
私なんてって言うだけだから
今日は私が引っ張っていくって感じで
伝えるしかないなって思った。

結果、さくちゃんがずっと前を走っていて
私達は必死にそれを追いかけるんだけど
本人がそれに気づかずにまだまだ走ってくれるなら
私はなんだってする。
さくちゃんがいなかったら私は頑張れないから。


賀喜『仕方ないなー、私についてきな笑』

遠藤『さすが、かっきー!イケメン!』

賀喜『少しは心のモヤモヤは取れた?』

遠藤『うんっ!かっきー、ありがとう』

賀喜『いや、いいよ。よかったよー本当に』

遠藤『びっくりさせてごめんね?』

賀喜『絶対に二人でレコ大獲ろうね』

遠藤『全力でお供させてもらいます!!』


同期がいるから頑張れる。
先輩がいるから頑張れる。
後輩がいるから頑張れる。

それは今、4期だけの特権。
私達だからできることがある。
私達がやらないといけないことがある。

まだまだ立ち止まってる場合じゃない


賀喜『さくちゃん!』

遠藤『なあに?かっきー!』



これからだよ、私達








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