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チューブラータイヤとクリンチャータイヤを乗り比べてみた話 (続き)

 ロードバイクに乗り始めて37年,これまでチューブラータイヤ一筋であった私が,初めてクリンチャータイヤに乗ってみた話を,先日のNoteに書いた

ここでは,いくつか書き残したこと,その後に気がついたことを記したいと思う.

13. チューブラータイヤからクリンチャータイヤへのシフト

 ロードレーサーのタイヤがチューブラーからクリンチャーへシフトし出したのは,1990年代後半であった.
 90年代にフィットネスブームがあり,サイクルスポーツを楽しむ人々が急増した.ちょうどその頃,95年に製造物責任法が施行された.それまでのロードレーサーは,乗り手が適切なメンテナンスをしながら自己責任の上に扱うことが前提とされてきた.リムに接着剤で貼り付けるチューブラータイヤはメンテナンス性に難があり,製造物責任法の観点で完成車メーカーが避けるようになった.
 クリンチャータイヤへのシフトは,最初は低価格帯の入門車のみであったが,次第に上級グレードの車体にもシフトしていった.その後,最上級のグレードの完成車のみチューブラータイヤを採用する時代がしばらく続いた.

14. ロードレーサーのホイールの進化

 30年以上昔の話になるが,学生時代にカンパやMAVICリムの手組みホイールを使っていた.軽いリムと少ない本数のスポークで組んだ軽量ホイールはレース本番での一発勝負で使うものであり,トレーニングやツーリングも含めたオールマイティーに使うものとしては,重量は二の次でとにかく頑丈なホイールが求められた.
 MAVIC GP4のリムを36本スポークでガチガチに組むのが定番のひとつで,私もそれを使っていた.それでもホイールが振れてしまうので,頻繁に振取台で振れを取っていた.タイヤは1本1500円くらいの練習用チューブラー.
これがまた,すぐにパンクをするので,しょっちゅう裁縫修理をしていた.

 今から25年ほど前に,リムとハブとスポークを全体として最適設計することで軽量化された完組ホイール,ケブラー入りの耐パンク性能を向上させたチューブラータイヤが発売され,少しずつ普及するようになった.
私が今使っているホイールは20年前に買ったカンパのNucleon,
タイヤは20年前からビットリアのCORSA CX
最初に買ったときは,とにかく驚いた.
軽いのにホイールが全く振れないし,タイヤもパンクをしないのである.
以前の手組みホイール+練習用チューブラーの時代と比べると,雲泥の差であった.

20年前に乗っていたロードバイク(Rossin Performance),このホイール(カンパNucleon, Vittoria CORSA CX)を今でも使い続けている.過去40年間のロードパーツの革命的な進化を挙げるとしたら,クリップレスペダルデュアルコントロールレバー完組ホイールの3つであろう.

 車体(フレーム)は必要に応じて買い替えてきたが,ホイールとタイヤはこの20年間ずっとNucleon+CORSA CXで変えていない.
その後も多くのメーカーから様々な新しい完組ホイールが発表されたが,「手組みホイール」から「完組みホイール」へのブレークスルーに比べれば,その後の新製品は些細な変化にしか感じられず,興味が湧かなかった.
それに,パーツの進化が全体的に頭打ちになってしまった感があった.
 スプロケットが6速→7速→8速→9速と増えてきた頃は,いち早く手に入れたいと思ったが,10速,11速になると「そこまで必要か?」と感ずるようになった.
 ロードパーツが全体的に成熟してしまい,本質的な性能向上があまりない新製品が多くなったように感じた.次第に,パーツ関連の情報収集もやめてしまい,ネットも見なくなった.

15. クリンチャータイヤの特性

 今回,はじめてクリンチャータイヤを試してみたあと,ネットの評価を調べてみた.自転車ジャーナリストやフレームビルダーなど,実名入りで書かれたいくつかの記事を見つけたが,クリンチャーと比較したときのチューブラータイヤの優位性から,今でもチューブラータイヤを使い続けている人が多いようである.
 前回のNoteでも書いたのだが,クリンチャータイヤ(Vittoria CORSA G2)に関して私が一番驚いたのは,ダウンヒルにおいて路面の衝撃がダイレクトに伝わってきて,やたらとゴツゴツしたことである.チューブラータイヤでは味わったことがない感触であった.
 ネット検索をして調べたところ,藤下雅裕氏はクリンチャータイヤの特性に関して,次のような説明をしていた.

「クリンチャータイヤにはタイヤが硬いのとしなやかなのと2種類あります。主なクリンチャータイヤは、ハイグリップのトレッドゴムを硬いタイヤサイドで、スムーズな路面に押し付けて高いグリップを示します。
そのグリップの高さを頼りに走るようになりがちです。
 ところが、荒れた路面での走行では、タイヤサイドの硬いクリンチャータイヤは、しなやかに変形しないので路面へ追従しにくく接地面積を稼げなくなるので、荒れた路面とのグリップは、スムーズな路面とのグリップからは想像できないくらい低下するので、そのギャップがあることからクリンチャータイヤへ換える気にはなりませんでした。」

私が感じたダウンヒルでの違和感はこれが原因なのだろう.

 だだし,昔の手組みホイール+練習用チューブラーに比べれば,完組ホイール+今時のクリンチャータイヤの方が上質なのは確かで,乗り味の個性のひとつとしては,これもアリだと感じた.
 どうしようもなければヤフオクで売ってしまおうと考えていたが,しばらくはクリンチャータイヤも使ってみるつもりだ.
 何か気がついたことがあれば,今後もNoteにまとめたいと思う.

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