見出し画像

ワールドトリガーが「異世界転生」である可能性について

◯はじめに

「異世界転生」というジャンルがあります。

漫画やアニメ、小説などで「異世界転生」の作品は数多くあり、人々に親しまれています。

そこでふと思ったのが、

ワールドトリガーもある意味では「異世界転生」の作品なのではないか?

ということでした。

そこで今回はワールドトリガーが「異世界転生」である可能性について考察したいと思います。

◯「異世界転生」とは?

私はあまり「異世界転生」の作品には詳しくないのですが、イメージとして

①主人公が元世界で死ぬ
②別世界(異世界)に転生する
③転生時に得た能力や元世界での知識を異世界で活用する

という流れがあるように思います。

ワールドトリガーの場合、この流れに当てはまる可能性がある主人公は空閑遊真です。

①に関しては、近界民である遊真はカルワリア(近界/元世界)で黒トリガー使いの襲撃によりほとんど死亡に近い状況になっています。

「ユーマの人生は、そこで終わった」

第20話

②に関しては、有吾が黒トリガーを作ったことで遊真を「転生」させています。

「有吾はユーマを助けるために黒トリガーを作った。死にゆくユーマの肉体をトリガーの内部に封印し、それに代わる新しい体をトリオンで作ってユーマの命をつなぎとめた」

第20話

実際に遊真が別世界(玄界)に行くのは3年後になりますが、玄界での遊真は③のように転生時に得た能力(トリオン体・サイドエフェクト・黒トリガー)や元世界(近界)の知識を活用している描写が数多くあります。

「もう少し周囲に気を配ったほうがいい。生身なら損傷していたのはユーマのほうだっただろう」

第1話

「つまんないウソつくねオマエ。おれと仲良くなりたいのか?」

第1話

「レプリカ、トリガー使っていいか?」
「それを決めるのは私ではない、ユーマ自身だ」

第1話

「むこうの戦争でたまにやってたんだ。最初の何回かだけ大負けしたフリして引きこんで殺すの」

第41話

「遊真くんに訊きたいんだが……むこうの世界では捕虜の扱いはどうなっている?」
「う〜ん拷問的なのもないことはないけど、情報目当てではあんまやらないかな。助かりたくて適当なこと言う場合が多いし……ほんとにまともな情報が欲しいんなら、たくさん人数拷問してどの情報が本物かすり合わせしないと」

第104話

「実際のトリオン兵は『脳みそ部品』にちがいがあって、連携タイプは4・5体まとめて動かしたりもできるけど今回はそういう設定はなさそうだし、連携させるのは性能的にもねだん的にも微妙だと思う」

第238話

以上の点から、ワールドトリガーに「異世界転生」の要素があることは事実であると言えます。

◯「異世界転生」との違い

しかし、ワールドトリガーは「異世界転生」とは違う点もあります。

まず違うのは「流れの順序」です。

「異世界転生」では物語冒頭で主人公の死が描写されますが、ワールドトリガーでは主人公(遊真)の死が描写されるのは第20話とかなり遅いです。

しかし、その前から遊真が「転生」していることを示唆する描写はあります。

「なんで髪の毛真っ白なの?」
「昔は黒かったよ。いつの間にかおどろきの白さに」

第1話

この描写だけで遊真が「転生」していることを読み取ることは不可能に近いですが、読み返すことで実は遊真が「転生」していることは物語冒頭で示されていたことが分かります。

また「異世界転生」の序盤では主人公が無双・万能に近い活躍をする描写がありますが、ワールドトリガーの場合は序盤から遊真の活躍をやや抑えているような印象を受けます。

「おーなんだ遊真、けっこうやられてるじゃんか」
「おっ、迅さん」
「油断したのか?」
「いや、ふつうに手強かったよ」

第16話

「うーむ……今日も3勝7敗が最高か……4勝の壁があるな」

第25話

「駿はどうだった? 遊真。手強かったか?」
「けっこう強かったかな。こなみ先輩と10本勝負してなかったらやばかったかも。これからもっと強くなるやつだと思うよ」

第41話

他にも主人公が複数人いる(三雲修/雨取千佳/迅悠一)ことで、読者が遊真だけに意識を向けることがないようにしていることも関係しているかもしれません。

特に大規模侵攻編までは意図的に主人公が三雲修であることを強調する物語の流れがあるように思います。

結果として、「異世界転生」の要素はありつつも「異世界転生」ではない物語としてワールドトリガーは成立していると言えます。

◯おわりに

「異世界転生」の作品が世の中に多いという事実から、「異世界転生」という形式には物語を成立させやすい性質があるように思えます。

自分は今まであまり「異世界転生」の作品には触れてこなかったのですが、今回の考察でワールドトリガーに「異世界転生」の要素が含まれていることが分かったので、これからの考察に活かすために「異世界転生」の作品にも目を向けてみたいと思いました。











この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?