「能力の欠略」とキャラクターの魅力の因果関係について
◯はじめに
ワールドトリガーの能力には
があります。
そのうち「サイドエフェクト」は基本的に失うことはありませんが、「トリガー」は外すことができるという特徴があります。
つまりワールドトリガーでは自然に「能力の欠略」が可能であるということになります。
この「能力の欠略」とキャラクターの魅力に因果関係があると考え、考察しようと思いました。
◯迅悠一
まず物語上で「能力の欠略」が印象的なキャラクターと言えば、迅悠一です。
迅は黒トリガー(能力)である「風刃」に加え、サイドエフェクト(能力)の「未来視」も強力であり、その組み合わせの強さは本人も認めています。
このように強力な能力を複数持ち、その相乗効果で爆発的な戦闘力を発揮するタイプを「能力相乗型」と呼ぶことにします。
「能力相乗型」のキャラクターの場合、読者はその能力には注目しますが、それ以外の要素(技術など)にはあまり注目しなくなる可能性があります。
しかし物語の中で、迅は黒トリガーの「風刃」を本部に献上します。
これにより迅は通常トリガーを装備することになり、S級からA級になります。
この迅の「能力の欠略」により、大規模侵攻編では通常トリガーを駆使してアフトクラトルの精鋭であるヒュースと戦う姿を見ることができます。
「未来視」のサイドエフェクトがあるとは言え、単純なトリガー性能では不利なはずの迅がヒュースと互角に戦うことで、迅の「技術」の高さを読者は認識することになります。
そして迅と戦ったヒュースにも、「能力の欠略」が発生します。
◯ヒュース
ヒュースは強力なトリガーである「蝶の楯」の使い手ですが、ボーダーのランク戦では使うことができないので通常トリガーを装備することになります。
このヒュースの「能力の欠略」により、「蝶の楯」を使っていた時には見られなかったヒュースの新たな一面を読者は認識することになります。
B級ランク戦の中でヒュースというキャラクターの魅力を引き出す上で、「能力の欠略」は有効であると言えます。
◯閉鎖環境試験編
ここまで迅やヒュースで「能力の欠略」について考察してきましたが、実はもっと広範囲で「能力の欠略」が使われています。
それが閉鎖環境試験編です。
閉鎖環境試験では戦闘用のトリガー(能力)が使えません。
つまり閉鎖環境試験の受験者全員が「能力の欠略」の影響を受けていると言えます。
特に戦闘能力が高いキャラクターほど「能力の欠略」により新たな一面を見せています。
閉鎖環境試験編が基本的にデスクワーク中心であまり動きがないのに面白い理由は、「能力の欠略」によってキャラクターの新たな魅力が引き出されているからかもしれませんね。
◯おわりに
バトル漫画はキャラクターに能力を「足していく」のが基本ですが、逆に「引いていく」ことで面白くなる場合もあることに気付けて良かったです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?