![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/147120613/rectangle_large_type_2_6804039077752a10464a9383c37c32df.jpeg?width=800)
「戦闘が面白いなら決着時のセリフは名言」説(ボーダー入隊編〜大規模侵攻編)
◯はじめに
なぜか急にタイトルの説を思い付いたのでざっくり考察していきたいと思います。
長くなりそうなので今回はボーダー入隊編〜大規模侵攻編までを対象とします。
◯ボーダー入隊編
●遊真vsバムスター
「よう、平気か? メガネくん」
(よう、無事か? メガネくん)
遊真のこのセリフを聞いた時に修は迅から言われたセリフを思い出す訳ですが、この時点では読者は迅のことをほとんど知りません。
また迅のこのセリフは本来なら大規模侵攻編の終盤(第82話)で修の回想として出てきます。
「よう、無事か? メガネくん」
つまり、第1話で出てくるのは物語の流れとしてはやや不自然です。
この手法はいわゆる映画の「予告篇」に近いような気がします。
「映画は予告篇が面白い/池ノ辺直子」にこのような記述があります。
予告篇では、素材である本篇のシーンを、本篇のストーリーの流れとはまったく関係のないところで使います。ですから、予告篇のあのシーンが素敵だと思って本篇を見たら、予想と全然違う場所にあったということもよく聞きます。つまり、ここが「売り」というシーンがあって、それを盛り上げていくために、徹底的に素材としての本篇を生かすのです。
あえて迅のセリフをストーリーの流れとはまったく関係のない第1話に「予告篇」として入れることで、第82話まで読み進めた読者がこの場面を物語の「売り」であると認識するような構造になっていると言えます。
●遊真vs三輪隊
「さて、じゃあ話し合いしようか」
自分の命を狙う相手との戦闘が終わった直後とは思えないほど冷静なセリフですね。
あくまで遊真にとって戦闘の勝利は目的のための「過程」に過ぎないという印象を受けます。
ワールドトリガー全編を通して見ても、遊真は戦闘で勝利して勝ち誇るような描写はほとんどないような気がします。
●黒トリガー争奪戦
「残念だけど、そりゃ無理だ」
このセリフだけを見ると迅の勝者としての余裕が感じられますが、続きを読むと『「風刃」を本部に献上するから戦えない』という意味だったことが判明します。
「残念だけど」というセリフには自分がこれから「風刃」を手放すことへの「覚悟」のようなものが含まれているような気がします。
●修vs風間
「最後は相打ち……引き分けだ」
模擬戦の勝敗はおそらく機械的に判断されていると思うのですが、ちゃんと引き分けを申告するのが自分に厳しい風間さんらしいですね。
ちなみにこの修と風間さんの模擬戦でワールドトリガーが好きになる人が多いらしいです。
◯大規模侵攻編
●風間隊vsエネドラ
「相手の大技を待って姿を隠し、囮の2匹が気を引いて影役のチビが斬りかかる。頑張ったなあ、工夫したなあ、毎日練習したんだろうなあ。けど残念、オレは、黒トリガーなんでな」
煽りのようなセリフですが、よく読んでみるとエネドラは風間隊の努力や実力をちゃんと認めているんですよね。
それが自分の黒トリガー(「泥の王」)には通用しないということを強調しているだけで。
後に諏訪隊と交戦した時も
「さっきのチビどもはチョロチョロかわしてムカついたが、てめえらはそうでもねーなあ。なんの芸もねえ、雑魚そのものだぜ!!」
と諏訪隊と比較して風間隊の実力を認めるような発言をしています。
●A級+B級混合部隊vsランバネイン
『こっちは「部隊」なんで、悪いな』
ワールドトリガーの特徴である「数の力」を象徴するセリフです。
バトル漫画だと強敵が相手の場合、味方の部隊(集団)が単なる「烏合の衆」として描かれてしまうこともありますが、ワールドトリガーではその心配がないのが嬉しいです。
●レイジvsヴィザ
『さらばです、玄界の勇士よ。敗北を恥じることはない。「星の杖」を初見で凌いだ人間はいないのだから』
敗者への賛辞は「嫌味」と感じることもあるのですが、ヴィザ翁のセリフからはそれがほとんどないような気がします。
嘘偽りなく、「星の杖」を初見で凌いだ人間はいないということなのでしょう。
そう考えるとヴィザ翁に「星の杖」を使わせた時点で、レイジさんの仕事としては不足はないように思えますね。
●諏訪隊+風間隊+忍田vsエネドラ
「ダミーが一度ゼロになった時点で、隠密組が決める形は整っていた。我々の勝ちだ」
このセリフでは「我々」という言葉が強調されていますが、これは第70話の
「貴様のようなやつを倒すため、我々は牙を研いできた」
の「我々」に対応しているためだと思われます。
●出水vsハイレイン
「なかなか惜しい駒だ。捕えて部下に加えたかったな」
出水がアフトクラトルのトリガーを使ったらかなり強そうですね。
「蝶の楯」をボーダー隊員が使う可能性があるとしたら、出水か那須さんのような気がします。
●烏丸vsハイレイン
『腕がいい、工夫もある、「戦う力」は持っている。だが勝敗はそれ以前に決まっている』
指揮官として「戦略」を重視しているハイレインらしいセリフですね。
「戦力」や「戦術」が優れていても「戦略」の時点で烏丸は負けていた、ということでしょうか。
●遊真vsヴィザ
「…………やれやれ、これだから戦いはやめられない」
ワールドトリガーの世界でもトリオン体があるとは言えヴィザ翁の年齢で前線に出ることは珍しいようですが、ヴィザ翁が今でも現役で戦えるのはこのセリフから読み取れる「戦いへの探究心」の強さにあるような気がします。
アフトクラトル遠征でヴィザ翁と再戦する可能性は高いと思いますが、次はどんな戦いになるのか楽しみです。
◯終わりに
次はB級ランク戦編以降を考察してみたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?