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ワールドトリガーという作品を「定義付け」ている名言を独断と偏見で選んで語る
◯はじめに
ワールドトリガーはいわゆる「名言」がたくさんある作品です。
その中でもワールドトリガーという作品を「定義付け」ていると自分が思っている名言を選んで、語りたいと思います(考察ではないので注意)
今回取り上げるのはこの5人の名言です。
●空閑遊真
●三雲修
●木虎藍
●太刀川慶
●柿崎国治
●空閑遊真
「おれはべつにへこんでないよ。みんなも同じように鍛えてるのはわかってる。全部が全部勝てるとはかぎらない。でも、だから強い人と勝負するのはおもしろい。ランク戦の仕組み作った人はなかなか考えてる。特に負けても誰も死なないとこがいいね」
空閑遊真はバトル漫画の主人公として「最初からかなり強い」という設定があります。
実際、B級ランク戦編が始まってからもROUND1・2では単純な戦力で遊真に勝てる相手はいませんでした。
「早い!! 吉里隊があっという間に全滅!? 玉狛第二の空閑隊員! B級下位の動きじゃないぞ!?」
「両方の強さを知る緑川くんから見て、エース対決はどちらに分があると思いますか?」
「そりゃ遊真先輩だね。荒船さんは今は狙撃手がメインだし、遊真先輩が勝つと思う」
そんな遊真がROUND3の対戦相手である鈴鳴第一のエース、村上鋼に模擬戦で完敗してしまいます。
「……なるほど、こりゃ手強いね」
普通のバトル漫画の主人公なら落ち込む流れですが、遊真は特に落ち込んだりはしません。
ワールドトリガーのキャラクターは全体的に精神年齢が実年齢に比べて高めなのでやや達観している印象を受けますが、特にこの場面の遊真はその傾向が強く出ていると思います。
敗北が死に直結する近界で生きてきた遊真だからこそ、玄界の(ワールドトリガーの特徴でもある)負けても死なない戦闘システムを「おもしろい」と評することができるように思えます。
●三雲修
「運命の分かれ道は、こちらの都合とは関係なくやってきます。準備が整うまで待っていたら、ぼくにはきっと一生何もできません。ぼくはヒーローじゃない、誰もが納得するような結果は出せない。ただその時やるべきことを、後悔しないようにやるだけです」
三雲修は空閑遊真とは真逆でバトル漫画の主人公なのに「かなり弱い」という設定があります。
この考察でも触れていますが、やはりバトル漫画の主人公とは思えない弱さです。
実際、私も他のバトル漫画を読んでいて主人公があまり強くないとストレスを感じることがあります。
しかし三雲修にストレスを感じることはほとんどありません。
その理由として、読者が三雲修に求めていることが単純に「敵を倒す」だけではないからだと思いました。
「敵を倒す」だけなら主人公である修よりも強い味方がたくさんいるので、無理に修が倒す必要がないのがワールドトリガーの特徴です。
「ガロプラとロドクルーンはどうする? おれたちも何か調べるか?」
「……いや、それは迅さんたちに任せよう。玉狛第二に任務が来たら受ければいい。ぼくたちはまずはランク戦、目の前の一戦に集中だ」
「1人のキャラクターに役割を押し付け過ぎない」というのも、ワールドトリガーの特徴のような気がします。
「……けどあんまり気負うなよ迅。何かあってもお前一人の責任じゃないからな」
「わかってるって、強い仲間を当てにしてるよ」
●木虎藍
「目の前の目標から目を逸らして方向の違う努力に時間を費やすって言うなら、それは単なる現実逃避よ。私はそんなことに付き合うほど、優しくもないし暇でもないの」
社会人になって気付いたこととして、世の中には「努力する人」と「努力しない人」がいて、「努力する人」は人から言われなくても頑張るし、「努力しない人」は人から言われても頑張りません。
だから「努力している」時点で一定の評価を得ることができるのですが、ワールドトリガーの世界は違います。
ワールドトリガーには基本的に「努力する人」しか出てきません。
だから必ずしも努力すれば結果が出るとは限りません。
「犬飼との1対1も完全な悪手というわけじゃない。新しいことをやろうとする姿勢は見えたし、鍛錬による成長も感じられた。だが当然、三雲以外の人間も日々鍛錬を積んでいる。当たり前のことをやっていては、先を行く人間には追いつけない」
「おまえがたった半年で上がったマスター級に、2年かけて腕磨いて犬飼先輩に射撃習ってもとどかねえのがオレの実力だよ!!」
努力することに満足するのではなく、その方向性や妥当性にまで意識を向けることの大切さを教えてくれるのは、ワールドトリガーの特徴だと思います。
●太刀川慶
「気持ちの強さは関係ないでしょ。勝負を決めるのは戦力・戦術あとは運だ。(中略)気合いでどうこうなるのは実力が相当近いときだけだ。もし気持ちの強さで勝ち負けが左右されるってんなら……俺が1位になれるはずがない」
ワールドトリガーの名言と言えば、やはり太刀川のこのセリフだと思います。
このセリフだけだと誤解されがちですが、ワールドトリガーは気持ちの強さを軽視している作品ではありません。
この考察で触れましたが、むしろ気持ちの強さを重視しているからこそ太刀川の「気持ちの強さは関係ない」が意味を持つように思います。
「勘違いするなよ、俺は気合の乗ったアツい勝負は大好物だ。けど、気持ちの強さで勝負が決まるって言っちまったら、じゃあ負けた方の気持ちはショボかったのかって話になるだろ」
太刀川はこのようにフォローを入れるのですが、太刀川自身も黒トリガー争奪戦で迅に負けているからこそ、負けた方の気持ちに寄り添っていても違和感がありません。
この考察でも触れましたが、そもそも「太刀川慶」というキャラクターそのものがワールドトリガーを「定義付け」ているような気がしますね。
●柿崎国治
「おまえらにとっちゃ俺たちは遠征までの通過点、勝って当たり前の相手なのかもしんねーが、新しい連中がどんだけ派手に追い抜いて行っても、それであいつらの価値が消えてなくなるわけじゃねえんだ」
実はこのセリフ、初読の時はそんなに記憶に残りませんでした。
というのも、ザキさんの言う通り物語の展開として柿崎隊は「遠征までの通過点」だと思っていたからです
このセリフの捉え方が変わったのはB級ランク戦編の次に遠征選抜試験編が始まり、今まで登場したキャラクターの続投が決まった時です。
「今回の選抜試験で遠征部隊が決まり近界へ進発すると、本部基地の人員が大幅に減るため、ランク戦や昇格戦なとが今までのようには行えなくなる。なのでそのかわりにこの機会を使って、今後のボーダーの主力となるB級中位以上の隊員の適性と能力を測っておきたい、というのが主な理由だ」
ここで初めてザキさんのセリフがいわゆる「綺麗事」ではなく、遠征選抜試験編の「前振り」だったことに気付きました。
ワールドトリガーは「登場人物全員が主人公」というイメージが強い作品ですが、それは登場人物の価値を大切にしているからかもしれませんね。
ちなみにこのザキさんのセリフ、アニメだとさらに感動する(した)のでまだアニメで見てない人は是非見てください!
◯おわりに
ワールドトリガーは「名言製造機」だと思っているので、これからもどんな名言が出てくるか楽しみですね。
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