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ワールドトリガーにおける「サブタイトル」の命名ルールとその効果について

◯はじめに

2024年5月現在、ワールドトリガー(原作漫画)のサブタイトルは以下のようになっています。

「三雲修 〜⑱」
「空閑遊真 〜⑫」
「嵐山隊 〜④」
「木虎藍 〜⑤」
「ボーダー上層部」
「迅悠一 〜⑨」
「雨取千佳 〜⑨」
「三輪隊 〜③」
「空閑有吾」
「玉狛支部 〜⑦」
「本部トップ部隊」
「太刀川慶」
「レプリカ 〜③」
「大規模侵攻 〜㉔」
「玉狛第1 〜②」
「アフトクラトル 〜⑥」
「風間隊」
「烏丸京介」
「三輪秀次」
「玉狛第2 〜㉔」
「宇佐美栞」
「村上鋼 〜②」
「鈴鳴第一 〜③」
「那須隊 〜④」
「那須玲」
「二宮匡貴 〜④」
「絵馬ユズル 〜②」
「影浦雅人」
「東春秋 〜②」
「影浦隊」
「林藤陽太郎 〜③」
「ガロプラ 〜⑭」
「ヒュース 〜⑨」
「香取隊 〜②」
「柿崎国治」
「香取葉子」
「生駒達人 〜②」
「王子隊」
「王子一彰」
「東隊 〜②」
「根付栄蔵」
「二宮隊 〜②」
「里見一馬」
「弓場拓磨」
「弓場隊 〜④」
「B級中位最終戦 〜②」
「B級ランク戦終了」
「忍田瑠花」
「遠征選抜試験 〜㊳」
「鳩原未来」

このサブタイトルの命名ルールはかなり独特で、アニメ版とは明らかに異なっています。

第1話 「異世界からの来訪者」
第2話 「近界民とトリオン兵」
第3話 「三雲修の実力」

第74話「襲来」
第75話「激突」
第76話「決戦」

今回はサブタイトルの命名ルールについて考察し、その効果を考えてみたいと思います。

◯命名ルール

私はサブタイトルの命名ルールには次の5種類があると考えました。

① 「個人を指す名詞」
② 「部隊を指す名詞」
③ 「団体を指す名詞」
④ 「国を指す名詞」
⑤ 「事象を指す名詞」

①「個人を指す名詞」(一例)

「三雲修 〜⑱」
「空閑遊真 〜⑫」
「木虎藍 〜⑤」
「迅悠一 〜⑨」
「雨取千佳 〜⑨」

(全28人)

②「部隊を指す名詞」(一例)

「嵐山隊 〜④」
「三輪隊 〜③」
「本部トップ部隊」
「玉狛第1 〜②」
「風間隊」

(全14部隊)

③「団体を指す名詞」

「ボーダー上層部」
「玉狛支部 〜⑦」

④「国を指す名詞」

「アフトクラトル 〜⑥」
「ガロプラ 〜⑭」

⑤「事象を指す名詞」

「大規模侵攻 〜㉔」
「B級中位最終戦」
「B級ランク戦終了」
「遠征選抜試験 〜㊳」

この中でワールドトリガーに特異なルールとしては、①の「個人を指す名詞」がサブタイトルのかなりの数を占めていることが挙げられます。

その中の「三雲修」に注目してみると

第1話 「三雲修」
第4話 「三雲修②」
第21話「三雲修③」
第35話「三雲修④」
第36話「三雲修⑤」
第37話「三雲修⑥」
第50話「三雲修⑦」
第69話「三雲修⑧」
第82話「三雲修⑨」
第84話「三雲修⑩」
第85話「三雲修⑪」
第107話「三雲修⑫」
第115話「三雲修⑬」
第143話「三雲修⑭」
第148話「三雲修⑮」
第165話「三雲修⑯」
第177話「三雲修⑰」
第194話「三雲修⑱」

このように200話近くに渡ってサブタイトルに登場していることが分かります。

そこで「個人を指す名詞」をサブタイトルにすることの効果について考えてみました。

◯その個人(キャラクター)に注目させる

まず考えられるのは、読者にそのサブタイトルのキャラクターを注目させることです。

読者はそのサブタイトルを見た時に「今回の話はこのキャラクターが主役なのか」と推測し、そのキャラクターに注目して読むことになります。

しかしそれを逆手に取って「サブタイトルにしなかったキャラクターを読者の注目から外す」という効果もあります。

その効果が見られるのが第195話の「雨取千佳⑨」です。

第195話は千佳が修を守るためにアイビスで辻󠄀を撃つ場面があります。

「………!!(鉛弾じゃ   ない)」

第195話

読者としてはサブタイトルの「雨取千佳⑨」で千佳に注目してるので、今回の話は千佳が主役だと認識します。

そこで読者の注目が修から離れたところに、

「……勝った」

第195話

が来るのです。

もし第195話のサブタイトルが「三雲修⑲」や「玉狛第2㉔」だったら、修が何かすることを読者が予測する可能性が高くなります。

あえて「雨取千佳⑨」にすることで読者の注目を修から外し、より意外性を高める効果があるのではないでしょうか?

◯他の個人(キャラクター)がサブタイトルになる期待感を読者が持つ

サブタイトルになるキャラクターはいわゆるワールドトリガーの主人公(空閑遊真、三雲修、雨取千佳、迅悠一)だけではありません。

誰でもサブタイトルになる可能性があります。

それは言い換えれば

誰でも主役になれる可能性がある

ということでもあります。

実際、ワールドトリガーを読んでいると

登場人物全員が主人公なのではないか?

と思うことがありますが、そう思う要因の中にこのサブタイトルの命令ルールも含まれているかもしれません。

◯おわりに

今回は①の命名ルールに注目して考察しましたが、②〜⑤について考察してみるのも面白いかもしれませんね。




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