私の冒険の始まり: アート思考について



はじめに: 自分の目指す姿

 私は、大学院時代から現職に至るまで25年間(気が付けば四半世紀にも及びます)にわたり研究職を歩んできました。この間、学んだ知識を日々の業務に活用し、成果を通じて会社に貢献することに力を注いできました。
 一方で、新しい知識や技術に出会った際に「すごい」と感じる喜びが、私の原動力となっていました。常識的に考えれば、企業におけるそれらの価値を決めるものは、実用性、即ちどれだけ会社の利益につながったか、です。「すごい」と感じること自体は、単に自分の中でのことで、特に意味は重要性は感じて来ませんでした。

 しかし最近、「13歳からのアート思考」という書籍に出会い、実は私が感じていたことはアート思考に通じるものであり、かつこれからのVUCAの時代にはアート思考が重要、との気づきを得ました。
 そこで、この癖を意識的に育ててみたいと思うと同時に、分かったことを他人(未来の自分を含む)と共有したいと考えるようになりました。そこで、このNoteを通じて思考や発見を共有する決意を固めました。


アート思考は、自分なりの「すごさ」への探究?

 自分はどちらかと言うと引っ込み思案な性格で、この新たな挑戦は確かにチャレンジングです。しかし、このNoteが、私自身の探求心を刺激し、そして、読者の皆様にとっても新しい視点や発見の場となることを願っています。

アート思考について

アート思考とは何か: 末永幸歩さんの「13歳からのアート思考」を参考に

 第一回となる今回は、きっかけとなった末永幸歩さんの「13歳からのアート思考」を元に、その内容と私の解釈を以下に紹介します。
 著者の末永幸歩さんは、中学・高校で美術教師を経てアート思考を通じて「ものの見方を広げる」ことを重視している教育者の方です。本書では、6つの作品を通じて知的冒険を展開し、「アーティストのように考える」ことを促しています​。詳しくは是非全編を読んでいただきたいですが、以下に、自分なりにアレンジした概略を示します。
 アートの歴史を振り返ると、19世紀までは、何らかの出来事やイベント・人物などのイメージを人に伝える、と言う明確な目的のもとに制作されていました。しかし、20世紀になり、方向性が大きく変わりました。それまでのミッションから良くも悪くも解放され、より制作者の内面追求が重視され、現在では、物事を自分なりの方法で追求するプロセスこそが重要、と言う考え方に至っています。
 これは美術だけでなく、VUCA(変動、不確実性、複雑性、曖昧性)と言われる現代社会の様々な分野にも適用できる考え方です。時代の変化は本当に速く、完全に追随することは難しいです。そこで、逆に流行に過度に流されず、自分の価値観で物事を追求することが重要です。この考え方を採用し、自分なりの価値観で物事の追求をする人々は、分野に限らずアーティストと呼べるでしょう。

アート思考の実例: Steve Jobsの逸話

 本書を元に、アートに触発されて多大な実績を上げた、と言えそうな実例を見てみましょう。Appleの創業者、Steve Jobsのお話です。
 Jobsは、1984年にMaccintoshを世界に向けて発表したのですが、その際にディスプレイに映っていたのは日本の木版画でした。これ以外にも、彼の人生を通じて、日本文化との深い関わりが見受けられるそうです。Jobsのかつての盟友であり、アップル・コンピュータの元CEOでもあるSculley氏によれば、Jobsは、幼い頃の友人宅に飾ってあった川瀬巴水の版画に始まり、日本の文化、特に焼き物に強い関心を持っていたそうです。特に、京都を訪れるたびに陶器のギャラリーを訪れ、気に入った作品を購入していた、とのことです。これらの深い理解から芽生えた独特の感性が、彼の製品やソフトウェアの設計に影響を与え、アップルの製品のDNAとなっていった、とのことです。(出典はこちら)
 なお、取材にあたった佐伯健太郎さんの取材記も大変読み応えあります。この方も、独自の美学でこのトピックを追求したアート思考の求道者なのではないか、と思います。是非ご一読ください。

アート思考と目指す自分なりの挑戦

このアート思考に関する本、および関連するお話などから私は感銘を受け、ぜひ自分でも実践してみることにします。自分が興味を持って追求できる領域は何かと考えた時に、主に浮かんだのは以下の二分野です。

量子技術へのアプローチ

大学生の頃からずっと何らかの形で携わり続けている「量子」「物理」「化学」。最近は、量子コンピュータが話題になるなど、今後の人類文明の鍵を握るテクノロジーになる可能性が大いにあります。
自分は企業の人間なので、基本的に新しい技術は「使う側」です。しかし、昨今の世界情勢を受け、ただブラックボックスとして使うだけでなく、中身や安全性をしっかり理解して、かつ自分たちのニーズ・用途に合わせて(できれば自分たちの手で)カスタマイズする、と言う付加価値も見直されつつあるように感じます。ここにアート思考を念頭に置きながら挑むことによって、自分ならではの貢献ができるかもしれません。そこで、日頃使っている量子技術について、自分なりに感じた「面白いポイント」を紹介したいと思います。

マネジメントへの新たな挑戦

 つい最近、新しい役職を拝命し、リーダーシップ・マネジメントも求められるようになりました。自分にとっては未知の領域で、日々学ぶことばかりです。
 マネジメントは、人や職種・環境によって全然変わってくるのだと思います。ただそうは言っても、「こうあるべし」という法則というか王道のようなものはあり、それは人類の歴史の洗礼を潜り抜け、磨き抜かれているのではないか、と思います。そこで、自分なりに感じた「興味深いポイント」をまとめて紹介するようにしたいです。

その他

 100%仕事だと息が詰まります。そうでないことにも、何がしかの興味深いポイントをご紹介できると思います。最近は、アメリカンフットボール・駅伝なども楽しみます。自分自身が体を動かす趣味も何か紹介できたら良いのですが。

最後に

 アート思考についてご紹介し、そのアート思考のアプローチを念頭に置きつつ、自分が親しみを持って取り組んでいることの紹介をしていきたい、と思います。これらの分野を探求することで、より豊かな学びと成長が期待できると確信しています。

 他の人のお役に立てればもちろん万々歳ですが、何より、自分なりに学んだこと、「美しい」と感じたこと、をまとめることによって、自分の価値観・次に目指すべき道が明確になる、そのように思います。


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