ファーストアルバムとBoys Don't Cry

6月14日。少しずつファーストアルバムの取り扱い方が分かってきた。泣いている時は基本的に①おなかがすいた、②おむつ替えて、③だっこして、この3パターンしかない。①はおよそ3時間おきに授乳とミルクをやっているのでタイミングは掴めている。②は見りゃわかる。どちらでもなければ③だ。原因さえ分かっていればどれだけ泣いていても冷静に対応できる。ただミルクに関しては夜中だろうが3時間おきのペースをきっちり守って与えないといけないので、まとまった睡眠が取れないのは体力的にきつい。今のところは一挙手一投足がいちいちかわいいのでイライラすることはないが、何せまだ育児を始めて1週間も経ってない。これからどうなるやら。まあ手を抜ける所は抜きつつ、なるべく張りつめないようにやっていこうと思う。

しかしこの日は困ったことに、上記の3パターンのどれを試してもギャン泣きが止まらないのである。だっこすると一瞬は泣き止むのだが、そのうち体全体をグネグネ激しく動かして泣き出してしまう。熱もないしこれといった異常はない。どしたんや一体。しかしこちらがオロオロしていてもただ気力を消耗するばかりである。とりあえずやることはさっさとやってしまおう、ということで風呂に入れることにする。沐浴は自分が担当している。グネグネするファーストアルバムを適当にあしらいながら、何とか服を脱がせて風呂場に直行。

ただ沐浴はこちらもまだ慣れてないし、元々風呂に入っている間は全く落ち着いてくれないのに、ギャン泣き状態で沐浴するとなると、それはもう戦争状態である。じたばたして片手では頭を支えきれずに落としそうになるので、お湯につけることすらままならない。もうこうなったらシャワーだけで簡単に洗ってしまうか…と思って蛇口に手を伸ばしたその時、腹部から腰にかけて不意に暖かい温度を感じた。シャワーはまだ出してない。何故だ。

下に目をやると、シャワーの代わりだと言わんばかりに、ファーストアルバムの股間からささやかな温水が放出されていた。何とも見事なアーチを描いて。その時自分が着ていたのは The Cure のツアーTシャツだった。緩やかに湿度を増していく The Cure 、次第に泣き止み出したファーストアルバム。その時、自分の頭の中では自然と "Boys Don't Cry" が再生されていた。

きっとこれから先、この曲を聴くたびにこの時のワンシーンが脳裏に過ぎるのだと思う。前から好きな曲だが、今日一日でより一層思い出深い曲となった。「男の子は泣かないもんさ」。いや泣いてもいい。いいんやが、せめて人に向かって放尿はやめようね。

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