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ここでの出会いから新たなインパクトをつくりだそう!〜2019・2020・2021年度休眠預金事業支援先合同セッションを開催【後編】

 2023年2月20・21日、SIIF主催による「2019・2020・2021年度休眠預金事業支援先合同セッション」を開催しました。後半は「1on1相談コーナー」と2日目の「分科会」についてご報告します。
(前編はこちら

各分野に強いアドバイザーによる個別相談を実施

1日目、ショートピッチに続いて行われたのが、「1on1相談コーナー」。青柳専務理事が「素晴らしい方たちにご協力いただいた」と絶大な信頼を寄せる12名のアドバイザーが、実行団体の抱える悩みや相談を1対1で受けるコーナーです。アドバイザーと団体とはあらかじめマッチングを行い、1団体が3名のアドバイザーと対面できるよう設定。30分ずつという短い時間ではありましたが、真剣な面持ちで話し込む様子が各所で見られました。

住宅確保困難者向けのサービスを提供する
Rennovater(株)・松本知之代表取締役社長

Rennovater(株)は、住宅確保困難者に良質な住居の提供を行っている会社です。低所得者にも手が届きやすい家賃を実現するべく、低価格で空き家を購入。自社物件をリフォームした上で地域最安値の家賃で物件を提供していますが、資金調達、広報、経理、物件取得・リフォーム・入居者サポートまで、すべての業務を松本知之代表取締役社長が1人で担っています。そんな松本代表取締役社長の悩みは「人手不足」。人材を雇う資金難もあり、「寄付で資金を集めることはできないか」という相談に対して、経営コンサルタントである合同会社喜代七の山元圭太代表がさまざまな選択肢を提案しました。
狭山市をはじめ埼玉県内の中小企業・小規模事業者等の経営支援、創業支援を専門とする、狭山市ビジネスサポートセンターSaya-Bizの小林美穂センター長。「暮らしを“共有化”(コモニング)する」を合言葉に、共創型コミュニティプラットフォーム「Share Village」の開発・運営などを行うシェアビレッジ(株)の丑田俊輔代表取締役が「目指す世界観を伝えることの難しさ」を口にすると、小林センター長は「シェ アビレッジが何をしている会社なのか」ブランディングの必要性を 指摘し、「なりたい会社のイメージをはっきりアピール」していくことの重要性を力強い言葉でアドバイスしました。

地域の関係人口を創出し、地域活性化を促す
シェアビレッジ(株)・丑田俊輔代表取締役

示唆に富む指摘で 実行団体を刺激

「御社の目指す社会的インパクトは、広く一般に理解されなければならないものなのか?一部の人だけにしか理解されないものであっても、自社ビジョンに基づくインパクトを追求すればいいのではないか ?」と、一般社団法人ソーシャル・インベストメント・パートナーズの鈴木栄代表理事兼CEOに問いかけられた のは、(株)雨風太陽の大塚泰造取締役。雨風太陽は生産者と消費者をつなぐ国内最大級の産直アプリ「ポケットマルシェ」を運営していますが、産直アプリを通じて創出された関係人口について、創出のプロセスや関係人口が人々へ与える影響などを分析してきました。同社の事業がもたらす社会的インパクトについて、一般の方にわかりやすい指標を設定するのが難しいことについて、大塚取締役が鈴木代表理事兼CEOの意見をたずねていました。鈴木代表理事兼CEOは「関係人口は増えるだけで よいのか?」「それが具体的にどのような社会課題の解決につながっているのかの方が大事では?」と問題提起し、社会的インパクトを創出するためのロジックモデルを自信をもって発信することを勧めました。
このほかにも各団体のさまざまな問題について、専門家の立場から提案やアドバイス、時には厳しい指摘があり、「具体的な行動につながるアドバイスがあった」「的確な指摘をいただき視野が広がった」など大変好評でした。

関係人口創出のプロセスやその影響などを分析する(株)雨風太陽

3つのテーマで講師による分科会を開催

 セッション2日目は、「EBPMと官民連携」(田鹿倫基 九州地域間連携推進機構(株)代表取締役)、「インパクト投資の現在地」(菅野文美 SIIF知識創造部インパクトエコノミーラボ所長)、「小規模組織のチームビルディングとマネジメント」(山元圭太 合同会社喜代七代表)の3つのテーマで、1時間の分科会を行いました。
 「EBPMと官民連携」は、地方創生に欠かせない、官民連携の取り組み方がテーマ。官民連携の共通言語となるEBPM(合理的根拠に基づく政策決定)はなぜ浸透しないのかといった議論も交わされ、EBPMについての理解も深めました。

分科会「EBPMと官民連携」の様子

菅野所長と会場を結んでオンラインで行ったのが「インパクト投資の現在地」です。インパクト投資に必要なIMM(インパクト測定とマネジメント)の知識、コロナウイルス感染症の影響で地域回帰が再燃している今、地域にとってインパクト投資はどんな可能性があるのか意見交換しました。
 「小規模組織のチームビルディングとマネジメント」では、卓越したリーダーによる小規模組織が陥りやすいギャップを例に挙げながら、チームビルディングの手法やマネジメントについてレクチャーがあり、組織の成長に応じてどのような取り組みが必要なのかを深める内容となりました。
参加者は、それぞれ興味のあるテーマを選んで自由参加。活発な質疑応答もあり、熱心にメモをとる姿もありました。

合同セッションは対面で会って交流する貴重な機会

 最後のクロージングセッションは4つに分かれて行い、この2日間で「気づきがあった」「これからのビジネスの方向性が見えてきた」といった声が聞かれ、大変有意義な時間であったことが確認されました。また場を共有し、対面で会って交流することは、「得ることのできる情報量が違う」と多くの人が実感。「それぞれ目指しているものは違いますが、抱えている課題には共通項も多く、大変刺激を受けました。せっかくここで知り合いになったので、何らかの形で連携していければいいですね」とは、(株)うむさんラボの大西克典さんの言葉です。
「次回は地方開催も!」との声もあがり、合同セッションは盛会のうちに幕を閉じました。

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