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第2回 金融庁×GSG国内諮問委員会共催「インパクト投資に関する勉強会」―「インパクト投資」に関するアンケートを実施

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勉強会事務局 SIIF広報

インパクト投資に対する金融市場関係者と行政の理解を深め、国内外の社会課題解決に向けたインパクト投資への取り組みの意義と課題を議論する「インパクト投資に関する勉強会」の第2回目が、9月3日(木)にオンラインにて開催されました。
第1回目の勉強会にて、インパクト投資の取り組みの経験や立ち位置の多様性や金融商品の違いによる差異・特性も浮き彫りになったことから、まずは、どのような取り組み・立場が存在し、多様性にはどのような背景があるのかをより俯瞰的に理解することを目指し、すべての委員を対象に、インパクト投資におけるこれまでの取り組みや考え方に関するアンケートを事前に実施しました。その結果、幾つか興味深いことが浮かび上がってきました。

リスク・リターン・インパクトや受託者責任をどう理解するかについては、とても多様な意見があったのに対し、インパクト評価については、「課題がある」という意見で一致していました。また、個人の見解と会社の立場は違うことも浮き彫りになりました。このアンケートは、一般的なアンケートではなく、実際に「インパクト投資」に携わっている方、金融機関関係者、事業者からなる委員の意見の集約なので、その点でも意味があると言えます。

第2回 「インパクト投資に関する勉強会」
【全体版】アンケート分析結果(n=33)全文版

アンケート分析概要は以下のとおりです。 

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【取り組み】
✓ 具体的取り組みを実施していない会社・機関は少数派であり、「金融商品の組成・販売」が一番多いが、その他も多 様な取り組みがなされている。具体的な取り組みとしては、未公開ファンド、融資、上場株式投信が多い。
✓ 今後の方向性としては、インパクトの把握・改善、創出、商品の組成・販売が重要と考えられている。
✓ 未公開ファンド、融資、上場株式投信などの採用を検討する企業が多い。
【立ち位置】
✓ 会社の立ち位置、個人としての見解のいずれも、通常と同程度のリスク・リターンで高いインパクトを追求している。
✓ 個人として、現状に比して「インパクトの追求によりリスク・リターンを改善させる」方針をとるべきという意見が多い。
【受託者責任】
✓ リターン改善のためのインパクト考慮は認められる、という意見が一番多い。次いで、サステイナビリティ選好、同等 リターンの場合、ユニバーサルオーナーの立場、はインパクト考慮を認めうる、との意見となっている。
✓ スチュワードシップコードは過半が署名をしておらず、署名機関の中でもインパクト投資への影響は不明との声が多い。
【インパクト評価】
✓ インパクト評価は行われている場合にも課題があり、評価自体不十分という声も多い。
✓ 課題を感じていない会社・機関は皆無。また、「よくわからない」という回答も多い。
✓ 独自の評価、外部ツールをアレンジした場合双方において課題を感じている。
✓ 現状は、定性的、比較検討しない又は同種のプロジェクト間での比較のみの評価が多い。
✓ 今後については、同種のプロジェクト間での比較可能性を求める意見が多い。

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アンケートの結果を受けて、勉強会当日は以下について議論を深めました。
① リスク・リターン・インパクトの関係についての立ち位置について
② 国際的整合性を重視すべきか、日本独自の特徴・案件を配慮するべきか
③ インパクト投資発展のためにインパクト評価に何が求められるか
④ インパクト投資推進のために必要な取り組み・施策は何があるか


アンケートはかなり長文で複雑な質問も含まれていたため、回答率が上がるか心配をしていたのですが、なんと全委員に回答頂くことができました。

2020年の日本のインパクト投資に対する市場関係者の考え方についてスナップショットとして貴重な結果となりました。多様な参加者のニーズをすべて満たすことはなかなか難問ですが、今後も運営を工夫しながら次回以降の勉強会も運営していければと考えています。

第3回は11月の開催を予定しています。

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