映画感想:ヘルボーイ(2019)ネタバレ有り
予告編の、ゴア描写満載のヒーロー映画をやってやるぜ!という気概がひしひしと伝わってきて、劇場で観賞しようと意気込んでいたのだが、あまりヒットしなかったせいか、近くの映画館では上映されなかった為、泣く泣く劇場鑑賞を諦めた本作。
ようやくレンタルにて鑑賞したのだが、思うところはありつつも、これは傑作だろ!
今作の評判はえらく酷いらしく、ロッテントマトではスコアが10%台を記録している。3の製作が熱望されていたデルトロ版ヘルボーイ二部作が、興行面でも健闘し、映画のクオリティ面でも評価が高かった為、中々手痛い存在になってしまっているが、僕はこの映画を憎めない。
だって、昨今のヒーロー映画でここまで人体破壊や人体怪物変化やクリーチャースプラッターをやってのけた作品があっただろうか!
デッドプールのようなポップなグロはともかく、これは他のアメコミヒーロー映画には絶対にビビッて出来なかっただろう。
元来、そのポテンシャルを持つアメコミキャラクターは多い。それをきちんとやってのけたローガン(2016)のような傑作もあれば、ヴェノムのように腑抜けた映画もある。
もちろんすべてのアメコミ映画がそうなればいいとは思ってはいるが、それはさすがに酷というもの。子供に人気のあるヒーローが脳天をバコバコかち割っていくのは、さすがに無理があるだろう。
MCUなんかはそのいい例だ。いい子ちゃんヒーローが世界を救うのだから、グロは忌避せざるを得ない。
だが、そのカウンターとしても、他のユニバースにはどうかダークでいて欲しいと常々思っていた。グロくなくとも、ダークな作風で色分けをして欲しかったのだ。
ところが、DCFUは良くも悪くもコンパクトになってしまい、ソニーのユニバースでは、SF怪奇ホラーとしても、人体変異ものとしても、バイオレンスホラーとしても化けようのあったヴェノムという題材を、血の一滴も出ないダメ男バディものにしてしまう始末。
すっかり落胆していたところに、このヘルボーイを観たらそりゃあ傑作認定するだろ!
どうやら製作段階でゴタゴタがあったらしく、内容は確かに原作場面を再現しようとして、まとまりのない切り貼りのようになってしまっているが、その場面場面がとにかくゴア描写満載でご機嫌なのだ。
デルトロ版にあった病的なほどの造りこみ特撮や、外連味のあるキャラ造形はない。どこかでみたことあるような怪物、いつもの調子で出てくるミラ・ジョボビッチ、少々チープ感が否めないCG・・。
それでも、ご機嫌なロックをかき鳴らしてバイオレンス闘法を繰り出すヘルボーイが血を撒き散らしながら戦っているのを見ると、前述の映画群に落胆していた身としては、どうしても溜飲が下がってしまうのだ。
おまけに主演のデビッド・ハーバーが好きな身としては、憎むことは出来ない。ゴツくて悪そうな見た目だが、どこか不器用で正義を諦めていない男というキャラが似合う俳優、デビッド・ハーバー。ヘルボーイにもちゃんとハマっていたと思う。
エクトプラズム姉ちゃんは活躍が少なかったけど、脱霊パンチがかっこよかったし、ダイミョウは生々しく人体変異するし、(回想シーンがもろにプレデターなのには笑った)豚男やしもべのクリーチャー、巨人は凡庸なデザインだったけど、終盤に地面を割って現れた魔物たちは今までにない素敵な異形の神造形で凄くよかった。これでもかというくらい人間をスプラッタしていくし。
僕はデルトロ版二部作も凄く好きですが、この切り口のヘルボーイも凄く好きです。興行が振るわなかった為、続編を望むには厳しいっぽいが、僕はこれの続きが見たい。この世界のクロエネンやエイブの活躍が見てみたいし。
ニール・マーシャルはあまり自分の好きなように出来なかったようだし、続編がもし作られるのならば、好き勝手にのびのびやってほしいなあという気持ち。
もうやりたくないのなら、ポール・W・S・アンダーソンとミラ・ジョボ夫妻がモンハンを撮っていることだし、同じゲーム原作という縁でゴッドイーターを撮ってほしい。
ドゥームズデイを撮ったんだから終末世界は得意だろうし、異形の神を無駄にエロい服装の人たちがスプラッタしていくのが観たい。
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