微睡に溶ける
(りん)
眠りにつくまでの時間が好き。
どれだけふざけてうるさい時間を過ごしても、
お風呂に入って、しーちゃんに髪を乾かしてもらう時間が始まると、すごくゆったりしたムードになる。
しーちゃんの髪の触り方が優しくて、だんだん眠くなってくるし、時にはもっとしーちゃんに触れて欲しくなる。
寝る準備を進めながら、しーちゃんに抱きついたりしてちょっかいをかけると、子供をあやすように私に構ってくれる。しーちゃんの手のひらはいつもすごくあたたかくて、触れられた部分から全身にあたたかさが走っていくように感じる。少しずつ体があたたまって、眠くなってくる。
でも、眠ってしまうと、しーちゃんに甘えられなくなるから、少しでも長く起きていたくなる。まどろみは普段の照れを忘れさせてくれる。私が一日の中で一番甘えられる時間。今日もいっぱい優しくしてくれたね。いっぱい笑わせてくれたね。いっぱい助けてくれたね。ありがとう、って気持ちがいっぱいこみ上げてくる。
しーちゃんはベッドに入ると、すぐに眠っちゃうから、そんな時間はすぐに過ぎてしまう。でも、私がこの時間が好きだってことを知ってるしーちゃんは、何とか起きようと、眠い目を擦りながら頑張って起きようとしてくれる。
「頭撫でて」って言ったら、優しく撫でてくれて、私も目を瞑ってまどろんでくるんだけど、しーちゃんの手がいつの間にか止まって、寝息が聞こえてくる。
少しだけ口を開けて眠っている彼の顔を見ると、好きだって気持ちが溢れて来て、起きないように唇を交わしてしまう。「しーちゃんが先に寝たらこっそりチューするからね。」「先に寝ちゃう方が悪いからね、いいよ。」って契約の元行われているので、これは合法的なキス。
寝つきの悪い私は、先に寝てしまった彼の隣で、彼の腕に抱きついたり、身体にもたれたりしながら、ゆっくりと眠りにつく。朝起きたら、いつも彼はいない。すっかり目覚めた顔で、おはようって声をかけてくれる。目覚めの悪い私は、「うるさい」って返したりもする。素直じゃない自分で目覚めても、眠りにつく時だけは素直になれるから大丈夫。
あなたが好きで好きで仕方ない。
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