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don't take anything away


冬の冷たさが心地よくも思う。首筋に冷たい風が吹き、私は下唇を噛みながら目の前の光景をぼーっと眺めていた。何もしてあげれない。何も拒まない。だからもう何も奪わないで


あなたの涙を拭いてくれる人はどこにいる?あなたの当たり前を受け入れ包み込んでくれる人。きっといるわ。大丈夫よ。孤独に苛まれいつのまにかそれが当たり前になっても。


子供から親、大切な人、せっかくの休み、地位も名誉も。


何も奪わないで。


最近ライオンの動画をよく見ている。喰うか喰われるかの世界だ。生きる事に必死なライオンを見ていると人間の世界はあまりにもちっぽけで、ゲームのよう。神様の人生ゲームに踊らされているような、ちっちゃな世界で。


奪われた命を、奪われた気持ちを、どうすることも出来ないまま時間は流れていく。どうかもう何も奪わないで。私からも、あなたからも奪われることのないように。たまに見失ってしまう時がある。目の前のことを大切に出来ずに投げ出す時がある。奪われてからしか気付けない。なんだってそうだ。大切なものはなくなってからじゃないと、大切だった事に気付けない。失って気づくとは、この事だ。まだ取り戻せるなら、取り戻したい。あなたの事を。あなたの全てを。


月が綺麗な夜には胸がほっとする。同じ空の下で同じ気持ちで思っている人はどのくらいいるんだろうか。私は幸せな方だとは思う。戦争や災害がある中で暖かい部屋で当たり前のようにご飯を食べて心地よく眠っている。笑顔は消える日があるかもしれない。感情がなくなり食欲がなくなり深い深い奥底に眠りについて目を開ける時が来ないかもしれない。それでもいいの、どうかこの世の全てを綺麗なものを奪わないで。

昔私のことが大好きだった人が死んだ。私は恐怖だった。図書館に閉じ込められるかのように鍵をかけられ、何もわからなかった私はひたすら本を読んだ。走れば走るほど苦しくて恐怖だった。死んだんだと思うだけで何も感情は生まれてこなかった。その時読んでいた本だけは覚えている。グリとグラ、ひたすら本に集中した。何故かそれだけは覚えてた。もうすぐ命日なのか、それすらも覚えてないけど。


何も奪わないで、どうかお願いだ

目に見えるものだけじゃなくて、心の中にあるものを。
大切にしていることを、私だけが奪っていいものを
どうか誰も奪わないで。


私の分身は私を許してくれる?
犯した過ちをどうか許してくれるだろうか。
一年前の事を思い出すと胸が苦しい。私はひとりぼっちだ


同じ痛みを背負ってくれる人がどのくらいいるのだろうか。いないよな、いないんだから強くならなくては。

私を見失いたくない


don't take anything away

何も奪わないで


don't take anything away
2024.1

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