目下、私が最近気になっていることについて、アメリカの人工知能研究所「Open AI」が開発した生成型AI「ChatGPT」と対話してみたやりとりを、以下にメモしておきたいと思います。
今回のテーマは「地域コミュニティの諸問題について(地方編)」。
筆者の質問(以下「Q」)に、ChatGPTが回答(以下「A」)をしています。対話時のバージョンは「ChatGPT Feb 13 Version」(2023年)です。
▶︎Q1.「地方が衰退していく原因を教えてください」
▶︎Q2.「"都会風"とは何ですか?」
▶︎Q3.「外部から訪れた若者に対して不寛容な田舎の風土を改善する方法を教えてください」
▶︎Q4.「少子高齢化が進む日本において、田舎の伝統的なお祭りを存続させていく方法を教えてください」
▶︎Q5.「少子高齢化が進む日本においては、消滅するまちや村が出てくることは避けられないと思いますが、多額の税金を使ってでも何か対策をしなくてはなりませんか?」
【Feedback / 生成型AIと対話をしてみて感じたこと】
今回、地域コミュニティの諸問題について、生成型AIにいろいろと質問をした理由。
それは現在、私が豊田市足助町の歴史的町並みに関わる仕事に携わるなかで、少子高齢化が進む地方の未来を考えるうえでは、地域コミュニティの現実に向き合っていかざるを得ないと感じたからです。
昨今、人口の多い東京などの「都会」と、地方の「田舎」との関係性は、SNSを介した炎上ネタとして取り上げられることが多いです。
例えば、今年1月に福井県池田町の区長会が公表した『池田暮らしの七か条』は、移住者に対して「都会暮らしを地域に押し付けない」「品定めがなされていることを自覚」などの文言が含まれていることで、大きな反響を呼びました。
また最近では、高知県土佐市の観光交流施設「南風」にあるカフェの営業を巡り、移住者の女性店長らと施設の指定管理者である地元NPO法人の激しい対立が話題となっています。
これは、利用許可を出す立場のNPO法人から退去を求められたことについて、店長がSNSを通じて告発したことがきっかけでした。
これまで、人口減少や産業の空洞化が進む地方を再び活性化しようと、地域おこし協力隊などの国の支援制度を使って、都会から地方へ移住者を呼び込もうという取り組みが、全国的に進められてきました。
ただ、地方の既存の地域コミュニティの現状をふまえると、移住がうまくいかないケースも多々あるのではないかと感じますし、上の2つの炎上事案は、まさにそうした懸念が先鋭化してしまった事例なのではないかと思います。
例えば、長年全国各地のまちづくりに携わってきたまちビジネス事業家の木下斉さんは、こうした地方活性化を取り巻く構造的な問題について、度々警鐘を鳴らしています。
木下さんは、そもそも国の補助金に頼った地方活性化自体に無理があることを指摘しており、これは地方行政の仕事の一端を携わっている私の経験上も、強く共感するところです。
その一方で、江戸時代から続く中央集権システムや、戦後から続く地方財源の再分配システム(地方交付税交付金)など、地方自治体が自らのまちの活性化を自主財源だけで取り組んでいくことを難しくしている国の制度も多々あります。
特に、豊田市のように地方交付税交付金の「不公付団体」となると、地方税の徴税業務があるだけで、交付金は一切入ってきません。
そして現状は、一部の不公付団体の地方自治体が、その他多くの自治体を支える構図(令和4年度は、交付団体1,692自治体、不交付団体73自治体)となっています。
これでは国全体として前向きに自主財源を確保しにいこうというインセンティブが働かず、健全な財務運営ができている地方自治体ほど損をする仕組みとなっています。
結果的に、一部の財政力があるとみなされている地方自治体でさえも、国の補助金がもらえなければ事業が実施できない、ということが行政の現場では度々発生しているのです。
上記のこともふまえると、生成型AIの模範的な回答ではカバーできない、現実世界において人と人の間で起こる機微な問題への対応や、既存の制度自体の見直しも考えていかなくてはならないと感じます。
国や地方自治体の補助金には極力頼らずに、本当の意味で地域が自立的になれるかどうかが、少子高齢化が進む地方の未来を占ううえでは、重要な鍵になってくるのかもしれません。