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[禍話リライト]十円玉

これは、こっくりさんには聞いちゃいけない事があるって話なんだけどね…
こっくりさんが流行っていた時期に、当時小学生だったAちゃんも例に漏れずクラスの友達と放課後に集まってやっていた時の事。その日のこっくりさんは単語にならないような事もあったが答えてくれていた。しかし、小学生という事もあり聞くことを聞いてしまい"もてあまし"ている状態だった。次に聞く順番になってるAちゃんはふと思い出した事がありそれは、Aちゃんのお婆ちゃんが今入院しているという事を。そして、Aちゃんはそのお婆ちゃんの事が苦手というかハッキリ言って嫌いだった。それは、Aちゃんにだけ当たりがキツかったりお小遣いを貰えなかったり…ただもうおばあちゃんがAちゃんにそういう態度を取っていた理由は今となっては分からない。そのおばあちゃんは最近体調の変動が激しく入退院を繰り返していて今はその体調を崩して入院していた。そこでAちゃんは、
「〇〇さん(お婆ちゃんの本名)はいつ頃亡くなるんですか?」
すると、今まで答えてくれていたこっくりさんがピタッと止まり、スーッと動き始めて…"いいえ"に止まった。
「え?お婆ちゃん、死なない?」
それから何回かお婆ちゃんの死期について尋ねても全て"いいえ"に止まり他の事を尋ねても"いいえ"に。急に怖くなったため終わりにしようと「お帰りください」と言っても"いいえ"に止まった。ただ、ローカルルールでこっくりさんが帰るのを拒否しても終わらせる事が出来たのでその日はそれで終わった。

それから1週間と経たないうちに入院中のお婆ちゃんの容態が急変した。明日をも知れぬ状態と病院から連絡を受けてAちゃん含め家族で病院に行くと、そこには既に親戚が集まっていて泣きながらお婆ちゃんに寄り添っていた。そこに両親も加わったが、Aちゃんは孫で嫌われていたと思っているからその輪に入れないでいた。少しすると、おばあちゃんが手をギューッと力一杯握っているのが見え、小学生ながら死に際はこんなにも残酷なのかと思って見ていた。
それから少しして力尽きたおばあちゃんが弛緩してきて握っていた手が開かれ…
そこから十円玉が落ちてきたそうです。
[終]

この話は怖い話のツイキャス"禍話"[禍話 第一夜⑴] で話されていた”十円玉”と言う話を文章化したものです。

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