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生きているうちにしっかり話しておくので大丈夫!

本日は遺言書で争続を防ぐのに有効な付言事項について。ただじ、付言事項はいらないという内容のいつもとは反対のお話しです、

以前に受任した死後事務委任契約のお話しなのですが、死後事務委任契約では遺体の引き取りや葬儀の方法、埋葬や納骨の指定などを依頼者のご希望に合わせてプランニングしていきます。

それとは別に不動産や預貯金、株式などの一般的に相続財産と呼ばれる物については遺言書を併せて作成して対処します。

つまり、財産関係は遺言書で準備をして、遺言書には記載し辛い死後に発生する葬儀や遺品整理などの希望や事務手続きについては死後事務委任契約でカバーするという事ですね。

ですので、今回も死後事務委任契約書の案とは別に公正証書遺言の案文を作成して依頼者の方と打ち合わせを行ってきました。事前の聞き取りから財産状況や誰に相続や遺贈させるかなどは決まっていましたので、その点はサクサクと確認が進んでいきます。

そういった財産的な指示とは別に遺言書には「付言事項」と呼ばれる家族へのメッセージなどを記載することができるのですが、今回はここの作成で「ああ、それもそうだな」と納得させられた話しです。

よく遺言書のセミナーや遺言書について書かれている本などには「付言事項を活用して争続を防ごう!」などのキャッチフレーズで付言事項の活用事例やその効用について講師が話されていたり書籍には数ページに渡って記載されていたりします。

遺言書で相続財産の分配の仕方を指示する際にどうしても相続人のひとりに財産が偏ってしまうことってありますよね。

例えば、長男が両親と同居しているような場合は、残されるだろう配偶者の世話を長男やその奥さんにお願いすることになるので、介護やその他諸々に掛かる面倒事をお願いする代わりに財産を長男により多く渡るように遺言書を書いたり、事業を継ぐ予定の長男に事業用財産を残す必要性から相続財産が偏ってしまうということは良くある話しです。

でも、多く貰える相続人はそれでいいかもしれませんが、他の相続人からしてみたらどうしても不平等感はぬぐえません。

特に相続人間の仲が悪いような場合はすぐに相続争いが勃発して骨肉の法定闘争となってしまうという話しは皆さんも耳にしたことがあるかと思います。

通常、上のような争いは遺言書を残していないケースで頻発するものでありますが、遺言書を残していたとしても、「高齢の親父がこんな複雑な遺言書を書けるわけないじゃないか!」や「遺言書を書いた頃は既に認知症だったから遺言書は無効よ!」などを理由として遺言書の効力そのものを争って相続争いが起きることもあります。

そんな時に通り一辺倒な遺言書ではなく、最後に本人からのメッセージがあったらどうなるでしょうか?

家族への感謝の気持ちや相続分を長男に多く遺した理由、相続人全員を大切に思っている内容などが記載されていたとしたら、例え不平等と思える遺言書の内容であったとしても、故人の意思を尊重して「そういうつもりだったのなら仕方がないか、、」とその他の相続人が納得するケースが多くあります。

そういった自分が亡くなった後の家族や相続人間での諍いを少しでも少なくする効果というものが付言事項にはありますので、今回の死後事務委任契約に併せて作成する遺言書でも「付言事項はどうされますか?」とお聞きしたところ、上で述べた付言事項の効果を考える必要もない言葉を頂きました。

それは「生きてるうちにしっかり話しをしておくので付言事項はいりません

確かに、確かにその通りですよね。付言事項は残された家族へ宛てるメッセージですが、生きているうちに全てを話しておくことが出来れば付言事項なんていりません。

依頼者の方はご自分の病気と紳士に向き合い、わざわざ自分の死後の整理を死後事務委任契約という形で依頼してきている方です。

当然、先を見た考えをされる方ですので、相続問題などが起きないように相続人へとしっかり話しをしておくということも実行されることでしょう。

シャイなお父さんや家族の事は大切に思っているけど素直に言葉にできない男性などは付言事項を存分に活用するところではありますが、一番良いのは生前にしっかり想いを伝えておくことですよね。と実感させられる一言となりました。

とかく士業という仕事をしていると遺言書作成のテクニックや法律的な知識の豊富さといった面に捕らわれがちとなってしまいますが、それらは依頼者の想いを実現させる方法のひとつであって、それが一番ではないのだと思い出させて頂いた出来事ととなりました。

遺品整理や死後事務のご相談は名古屋の第八行政書士事務所までどうぞ~。

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