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【アウトフレーミングとは】成長の停滞を打破し、社会に求められる新たなアイディアを生み出すための”脱合理”発想メソッド

こんにちは!
SIGNING広報チームです。

SIGNINGは社会の課題とビジネスの課題を同時に解決していくことを目標に日々活動しています。
今回は、そんな弊社が大事にしているソーシャルサインの見つけ方のひとつの「アウトフレーミング」について、共同代表の牧がご紹介します。

合理的なアプローチだけでは成長し続けられない

産業の成熟化、社会構造の複雑化、不確実性の増大のなかで、ビジネスにおいて「先を見通すこと」はますます難しくなっています。

ビジネスにおいて新しい事業を始めるときには、データ分析や生活者リサーチを通じて需要やニーズを把握し、今後の未来においてどのくらいの人が買いそうか?というポテンシャルを検証したうえで「やる/やらない」の意思決定をすることが(特に大企業においては)一般的ですが、こうした「合理的」なアプローチでビジネスを計画・実行し、成果を生み出していくことの限界も見え始めています。

人口減少・高齢化が進む日本では、新しい事業を始めようと思ったときに、

「こういった商品を発売したら、どのくらいの人が買ってくれそうで、どのくらいの売上・利益が立ちそうで、今後3年5年でどのくらい成長していきそうか?」

という検証を合理的にしていった結果、

「そんなニーズはなさそうだ」
「需要が小さすぎてビジネスとして成立しなそうだ」

となり、

「商品を上市すべきではない」
「事業から撤退すべき」

という結論にいきついてしまうことも少なくないでしょう。

ヘンリー・フォードは、

「自動車がない時代にもし顧客に彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬がほしい』と答えていただろう」

と言いました。生活や社会を大きく変えるイノベーションは、現在の顕在化されたニーズや環境にもとづいた「合理的」なアプローチでは生まれにくいものです。

「消費者ニーズへの対応/よりボリュームの大きな市場へのアクセス/費用対効果の向上/対前年比での成長」といった合理的な思考はビジネスにおける基本OSです。しかし、そうした合理的アプローチだけでは成長の限界が見え始めているのが、いままさに我々が直面している現代のビジネス環境と言えます。こうした「合理思考」だけでは到達しにくいコンセプトやアイディアを生み出すための発想法として、本記事では「アウトフレーミング」というメソッドをご紹介したいと思います。

合理思考の枠から抜け出す4つのアプローチ

「アウトフレーミング」とは、変化の時代に新しい成長とイノベーションを生んでいくことを目的として、SIGNING社が提唱している発想・思考メソッドです。普段の仕事のなかで使っている「合理」の思考の枠(フレーム)を強制的にはずし、「脱合理」の視点からものごとを考えることで、「合理」の思考では到達しにくい、気づきにくい、後回しにされがちな重要なポイントに気づき、それを新しい成長の「兆し」として、アイディアやアクションにつなげていきます。

「アウトフレーミング」では発想のアプローチとして大きく4つの方法を用意しています。

①Socializeは「視野を広げる」発想法です。

価値を提供する対象や関与するステークホルダーの対象を、市場・顧客ではなく「社会」と広く捉えて、自社の製品や事業が社会や人間にとってどんな意味・意義を持つのか、また持たせたいか、から考えます。経済や市場は、その土台としての自然・環境・歴史・文化・法律/制度の上に成り立っているので、その大本の部分から改めて自社の存在意義や価値を見つめ直すアプローチです。

②Reverseは「逆発想」です。

ビジネスにおいて正しいとされる前提の論理や既存の産業ルールをあえて裏返したり否定してみることでイノベーションを起こそうという考え方です。例えば「たくさんの数を”売らない”」→「数を絞って高単価で売る」「顧客を”増やさない”」→「価値に共感してくれる熱狂的なファンだけに絞る」「投資を”効率的にやらない”」→「短期の効率よりも中長期のリターンで考える」といった考え方や、「この商品はこの販路で売るのが/この価格で売るのが/この顧客に売るのが常識」といった前提を疑ってかかってみるというアプローチです。

③Inner Diveは「自らの想いに問いかける」アプローチです。

革新的な事業の多くは創業者の個人的で強烈な想いや問題意識から生まれていることが少なくありません。自分にとっていちばん欲しいものはなにか? いちばん解決してほしい悩みや困りごとはなにか? これからもなくなってほしくないものはなにか? といった個人の想いは、その多くが感情や感覚に基づいた一見「非合理」なものだったりもします。そうしたものこそが多くの人に訴えかける・共感を獲得できる普遍性を持つこともあります。

④N-1 Voiceは「特定の一人の意見に耳を傾ける」アプローチです。

最大多数の最大幸福を叶えて売上や利益を最大化する資本主義における多数決の論理では拾われない「マイノリティ」の意見や感覚のなかにある普遍的な価値を見出したり、数は少なくとも強いニーズや想いに答えるものを生み出していこうというものです。

非合理な選択をすることが合理的な時代

デジタル化が進んだ現代にあって、ビジネス上のパフォーマンスやその中間指標、また市場予測に関する定量的なデータへのアクセスは以前に比べて格段に容易になりました。

そのなかで、データやファクトにもとづいた「合理的」な意思決定を行い、着実に事業を成長させている企業が多く現れ始めています。

一方で、そうした合理思考にもとづいた判断やアクションだけでは成長し続けることが難しい産業が増えてきていることもまた、現代のビジネス環境の特徴のひとつでしょう。

そうした事業に取り組むなかでは、時に普段使っている合理思考を一旦忘れて、あえて「脱合理」で考えてみることも、次の一手を考える上では有効なのではないでしょうか。

イノベーションの多くは、非合理な決断の積み重ねの中で起きるものであることは、現代で成長している企業の成功譚を覗いてみれば明らかです。

その意味で、この「脱合理」的なアプローチこそが、実は長い目で見たときに最も合理的な選択となりうるとも言えそうです。


〈プロフィール〉
牧 貴洋

共同CEO /Strategist博報堂で戦略プランナーとしてキャリアを重ねる。2020年4月にSocial Business Studio「SIGNING」設立に参画し以降現職。社会・暮らしの「キザシ」を捉えながら、事業・ブランドの成長のための構想と実装に従事。

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