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Day31,「Crawling along」Inktober2020

 日々はゆっくりと過ぎる。這い回る蛇の様にいつのまにか、一日、一日と終わっていく。気付けば、ひと月など早いものだ。一日ずつ、雪山に蹴り込むアイゼンの様に楔を打ち込まなければ、ぬめりきった時間は逃げてしまう。Inktoberは私にとって、2020年の十月を繋ぎ止める、釘や楔の一本ずつの様だった。

 特別になりたい、何か誇れるものを、認められるものを、誰かをあっと驚かせられるものを。何か、何か、何か。人生は、そんな探求なのか、懇願なのか、諦観なのか、叫びみたいなものの連続だ。誰にとって、どんな場所で、誰のために、そんなこと考えもせず、ただ願いだけが先行して突っ走る。置き去りにしているのは目的や理由だけではなく、手段や努力もだと、気付くのは辛い。私はずっと気付いていた、その上で見ないふりをしていた。辛いから。

 練習をせずヒットを打てる奴がいる。ルールを知らずにゲームで勝てる奴がいる。勉強せずに80点とれる奴がいる。彼らは確かに羨ましい。才能や運みたいなものがあるとすれば、私は持っていなくて、彼らは持っている。どれだけ彼らになりたかった事か。だが彼らも、そのままではメジャーリーグのマウンドにもWCGの壇上にもノーベル賞の授与式にも立つ事はない。才能や運だけでは、足りないのだ。そこに立つには、日々に辛抱強く打ち込まれた努力が必要なのだ。
恥ずかしいことに、私は才能も運もないのに、努力もしてこなかった。誰がそんな私を、顧みると言うのだろう。

 今年使った画帳をぱらぱらと捲ると、確かにそこには、這い回る形のない十月の日々を、縫い留めようとした努力が分かる。俎上で捌かれる鰻に一本ずつ串を打つように。だが画帳に残っているのは、本物の鰻ではなく、必死にのたりくった後に残ったぬめり程度のものだ。串打ち三年、裂き八年、焼き一生と言うのだから、少なくともこの十月を、あと35回程続ければ、初めて捌ける程度の腕前にはなるだろう。今年もインクトーバーに挑戦出来て良かった、またやろう。早いうちに。

CRAWL

〈人・虫などが〉はう,腹ばいで進む(about,across,into)
crawl (about) on hands and knees
四つんばいで進む[はい回る]
There's a lizard crawling on the window.
トカゲが窓をはっている
1a〈植物が〉はう,はい広がる(along)
1bクロールで泳ぐ
2〈人が〉うようよしている,ぞろぞろ動く
2a〔進行形で〕((略式))〈場所が〉(虫・人などで)あふれている,いっぱいである≪with≫
The cupboard was crawling with insects.
戸棚は虫だらけだった
2b〈肌が〉ざわっとする,(不快感で)鳥肌が立つ
make a person's skin crawl
鳥肌を立たせる,ぞくっとさせる
3〈時間・乗り物・仕事などが〉(はうように)ゆっくり進む(by,along);〈暗雲・闇などが〉じわっと広がる,〈液体が〉たらっとたれる;〈ペンキなどが〉めくれる;〈視線などが〉なめるように動く;〈数値などが〉じりじりと進む
The train crawled along.
列車は徐行した
4(獲物などに)そっと近づく≪toward,on≫;こそこそすり寄る;(…に)(ぺこぺこ)こびへつらう≪before,to≫
crawl before a person
人に平身低頭する
━━[名]
1〔a [the] ~〕はうこと
a dangerous crawl up the roof
屋根を危なげにはい登ること
go at a crawl
のろのろ歩く,徐行する
1a〔通例the ~〕(水泳の)クロール(crawl stroke)
2〔a ~〕(乗り物・人の)はうような進行,そぞろ歩き;(時間などが)ゆっくり進むこと
3=credit title

#Inktober2020 #inktober #day31 #crawl #illustration #イラスト #万年筆

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