見出し画像

Σ 詩ぐ魔 第2号


**********************************

『Σ 詩ぐ魔』(第2号)目次

一宮川         市原礼子(大阪)
金の卵         大倉 元(奈良)
旅に惹かれて      和比古(兵庫)
ものものしい「者」たち 熊井三郎(奈良)
壁の中に立っている   佐相憲一(東京)
テレビが来た日     阪井達生(大阪) 
玄関          高丸もと子(大阪)   
落丁の庭 ――有吉篤夫追想 田中俊廣(長崎)        
死者の声        谷元益男(宮崎)
食事の準備       豊田真伸(大阪)
早送り         苗村吉昭(滋賀)
飛びました       中井ひさ子(東京)
銃を撃つ        奈木 丈(奈良)
アイスクリーム     mako nishitani (韓国)
塔           速水 晃(兵庫)
探索          松村信人(大阪)
つめたい朝       森下和真(京都)
流れ星         吉田定一(大阪)

         《掲載順は氏名五十音順》:

*********************************

一宮川

           市原礼子(大阪)
疫病の勢いにかげりがでたころ
川のほとりに行くと
朝日に照らされた蘆が
代赦色に輝いていた
水鳥が群れて
河口からのぼってきている
なんの変哲もないその光景を
しみじみと感じ得る心が
戻ってきた
また来よう
生きていれば
生きていればこそ
死者の数を数える日々に倦んだ
疲れ果てたこころを
なぐさめてくれる
しずかな川の流れを感じた
また来よう

金の卵   

           大倉 元(奈良)
戦後の日本も昭和30年代に入ると
景気も上向きになり企業の人手不足も深刻になった
東北から多くの中学校卒業生が都会を目指した
就職列車が上野駅に入った 大きな志をもって

関西の工場も人手不足だった
特に大阪では東大阪方面に町工場が多かった
プレス機という機械で鉄板を加工して作り出すのは
フライパン てんぷら鍋 たまご焼 バケツ等 
アルミ製品では鍋 茶瓶 寄せ鍋 雪平鍋等々
 
人手不足で目を付けたのが沖縄の金の卵達へ
4月になると神戸港へ連絡船で来た
可愛い坊主頭やおかっぱ頭の中学校卒業生
企業の責任者が1年近く前に沖縄の中学校へ出向き
会社の説明をして採用した
船から降りて工場の責任者の顔を見るとホットして
迎えの車に乗ってそれぞれの地に向かった
 
その頃の沖縄はまだアメリカの占領地だった
おいそれと内地へは来ることはできない
同じ日本なのにパスポートが必要だった
このような状態は終戦から25年経った
昭和45年5月15日まで続いた
戦争の傷跡は深かった
 
ある日沖縄から来た子が行方不明になった
時々そのような状況は起きた
工場としてはその子探しに必死になった
大事なお子さんを預かっているので
万が一の事故にあってはと
そんな時は大概が学校の先輩や同級生を頼っていた
お互いが情報を交換して働きやすい工場
給料の良い工場へと逃げて行っていた
工場としては全員のパスポートを預かることにした
 
今では金の卵達が作っていた製品の多くは
コンテナ船に乗り海外からやってくる

旅に惹かれて

          和比古(兵庫)

現実の生活からの逃避
だが一見魅力的
 
話したくない人に
会わなくても済む
煩わしい人間関係もない
知らない味で
腹を満たすこともできる
 
心象で道を描いた
凹凸のきつい道
一人で歩くと
孤独と寂しさが
同じ感覚で襲う
 
矛盾ばかり
かりそめの世界で
漫然と惰性的な日々を
無駄と思いながら生きている
いのちの証を探しながら


ものものしい「者」たち

           熊井三郎(奈良)
なまけ者 と言ったって
あなた のことではございません
いち日   木にぶら下がっている
哺乳類アリクイ目ナマケモノ科のあの者

木から落ちるなまけ者は  あわて者
そこつ者 とも申します

無法者にひれ伏すのは 臆病者
荒くれ者の 囲い者になってはいけません

女だからと期待したのは間違いでした
にせ者   でなけりゃ敵の回し者

ならず者の集団がにわかの 人気者に
お調子者たち集まって 何をしでかすやら

変わらないからと行かないのは 愚か者
行って ヤクザ者に入れるのは うつけ者

「よそ者」 が町の公金使い込み
お尋ね者 になりました

庶民はみんな 働き者
明日を夢見る のんき者

なまけ者  と言ったって
あの者 のことではございません
毎日怠惰に生きている
霊長目ホモサピエンスの  あなた 


 壁の中に立っている

            佐相 憲一(東京)
 一九九〇年三月
一年ぶりにぼくはベルリンの雑踏に立っていた
目の前にあった壁がなくなっていた
四か月前の歓喜の報道は記憶にあったが
ブランデンブルク門で見たものは違ったニュアンスだった
古い運動靴を履いた東側住民と思われる中年男性が自転車に乗って
世紀の統一門をくぐって西側散歩から帰ってきた
同じドイツ人が自由に行き来できるようになって
男は微笑んでいたがそこには皮肉の影があった
同じドイツ人同士なのかわからないという疑念
彼は誰となく西ベルリン市民に語りかけたことだろう
東ベルリン市民ののんびりした助け合いなんて
激烈な競争社会のもとで育った者から見ればただの田舎者
価値観のギャップがちらついた
〈秘密警察国家はまっぴらさ、ソ連の手下はまっぴらさ
 でも西側流も合わないかもしれないな、アメリカ流もかんべんしてほしい〉
そんな声がどこからともなく聞こえてくるようで
東ベルリンの街が煙って見えたのはスモッグだけではないだろう
依然として立ちはだかる見えない世界の壁
はたちのぼくはまたずんずんずんずん歩いていった
 
一九九七年だったか一九九八年だったかまたしてもぼくは
師走のボヘミア風が肌を突き刺す統一ベルリンを歩いていた
すっかり首都になってあっけらかんとしていたが
地下鉄Uバーンや郊外線Sバーンに乗ると
浮かない表情の人が多かった
あのヴィム・ヴェンダースの映画の天使ならどう見るだろう
張り詰めていたあの壁の街が西側に飲み込まれたかと見えながら
その頃のベルリンはもう新しい革新世論に変化していて
西ドイツ時代の良心と東ドイツ時代の良心が
ぶつかり合いながらもどうしたら融合されるのか
一方で右翼に走る暴徒も台頭し
街は模索のさなかにあった
一二月のアレキサンダー広場
足の不自由な青年がヴァイオリンを独奏していた
眼を閉じてひたすら世界の心を奏でている
後ろの売店の娘がしきりに彼を励ます
哀切なメロディーがひび割れた世界の溝にしみわたるのだった
 
世紀が変わり
イラク戦争、パレスチナ紛争、シリア内戦、三・一一原発事故
リーマン・ショック、新自由主義経済の破綻
世界各国のナショナリズム排他主義台頭
世界武器商売の拡大、貧富の差の巨大規模の進行
朝鮮半島三八度線の壁、沖縄基地問題の壁
新型コロナウイルス流行と国際交流の表面的遮断
ロシア軍のウクライナ侵略
日々暮らすぼくたちの前で壁が心を分断していく
それでも必死に生き延びようともがく
いつの間にか二〇二二年初夏になっている
 
壁は誰がつくっているのだろうか
ぼくたちひとりひとりはこの壁だらけの世をどうやって
打ち崩し再生させればいいのだろう
振り向いて尋ねても
ゲーテもヘッセもリルケもブレヒトも直接は答えてくれない
けれどたえず世界の深部には人の心の流れがきらめいている
ベルリンの壁が打ち壊されたように
現実はいつも内側から風穴を開けられるのを待っている
 

テレビが来た日          

            阪井達生(大阪)
朝から ソワソワ
昼すぎ 電器屋のミゼットが運んできた
アンテナを屋根に取り付けなければ写らない
夕方までザァザァと 
音しかしない画面を見ていた
 
ねーちゃんが「テレビ貯金」というのを思いついた
貯金箱を両親も座る
ちゃぶ台に置いた
買ってくれ 
子供からの実力行使
 
友達の家には無理やり押しかけた
七色仮面 少年ジェット 怪傑ハリマオ
「あの番組なら純ちゃんが見ている」 
情報と行動 早い者勝ち
プロレスだけは金曜日
そんな仲間と風呂屋で騒いだ
 
工事が終わり 
四人の食卓が変わった
はじめて
飯を食いながらテレビを見た
 
最高の日であったが
その翌日からの 激しい
ねーちゃんとのチャンネル争いが
始まる日でもあった
 

玄関

          高丸もと子(大阪)
小さな運動靴はボート
祖母のぞうりは艀(はしけ)
娘のヒールはヨット
船もある
夫や息子の靴
 
スキューバ―ダイビングから帰ってきた息子とその友達
磯の匂いをさせてしばらくこの港で休んでいたかと思うと
また大勢で出て行った
宵祭りの人波から無事に娘の赤い下駄も帰り
昼間に公園まで行っていた艀とボートは
とっくに眠っている
 
毎日声をあげて
多くの入船とで船がここに寄ってくる
この港
まだ当分のあいだ賑わいそうだ
 

落丁の庭 ―― 有吉篤夫追想

           田中俊廣(長崎)
葉が落ちると風が生まれる
微かな波動
まだ目覚めない脳がざわめき
常盤木も散っては芽吹く ひそやかに
崖上の屋根の天辺に鳴くのは
大瑠璃か
こゑがまぶしい
ピーリリー ピールリ ピールリ
体液の循環と眠たい心との断層に
さへづりの風が通りぬける
昨日届いた詩集に落丁
欠如の庭に意味はいらない
ことばもいらない
空白をかすめる感情の旋律を探すだけ
黄金の流線形が視野の広場を駆けぬける
窓の外 野性の小動物の
一すぢの残影だけを身体に刻もう
落丁の庭の失はれた時間に
電話のこゑ 面影が浮かびあがる
ふはふはと黄泉帰る
丹後半島 与謝野町岩屋の小川近く
音の途絶えた機屋の名残に
遺された蔵書の山
細井和喜蔵 与謝蕪村……
紙魚の銀白色だけが輝いてゐる
うごめいてゐる
天空への澄明なさへづり
その残響は時節の行間に忍ばせたまま
青紫の風切羽の飛行は素速く消えた
五月の色に薫る風を切りながら……
葉が落ちると
記憶の空地に風が生まれる

死者の声

           谷元益男(宮崎)
 夕日を背に
何本もの蚊柱が突っ立って
目のなかにゆれている
たえず足を動かしながら
死の入口を
さがしている
 
頭上で
鳥が 低く滑空する
薄闇の中で手足をそがれ
死が近づいていることを
わずかな羽の震えからも伝わってくる
死の直前の躰のなかに残っていた
微かな産声
 
空を一枚 隔てて
見えていた翳だけが ゆっくり
離れていく
死を背負い 生きてきた者の
声を 引き摺り
灯りの外に しずかに
遠ざかっていく
 
とおくに見える 山裾に
一粒の明かりが ともる
いま そこに死者が辿り着いたのだ
その方角は どこにもなく
野イチゴのように仄かに佇んで 
闇のなかに
消えかかる産声だけが 震えている
 

食事の準備        

            豊田 真伸(大阪)
 彼女の耳たぶは茹でたてのニョッキ
味もそっけもない
彼は塩を一掴み
伝票を見て火加減を見て
この道二十年のベテランシェフの如く
段取りよく事が運んだ暁には
彼女のご機嫌もクリームソースのように滑らか
心を静める緑のバジルを加えて
今宵二人、トマトとチーズのように仲良し
冷めないうちにフライパンはそっちのけ
我が家のメインディッシュは
アクアミネラルと新鮮なラディッシュを添えて
ガーベラの花と灯りはうんと小さく
 

早送り

           苗村吉昭(滋賀)
映画は早送りで観るらしい
時間もお金も余裕がないが
中身は知らねばならぬらしい
そんな新刊本の紹介記事を読んだ
そこでは「沈黙」という表現に価値がない
なんにも語っていないのだから
それでは詩の余白はどうだろう?
そう考えてからこう考えた
余白どころか本文すらも
わずかな人しか見えないらしい
時間に余裕があってもなくても
詩は早送りで消え行くらしい。

飛びました

            中井ひさ子
はげしい雨は苦手です
からだに入ってきて
思いまでが濡れるのです

久しぶりのお日様です
陽ざしが手を差しのべるたび
軽くなる心地よさに
思わず飛びました

一メートルほどもです
着地はベンチの足元でした

見られたのです
人間に
見てはいけないものを
見たとのように
目がおよいでいました

近くに寄ってきて
しみじみと
私を覗きこんできました
いつものように
すまして転がっていました

その人は
そんなことあらへん
そんなことあらへん
呟きながら去っていきました

自分の目は信じなければいけません

小石が飛んでなんの不思議がありましょう

銃を撃つ

           奈木 丈(奈良)
夜の温泉街には
LEDの灯りは似合わない
酒に酔ってうろついている人には
はだけた浴衣姿が似合っている
 
酔って下駄をはいて歩いていると
間違いなく転びそうになる
急いではならない
ゆっくり、ゆっくりと
 
懐かしい昔ながらの射的屋に入る
空気銃でコルクの玉を飛ばし
景品を落としてやろう
銃を選んでこれという的を決める
 
慎重にねらって撃った
さっぱり当たらない
玉がむなしく転がっていく
諦めの気持ちになってしまう
 
妻と別れた
うっとうしいと言われるようになり
どうしたらいいのかがわからない
しかたがないと諦めてしまった
 
若い頃には女性の心をねらっていた
射止めた女性が妻になった
あの喫茶店は今でも忘れられない
ベートーベンの音楽が流れていた
 
残った玉は少なくなった
妻をねらって撃った
喫茶店をねらって撃った
そしてベートーベンをねらって撃った
 
腕前はだいぶん衰えてしまったようだ
景品は落とせなかった
薄くなった財布にせかされて
とぼとぼと帰った

アイスクリーム

            mako nishitani (韓国)
ある日の夢の中でわたしは
葬儀を手伝うアルバイトをしていた
喪主に挨拶をすると
学生時代に憧れていたY先輩だった
葬儀の準備をしていたら
Y先輩がやって来て少しの間抜け出そうと言う
地元の商店街を抜けたところに
石の階段を上って行くような路地があり
階段の踊り場のようなところに
小さなアイスクリーム屋さんがあった
「あら、Yくん、久しぶりやね。
 アイスクリーム一つ三百五十円よ。
 二つ?」
「いや、おばちゃん、
 アイス一つ分を二つのコーンに入れて」
おばちゃんがふっと笑った
アイスクリーム一つはかなり大きかったので
おばちゃんも分かってはいるのだろうけど
遠慮せずに言うのが先輩のおちゃめな一面だった
Y先輩は昔バンドをやっていて
ワイルドな見かけだったけど
笑うとあったかい感じがして
わたしはいつも胸がキュッとなった
肩を組み顔を寄せてアイスクリームを食べながら
わたしたちはひと時を過ごした
わたしは声を出して笑った
そしてふと思いついて聞いた
「先輩、明日のお葬式、笑いたいですか?
 それとも悲しみや、もし恨みとかがあるんだったら
 それをじっくり感じたいですか?」
先輩とお父さんとの関係がどうだったのかは知らないけれど
先輩の望む形にわたしができることがあれば
してあげたいと思って
笑うと答える方がY先輩らしいとは思ったけど
でもじっくり悲しんだり
怒りをぶつけたりしている姿も
きっとすごくかっこいいんだろうな
だけど、返事を聞く前に目が覚めてしまった

           速水 晃(兵庫)
天然の空気を吸いたい
季節の気配ふくむ匂いと味を
天然の風に触れたい
木漏れ日に色づく葉群れ 
柔らかな日差しとともに歩を進めたい
草を足裏に感じ 小鳥や虫 
朝晩の挨拶などを受けとめ
 
接見禁止 階段使用禁止
食事時を除いて終日鉄面皮着用の義務 
細く暗い廊下をはさみ小さく仕切られ
天井近くにはめ殺しの窓がのぞむ
室温と空調 動きをも管理される設備
午後九時消灯午前六時点灯
 
夜陰に甲高く反響する痰からむ咳
連鎖の波紋ひろがり
天井に滲む月のシルエット
通りすぎる検番
 
待ちかねた起床時刻
許される塔内の線上を進んでいけば
薄明の街は霧におおわれ
高く連なる墓石が映し出されて
地上定かに見えない 
始発電車は動き出したろうか
働けば自由が得られる とでも

喉元切り取られ
人体実験は終わった
明けはじめる空 
低い草むらに身をひそめ

ふるわせる

探 索

          松村信人 (大阪)
忠告にはあまり耳を貸さなくなった
このままでよいと思っている訳ではなく
身に染みた流儀を変えるのがなかなかできない

異端と思われた思想や行い
迫害され黙殺され埋もれた書物
それらの発見や出会いをもとめてきたはずの旅が
いつしかたやすい流れに流されてしまった

――もっと冷や飯を食え
――十年間はじっと埋れていろ
若い頃には何かと戒めの言葉をシャワーのように浴びせられたが
実感するのはこの齢になってからだ

いつだったか『明治維新の嘘』という冊子が送られてきた
山口県在住の齢を召された女性の手になるもの
その時は走り読みだけでよくある暴露本と決めつけ
雑然と積み上げた本の山に放り投げたまま

近年インターネット検索などで
これまでの通説にはなかった様々な歴史書を読み浸ってみると
あるいはあの老婦人の書かれた書籍にも
思いがけない真実性があったのでは、と焦る

所狭しと大量に積み上げられた本の山
いくらかき分けても発見には至らず
物置きの奥の深い闇に押し込んだ段ボールの塊を
はやく掘り起こさねばと思いつつ

――もうとっくに廃棄処分をしてしまった
闇の奥からの悲痛な叫び声が聞こえる

つめたい朝

          森下和真(京都)
朝5時に
目が覚めてしまったので
散歩に出かける
 
まだ夢を見ている体の一部が
のんびりとあとをついてくる
 
つめたい路地のあちこちに
しずかな朝が置かれている
 
ふと見あげると
水色の空に木々の梢がぴたりと貼りついて
ツバメは円を描いて飛んでいる
 
生け垣の光で頭がいっぱいになると
夢は崩れて溶けていった
 
なにも考えず
喫茶店に入って
窓辺に座って
熱いコーヒーを啜って
 
外を眺めていると
きれいな笑い声が歩いていった
町がゆっくりと動きはじめたようだ
 
自分だけの朝に
太陽が

流れ星

           吉田定一
夜空は
 星の海—-―
 
月が 
 錨を降ろしている
 
あの明るい
 おだやかな菜の花畑にも
 
推理(ミス)小説(テリー)のような事件が
 起ったらしい
 
あっ! だれかが
 月から 突き落とされた


あとがき

変幻自在の電子ジャーナル誌。期待と不安相半ばするなか第一歩を踏み出した 「詩ぐ魔」。思いのほかアクセス数も伸びてきたようだ。老若男女、年齢、頁数 にも特にこだわらない。今後は画像や動画配信に向けても挑んでいき たい。まずは気持ち新たに第二歩を踏み出す。(松村信人)

ふと、青年時代の記憶が蘇ることがある。70年安保のとき、その社会は変えられると思っていた。大学は揺れていた。毎日なにかのデモがあった。徹夜で論議もした。今、それは記憶でしかない。記憶はいくら積み上げても、歴史にはならない。この証明はその後の人生が仕事人間であったことで可能である。
でも私は歴史家でも思想家でもない。記憶として残っていることがありがたい。この変わらない、変えられない日常という空間に、個々の記憶をぶら下げて! もう一度見てみるのもおもしろいかもしれない。 (阪井達生)

『Σ 詩ぐ魔』の創刊号を出版して良かったと思う。電子ジャーナルは未来の
出版手段になることは間違いない。詩に縁が遠かった若い人も投稿してくれるようになるだろうと期待する。ところで、ウクライナの原子力発電所が爆撃に遭っている。非常に危険な状況だ。放射能物質が偏西風に運ばれるため、汚染された地球になってしまう。プーチンがスイッチを押すのを何としても避けなければいけない。さらに、原子力に関する技術を有する技術者が育たず、関連する研究も進んでいない。イメージが悪いのか、大学の研究室の看板が変わり、必要な研究が展開されないのも大きな問題である。
                            (和比古)

《投稿規定》
未発表の詩。投稿料は無料。自由に投稿していただいて結構です。掲載するか否かは編集部にご一任下さい。校正はありません。行数、字数は自由。横書き、できればWordファイルで、下記の編集委員のいずれかにメールでお送り下さい。メール文で詩を送っていただいても結構です。季刊で、発行は3、6、9、12月の各月10日の予定。各号の締め切りは2、5、8、11月のそれぞれ月末です。質問があれば、メールでお尋ね下さい。

関連リンク
(随時募集中)
澪標     https://miotsukushi.co.jp/
和比古 https://note.com/note8557/n/nb90c621353ab


共同編集人
 

松村信人:matsumura@miotsukushi.co.jp

和比古:hirao@chem.eng.osaka-u.ac.jp

阪井達生:s-tatuo@nike.eonet.ne.jp


 



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?