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CP+2021オンライン特別企画「シグバラ」リポート③SIGMAの中の人が答える「#知りたいSIGMA」質問タイム

今日の担当|シグバラ担当K

第1部第2部で予定時間を大幅にオーバーしてしまったために、かなり巻き巻きの進行になってしまった第3部。このコーナーでは、SIGMA代表取締役社長の山木和人、商品企画部でSIGMA fpの立ち上げをはじめ、新製品の企画を手掛けているマネジャーの畳家久志を回答者に迎え、事前にTwitterとInstagramで、#知りたいSIGMA  #シグバラ のハッシュタグをつけて投稿してくれた方々の質問と、Zoomウェビナーで参加してくださった方からの質問やコメントにお答えしました。

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第3部はCEO・山木和人(右上)、商品企画部マネジャー・畳家久志(下)を迎えての質問タイム

さっそくご質問にひとつづつお答えしていきます


Q1:「Lマウントのsd Quattro / sd Quattro Hはつくれないか?(ぜひつくってほしい)」(同様のコメントや質問多数でした)


山木:今回のご質問以外でも多くのご要望は届いていますが、現時点ではその計画はありません。既存カメラのLマウント化といっても単純なマウント変更では済まず、マウント周辺のしくみから大幅に変更しなければならないため、現実には新製品をひとつつくるくらいの大きな話になるので。それを考えると既存のセンサーをそのまま使うのではなく、新しい時代に合った、きちんとした新製品を開発するべきと考えています。

畳家:技術的な話になってしまうのですが、sd Quattro H などで使われている画像処理エンジン、そしてFoveon X3センサーがつくる特殊な画像の読込を処理するためのFPGAなどを考えると、今使われているものは技術としては古くなってしまっています。それをファームウェアも含めて作り直すには、山木が言う通り、完全に一機種分ゼロから作るのと同じくらいの開発負荷がかかってしまうという背景があります。
では、SIGMA fpの画処理エンジンは使えないのかと思われるかもしれませんが、fpはべイヤーセンサーに特化した画処理エンジンを使っているので、そのままFoveon X3という特殊なセンサーの読込には対応させられないんです。ということから、残念ながら今は対応できないという状況です。


Q2:「カメラを振り始めてから半押しするのと半押ししてからカメラを振り始めるのはどちらが手ブレ補正の仕様に合っていますか? 」

この質問には控えていた"天の声"が回答

天の声:手ブレ補正は半押ししてから駆動するので、カメラを振り始めてから半押しするとシャッターチャンスの時に手ブレ補正が立ち上がっていない可能性があります。なので、ぜひ半押ししてからカメラを振り始めてもらえればと思います。

あと、今の質問とはちがうのですが、よく「流し撮りの時のOSは、OS1とOS2どちらがいいか?」という質問をいただくんですね。これ、どちらも使えますが、OS1は全方向に補正するしくみ上、流し撮りと手ブレを勘違いしてしまって逆方向に補正が働く可能性があるんです。ですので、流し撮りをする方はOS2を選択してご使用ください。よろしくお願いします。

MC:あ、天の声さん。ついでに前夜の鹿野さんのプロダクトセミナー(ライブ)でいただいた質問へのお答えもこちらでお願いします。

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天の声:あ、そうですね。「24-70mm F2.8 DG DN | Art28-70mm F2.8 DG DN | Contemporaryの最短撮影距離の性能について」ということで、昨夜質問をいただきました。作品としての見え方では、第1部で蒲原がお示しした写真のようにほとんど変わりません。で、今回MTFも確認してきたのですが、最短撮影距離のMTFを見る限りではほとんど同じです。まったくといっていいくらい同じ性能だったので、どちらも安心して最短で撮影してもらえればと思います。

Q3:「どれか1本だけレンズをもっていくなら?」「新旧を問わず、お気に入りの製品は何ですか?」

山木:うーん、1本となると難しいんですが、思い入れがあるのは35mm F1.4 DG HSM | Artですね。SIGMA GLOBAL VISIONとよんでいる現在のレンズラインに刷新した最初の1本なので。あともうひとつ挙げるなら18-35mm F1.8 DC HSM | Artですかね...。APS-C用ですが、それまで存在しなかったものを創れたという意味で思い入れがあります。両方とも世の中への新しいご提案でしたが、そういう製品を送り出すときは本当にわくわくします。今回のIシリーズも、個人的にいま一番使用頻度が高いですし、今までにないものを出していくのが一番嬉しいので、今後もそういった製品をめざしていきたいですね。

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あと、いま何が気に入っているか...?うーん...。やはり最近はfpを持ち出すことが多くなっているので、それに合わせると35mm F2 DG DN | Contemporaryかな...。あ、違うな、いまだと65mm F2 DG DN | Contemporaryの方がが多いかもしれないです。今までにない焦点距離なのでハマってますね。

畳家:あ、私もですか? うーん。自分で手掛けた製品なので、やっぱりSIGMA fpかな...。レンズは、本当は28mmが好きなんです。でも今はまだfpに似合う28mmがないのでIシリーズの24mm F3.5 DG DN | Contemporaryを好んで使っています。

森田:私はやっぱりdp Quattroですね。シグマに入りたいと思ったのはdp Quattroを見たからなんです。写りももちろんなのですが、あれを見て凄いな、と思って。あんな普通じゃないカメラを作る会社は絶対に楽しいに違いないと思ったんですよね。だから私には一番思い入れのある製品ですね。

蒲原:僕はコロナ禍以前から地方に行って撮影することが多かったので、必然的にSIGMA fpが多いです。僕もレンズは35mm F2 DG DN | Contemporary をつけっぱなしにしてますね。65mmも次に欲しいです。

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Q4:「 シグマのショールームはその後どうなったんですか?」

山木:以前、弊社のニュースリリースでもご報告させていただいたかと思いますが、大変申し訳ないのですが計画中止になりました。物件も決まってオープンに向けて準備していたのですが、途中で目論見通りの仕様で実現できないことがわかり、中断を余儀なくされたためです。現時点では新しい物件を探して設けるという計画はありません。そのかわり、今はコロナで難しいけれども、お客様と直接交流できる機会はたくさん企画したいと考えていますのでご期待ください。


Q5:「シグマの社食で一番好きなメニューはなんですか?」

山木:僕は工場にいるときはだいたいいつも日替わり定食なんですよね。野菜と肉の炒め物とかに、納豆となめこおろしとかは付け合わせますね。日によって変わるので「これ」というメニューはないですけれど。


Q6:「マグネティックレンズキャップは今後すべてのIシリーズに付属するんですか?」
(会場からのご質問)

山木:はい。これはIシリーズのアイデンティティのひとつなので、基本的にはつけていく方針です。よほど何か大きな問題が起きない限りは必ずつくと思っていただければ。


X3センサー開発のアナウンスについて

質問大会の最後に、2/19(金)にアナウンスしたセンサー開発状況について、この機会に少しご説明させていただきました。2/24(水)の新製品発表のライブ配信でも、この「シグバラ」でもう少し突っ込んだ話をすると予告したので、あらためてご挨拶させていただきました。

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山木と畳家のコメントより

山木:2/19(金)にも「センサー開発プロジェクトの状況について」ということでご報告させていただきましたが、予定していたカメラボディについては一旦すべて白紙に戻し、センサー技術の研究開発からしっかりやろうと取り組んでいるところです。
いまは高画素のべイヤーセンサーや他のセンサーも発展しているので、もちろんX3センサーの特長を活かしたものになりますが、現代的に意味のあるものを模索しなければならないということで、いま一生懸命、本社中心、シグマ主導で研究開発しているところです。
まだカメラボディの開発も始まっていないですし、すぐにカメラが発売できる状況ではありませんが、皆様のご期待は十分理解しておりますので、エンジニアとともに引き続き頑張ってまいります。
もう少し詳細な状況については、畳家からもフォローしてもらいます。


畳家:私からは、やや技術的な面での補足をさせていただきます。2/19の開発状況のアナウンスからこの間、皆さまがSNSなどで話題にされている内容もずっとチェックしてきました。2020年2月から今回のご報告までの間に状況が後退したり、初期段階に戻ってしまっているとお考えの方もいらっしゃるようですが、この間、センサー開発という点については状況は何も変わっておりません。ただ、生産予定だった会社との契約問題などがクリアーになりましたので改めて報告させて頂きました。
今回のアナウンスにおいては「今後の開発を日本・本社主導で行う」という点は新しい話になりますので、この点について補足させていただきます。

イメージセンサー開発というのはもちろんシリコンウェハー内に構成する画素構造が重要であることは間違いないのですが、それ以外にもノイズの要因とならないような電源回路設計や、フォトダイオード内に溜めたアナログの電荷をデジタル信号に変換するA/Dコンバーターの構造も非常に重要な要素なのです。
北米で開発をしている状況では特徴のある画素構造は実現できても、電源回路やA/Dコンバーター設計に関してはそれほど優位性のあるものができないことが分かりましたので、開発の主導を日本に移し、本社開発主導で完全に新規で3層構造センサーの研究に取り掛かっているところです。
今回のアナウンスは、こうした方針がようやくまとまったことからご報告したという次第です。

そのようなわけで、現状としては先ほどの山木の話と同じなのですが、センサー開発に目処がつかないかぎり、それを搭載するボディの開発ステージに進めませんので、いまはまずセンサーの開発段階にリセットさせていただいた状況であることをご理解いただければと思います。

この間、時間だけ経ってしまった感があり皆さまに対して申し訳ないという気持ちを我々開発チームも抱いておりますが、やるからには、ちゃんと良い性能、良いパフォーマンスを発揮できるセンサーを出さないといけないという強い気持ちを持っておりますので、もうしばらくお時間をいただき、しっかり研究開発をさせていただければありがたいところです。

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というわけで気がつけば時間は20:40に。20:00終了予定のはずが大幅に時間オーバーとなってしまい、最後は大巻きに巻いてのエンディングになってしまいました。すべてのご質問に答えきれず申し訳ありませんでした。初めての参加型ライブイベント、まだまだ、ぐだぐだ、あたふた、いろいろお見苦しい点もあったかとおもいますが、今回の経験を糧により良く、もっと楽しんでいただけるようにパワーアップしてまいります。
ご視聴くださった皆さま、ありがとうございました。

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CP+2021オンライン特別企画「シグバラ」リポート

第1回:28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary編

第2回:プレミアムコンパクトプライム「Iシリーズ」誕生秘話