アヒルと鴨のコインロッカー:伊坂幸太郎
どうしてだか以前読んだ小説をまた読みたくなることがあって、今回は伊坂幸太郎の「アヒルと鴨のコインロッカー」が読みたくなった。
もしかしたら、どこかで神様の声を聞いたのかもしれない。
前回読んだのは、伊坂幸太郎の小説に興味を持ち始めた頃で、彼の小説が映画化されたり、次々と新作を発表していた頃なので、多分15年くらい前?
手元にあった本はすでに処分してしまったので、今回は図書館で借りた。
ネットで蔵書状況を確認すると、市内の図書館にある2冊は、すでに閉架書庫に移動していて、もう過去の小説になってしまったらしい。
そんなことを言う自分にしても、本のタイトルを「アヒルと鴨のコインロッカー」だったか、「鴨とアヒルのコインロッカー」のどちらだったかわからなくなってはいたので、偉そうなことは言えない。
久しぶりに読んでみると、大方のあらすじは覚えているので、その展開を楽しむことはできなかったけれど、小さなエピソードが嬉しかった。
例えば、「ただ言い方を変えて、『もし、僕が外国人だったらどうする?』とだけ聞いてみた」(P98)とか、「川崎が蹴飛ばしていた自転車はどれも、点字ブロックの上に停めてあったものだ」(P101)、「『でも、琴美ちゃんがいなくなって、河崎くんがいなくなって、最近は、少しずつ考えが変わってきた』」(P317)なんてところ。
なんて言うんだろう、外国人への偏見に心を痛めていたり、善意(乱暴ではあるけれど)は人を変えることもあるんだなぁと思えて、善意を持ち続ける勇気になった。
伊坂幸太郎の小説にはあちこちにそんな小さな善意が隠されていて、読み進めるたびに、心がぽっと明るくなったり、善意を信じる気持ちになる。
たまには以前読んだ小説をもう一度読むのも、良いかもしれません。
そして、新しい発見をしたのなら、それは自分自身の考え方が変わったからなのかもしれません。
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