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【WBC 2023】1次ラウンド第4戦 日本vsオーストラリアを振り返る

WBC(World Baseball Classic) 2023。
侍ジャパンにとって1次ラウンド最終戦の相手は、オーストラリア。

オーストラリアのスポーツで真っ先に思い浮かぶのはラグビーですが、野球も盛んで、日本との交流も頻繁にあります。

昨年末の侍ジャパンシリーズで、大会に先駆けて代表チームが来日。
迎え撃つ侍ジャパンは国内組だけのチーム編成でしたが、結果は日本の勝ち越し。

迎えた今大会は初戦の韓国戦で接戦を制し、中国戦でも勝って勢いがあります。

対する日本の先発は山本由伸。
もはや侍ジャパンの常連。オリンピックでも初戦に先発し、圧倒的なピッチングで金メダル奪取に貢献しました。
先発ローテ確実と目されていた山本が1次ラウンド最後のマウンドに立ちます。
どのようなピッチングを見せてくれるのか?

実はこのオーストラリア戦、別件の用事があってゆっくり見れませんでした。
帰宅途中の車の中でラジオを途中から聴いた程度。
そのため、記事を書くのもちょっと遅くなってしまいました。
詳細な振り返りができない分、準々決勝に向けての話題についても多めに語ってみたいと思います。

大谷翔平、完全無欠の3ランが炸裂!

車で目的地へ急いでいると、ナビ代わりにしていたスマホに速報が。
日本戦に先駆けてお昼から試合をしていた韓国vsチェコの一戦で、韓国がチェコに勝ったため、日本の2位以内が確定。
今日の試合に負けても、準々決勝に行けることが決まった。

それでも、首位通過と2位通過では意味合いが大きく異なる。
やはりこの試合は勝って、プールB首位で準々決勝にのぞみたい。

この日は日本先攻。
今大会初の、紺色のアウェイユニフォーム。

1番ヌートバー。フォアボールを選び1塁へ。
続く近藤健介。この日もしっかりヒットを打ってランナー1、2塁。
迎えるバッターは3番大谷翔平。

オーストラリアの先発シェリフのふわっと浮いた球を見逃さず、持ち味のスイングスピード鋭い猛烈な一打!
ボールはそのままライトスタンドへ飛び込み、今大会初ホームラン!

最初の打席、ランナー1−2塁での豪快な3ランホームラン。
いつもテレビのスポーツニュースで見ているあのスイング、あの打球のスピード!
打った瞬間誰もが確信するほどの見事な一打!東京ドーム中が興奮のるつぼと化した!

その裏。初回から点をもらってマウンドに立つのは、山本由伸。
切れ味鋭い変化球とストレート。昨年の日本一にも貢献した、オリックスの絶対的エース。

この日の投球も申し分ない。
鋭く落ちるフォーク。絶対的なボールコントロール。
あっという間に三者凡退。

山本の投球はその後も冴え渡り、4回を投げて被安打1、8つの三振を奪う好投!
昨年の日本シリーズでは少し打ち込まれる場面もあったと記憶しているが、今日は文句なし!今後の侍ジャパンの戦いにも大いに貢献してくれるだろうし、オリックスに戻っても安定した活躍を見せてくれることだろう。

猛打だけではなく、足でも魅せる侍たち

2回表。
今日もショートは指を負傷した源田に変わって、中野拓夢。8番で先発。
打席に立つと、しっかりとヒットを打って出塁。
9番中村悠平の打席で当然のように走り、余裕の盗塁成功。
悠平も送りバントを決めてランナー3塁。
1番に帰ってヌートバー。しっかりセンター前にタイムリーを放って1点。
お手本のような点の取り方だが、中野の足が光ったプレー。

すると今度は1塁のヌートバーが走る!
再びスコアリングポジションにランナーを置き、2番近藤。
しっかりタイムリーを決めてヌートバーがホームヘ。
さっきのリプレイを見ているような、足を織り交ぜた攻撃!
ヌートバーは走攻守どれも完璧で非の打ちようがない。さすがは若きメジャーリーガー。レベルが高い…。

完璧な継投であわや完封の展開

5回からマウンドを託されたのは、高橋奎二。
ヤクルトをセ・リーグ優勝に導いた最強投手陣のひとり。
強化試合でも登板し、いい投球を見せていた。
そのヤクルトでバッテリーを組む中村悠平も、5回表にタイムリーを打つ好調ぶり。

高橋の投球も好調そのもの。
ストレートも走っているし、球威も申し分ない。
オーストラリア打線は山本由伸に続き、高橋奎二の球にも手が出ない。

高橋は2回を投げて、7回からは大勢がマウンドへ。
昨年の新人王。持ち味はその強いハート。
前のバッターにホームランを打たれたとしても、次のバッターの内角へ攻め込めるハートの強さ。
ルーキーながら抑えとして1年間その座を譲らず、ジャイアンツファンの合言葉は「大勢はガチ」。

今回の侍ジャパン投手陣は、チームを支える抑えの選手も多く選ばれた。
楽天の守護神松井、広島の守護神として東京オリンピックの金メダル奪取に貢献した栗林。
しかしラジオを聴いていると、栗林が腰の張りを訴えて本格的な投球練習には参加しなかったという話題が。
これからの試合は継投も重要になってくるので、大事なければいいが…。

話を大勢に戻すと、1本ヒットは打たれたものの、後続をしっかり抑えて無失点。
8回からは阪神の湯浅。今大会2度目の登板。ヒットは打たれたものの、こちらも危なげないピッチングでしっかり抑えた。

9回はこちらも2度目の登板となった高橋宏斗。
無失点の投手リレーを続けて勢いに乗ってマウンドに上がったが、先頭打者にホームランを打たれてしまう。

しかし、この日の失点はこの1本のみ。
残る3人をきっちり抑えてゲームセット。
二桁得点はならなかったものの、終わってみたら7-1の完勝。

1次ラウンドのどの試合も結果的に楽勝ムードではあったが、選手は最後まで気を抜かずに戦い、その緊張感も伝わってきた。

驚くべきは投手陣の仕上がり具合。この日はどのピッチャーも完璧に抑えてくれた。
これからの戦いも楽しみだが、今年のプロ野球も楽しみになる投球だった。

負けたら終わりの準々決勝へ

これで侍ジャパンの1次ラウンドは終了。
3/13の試合を経て、結果は1位日本、2位オーストラリアが準々決勝へ駒を進めた。

対するプールAは大混戦。
全チーム2勝2敗で並ぶという奇跡的な状況で、WBCのルールに基づき、失点率が低いキューバが首位。2位はイタリアとなった。

準々決勝は、各プール1位と2位同士が争う。
日本の次の相手はプールA2位通過のイタリアに決まった。

イタリアと言えば、「カテナチオ」を誇るサッカーや、情熱的なティフォシの血が騒ぐフェラーリが走るF1などが人気のスポーツで、野球のイメージはあまりない。
しかし、1回目から参加しており、なかなかの強豪。

それもそのはず。イタリア系のメジャーリーガーで結成されたチームだからだ。

MLBのご意見番、AKI猪瀬さんがラジオで話していて初めて知ったが、今大会のイタリア代表の監督は、あのマイク・ピアザらしい。
1995年、近鉄バッファローズからメジャーへ挑戦した野茂英雄さん。入団したドジャースの当時の正捕手がピアザだった。

野茂の「女房役」だったピアザの名は日本でも有名。
彼もイタリア系アメリカ人で、第1回のWBCにもイタリア代表として出場している。
AKI猪瀬さんは「野茂さんが始球式をするなら、ピアザが捕ればあの時の再現ですね」と言っていた。実現するか否かはともかく、ピアザ率いるイタリアとの試合となれば、野茂さんも来場するかもしれない。

日本はこれから、いよいよメジャーリーガーが揃うチームと戦わなくてはならない。
勝ち上がったとしても、ドミニカ、ベネズエラ、プエルトリコ、アメリカといった強豪国と戦うことになるだろう。
至上命題はイタリアに勝つこと。世界一奪回に向けてマイアミへの切符を手に入れなければならない。

プール終了から準々決勝へ向けて気になったこと

ここからは、プール終了から準々決勝に向けて気になったことを語ってみます。

スポニチの記事より。
ヤクルトで長年活躍し、ソフトバンクにも在籍したバレンティン。
オランダ代表として出場していましたが、大会前にWBCを最後に現役を引退する意向を話していたそうです。

プールAの結果は、前出の通り1位キューバ、2位イタリア。
オランダは惜しくも3位。バレンティンの来日はなりませんでした。

もし日本と対戦していたら、ファンは当然このことを知っているでしょうから、きっと試合も盛り上がったでしょうし、何より山田哲人を初め、長年チームメイトだった選手にも会いたかったに違いありません。

せっかくなので、何かのイベントで来日して、ファンに最後の挨拶をしてほしいですね。
長年ヤクルトの主力として活躍し、NPBシーズン最多本塁打記録も持っているのですから。
(村上は日本人としてのシーズン本塁打記録を塗り替えたが、バレンティンの記録を超えることはできていない)

ちなみに、オランダも野球強豪国。
ヨーロッパの国なので、チェコのように国内選手が多い、と思いきや、実はカラクリがあります。

中米カリブ海にある、オランダ王国の構成国であるキュラソー島。
この島では野球が盛んで、出身者にはメジャーリーガーも多く在籍しています。
バレンティンもこの島出身。チームはキュラソー島の出身者が中心となって結成されていたのでした。
オランダ代表にまさかこんなカラクリがあったとは…初めて知った時はびっくりしました。

侍ジャパン公式Twitterより。
このニュースはみなさんご存知ですよね。

チェコ戦でデッドボールを当ててしまったエスカラ選手に、佐々木投手がお見舞いとしてお菓子を手渡したそうです。
何故お菓子…?佐々木選手は千葉ロッテマリーンズ所属ですから、チームが用意したのかな?と思いきや、自身で購入して手渡したそうです。

なんとも心温まる素敵なエピソード。
エスカラ選手をはじめ、チェコ代表選手たちは東京で素敵な思い出をたくさん作って母国に帰ったことと思います。
レベルの高い選手も多かったですし、何より結果的にチェコ野球の人気が日本で高まったわけですから、是非チャンスがあればNPBのチームと契約する選手が出てきてほしいですね。

侍ジャパン公式Twitterより。
3/14に急に発表になりましたが、腰の張りを訴えていた栗林投手がチームを離脱することになり、代わりにオリックスの山﨑投手が登録されることになりました。

WBCのルールでは、ラウンド終了後に事前登録してある選手であれば交代が認められています。
短期決戦なので、不調を抱えたまま次回投げられるか微妙なところもあり、何よりこれから始まるプロ野球のシーズンを見据えての離脱だと思います。
残念ですが、ゆっくり治して、広島での今シーズンの活躍に期待したいと思います。

また山崎投手も昨年のオリックス日本一を支えた投手のひとり。
記憶では侍ジャパンでの投手の途中交代は今までなかったと思いますので、これからどのような調整をし、どこで、どのように登板となるのか気になります。

ちなみに、右手小指を骨折した源田選手は、いつもと変わらず守備、打撃練習をこなしているそうです。
本当に大丈夫なのでしょうか?無理して酷いことにならなければいいのですが…。

タイトル画像は、侍ジャパン公式Twitterより使用させていただきました。
大谷翔平の3ランは衝撃的でした。木曜日もみんなの力で勝ってフロリダへ!

【お知らせ】
WBC2023の記事をたくさんの方に読んでいただき、ありがとうございます。
過去の記事をまとめるために、新たに「スポーツを語る」マガジンを作りました。
WBC1次ラウンドの記事はもちろん、昨年のサッカーW杯、アントニオ猪木さんの追悼記事や武藤敬司さんの引退についての記事も書きましたので、併せて読んでいただけると嬉しいです。

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