見出し画像

パパ・ママクリエーターに子育てとAIについて聞いてみた

AI技術は日々進化し、私たちの生活に浸透しはじめています。AIやそれを活用したサービスが一般的になるこれからの社会では、子育ても大きく変化していくことでしょう。

AIがより身近になることが子育てにどのような影響を与えるのでしょうか? 小さめのお子さんを持つパパ・ママ社員にざっくばらんに聞いてみました。


・・・

今回話を聞いたのは次の三人です。

二児のお父さん:ディレクター的な立場のデザイナーで、14歳と12歳のお子さんがいらっしゃいます。キャンプなどアウトドア好きな活動派。

二児のお父さん:デザイナーで、10歳と5歳のお子さんがいらっしゃいます。オーディオに造詣が深いこだわり派。

二児のお母さん:イラストレーターで、2歳4ヶ月と6ヶ月のお子さんがいらっしゃいます。上のお子さんが1歳10ヶ月の頃アレクサが家にやってきたとのこと。


AIへの期待と不安

AIのような今までにない技術が急速に発展することに対して様々な意見が見られます。そこで最初に、子育てをする中でAIがより身近になってくることへの印象を聞いてみました。

すると三人ともAIについてはそれほど心配していない、むしろ便利な世の中になっていく期待のほうが大きいとの回答でした。

対人でのやり取りが発生するSNSの利用には留意が必要ですが、AIは対人でのやりとりでは無いという安心感もあるようです。信頼できるサービス提供元が用意した「子供向けの制御されたAI」なら心配は少ないはずとのことでした。

最新のAIとは方向性が異なりますが、既に実際の生活でアレクサやSiriのようなAIサービスに触れていることもポジティブな反応の一因のようです。アレクサは既に家族の一員のような扱いで、ペットみたいに感じているとの回答もありました。

「将来的にAIによって職が奪われる」と言われていることについてはどうでしょうか。

たしかにAIの影響で先行きが不透明とされている職種もありますが、それでも子供の内発的な意思でそういった職業を目指すなら当然ながら尊重してあげたいとの答えが。

AIが一般的になる中で職種を問わず英語やPC操作といった特定のスキルが重要になってくるといった傾向はありうるので、親としてそういったレベルでの情報提供や、方向性を示唆するくらいはするだろうという意見も。

このあたりも皆さんそれほど心配してないようですね。


AIと情報リテラシー

子供がAIと接する際の情報リテラシーについても尋ねてみました。

最近のお子さんは最初からネットが身近にある環境下で育っているので、親としてもネットリテラシーの重要性は肌で感じています。ご家庭ごとに程度の差はあれ、まだ小さな頃はスマホを触らせないようにといった配慮をしているはず。もちろん「ある程度の年齢」になれば、子供がスマホを使うことに問題はありません。AIの利用についてもそれと同じではないかとのことでした。

確かに「AIの言うことを盲信せずちゃんと答え合わせをしようね」と教えるのは、ネット上の不確かな情報を鵜呑みにしないようにするのと似ています。AIを扱う上での留意点を子供本人がわかっていれば大きな問題はないということですね。

小さな頃からネットがあって当たり前の環境で育つ現代の子供たちについて聞いてみると、ネットを使う上での「当たり前の前提」が分かってない面があるとの指摘がありました。ネットの情報をいつの間にか本当のことだとして捉えてしまう傾向があるというのです。

例えば動画の中で話している人の顔がフィルタで加工されていることが理解できないのだとか。親が説明してその場では理解したように見えても、やはりその顔の人が向こうにいると考えてしまうようです。その結果、容姿の整った人が世の中に溢れていると思い込み、自分はイマイチだと落ち込んでしまう話もよく聞くそうです。

たしかに自分たちが子供の頃を考えると、周囲と自分を常に「自分の基準」で比べてしまう感覚は理解できます。AIとの接し方でも似たような課題が発生することは考えられますね。

子供とAIとの関係を考えるにあたり、親たちも学ばないといけないのではないかとの指摘も出ました。子供たちには独自のコミュニティーがあり、その中での「常識」や「遊び方」があるものです。

つまり、親のコントロールできないルートで情報が入ってくることになります。そういった子供たちの遊び方や、学校でのAIの活用方法を知らないままだと、親の指導が的外れになる可能性もありそうです。

しかしAI技術の進化は驚くほど早いので、どこで情報を仕入れればよいのかがわからないという意見も。実際にどこで情報を収集しているか聞くと、今はTwitterがメインになっているとのことでした。

親もAIに関する正しい情報を効率的に入手できるルートの確立が大事になりそうです。


AIとコミュニケーション

AIとのコミュニケーションはどうでしょうか。子供は成長の過程でコミュニケーションを通じて言語能力や社会的スキルを発達させ、自己表現や他者との関係構築の基盤を築きます。そこにAIとのコミュニケーションが入ることでどのような変化が考えられるのでしょうか。

最近の子供たちは、字を読むことが面倒だと考える傾向があるそうです。検索でもYouTubeやInstagramなど、検索結果を視覚的に確認できるツールを使いがち。こういった世代には、話しかけるだけで質問内容を理解し、淀みなく答えを聞かせてくれるAIは頼れる相手に映ることでしょう。

利用するほど最適化されていくAIは子供にとって居心地の良い相手。そうなると、対AIのコミュニケーションばかりになってしまうのは心配です。近い将来、ずっとAIとばかり話している子供に対して親がどこかで介入するのかという議論が出てくるかもしれません。

またAIは疲れることなく延々と話を聞いてくれます。子どもたちの質問攻めにあっていた親御さんが、それをアレクサが引き受けてくれるようになってとても助かったという切実な事例も出てきました。

そういった面でのAIの利用は今後さらに発展すると思われます。AIが家族の一員として扱われる状況も想像に難くありません。AIは叱らないで言うことを聞いてくれるので、子供からするとコミュニケーションの相手は親よりAIのほうが良いという未来すらあり得るとの指摘も。

一方で、子供がAIに対し乱暴な口調で「命令」をすることが気にかかるとのコメントも。AIは怒ったり機嫌を悪くしたりしないので、やり取りの過程で子供自身が不適切な言動を省みるタイミングが無いとも言えます。

親としてこの状況は好ましくないと考えるもの、どのように指摘するべきか逡巡している面があるそうです。例えば「そんな言い方だとAIが可哀想でしょう」という言い分には親自身でも違和感があるとのこと。

これに対しては、親の自分がいっぱいいっぱいのときアレクサに対して強い口調で怒鳴ったことがあるかも…という反省のコメントも出ていました。

親にも新しい悩みが増えた感じでしょうか。


AIと教育

AIの発展が教育面へ好影響を与えることに期待しているという指摘もありました。AIが子供の勉強を補助してくれるようになることへの期待です。

実際にAIによるコーチングが既存サービスにも取り入れられており、コーチングしてくれているのがAIと分かっていても利用者の満足度が高かったという事例も。AIによるコーチングが効果的なら、子供への教育にも応用できるに違いありません。

近頃、ChatGPTが子供の作文の手助けをしてくれたという話が話題となりました。

紹介されたやり取りを見ると、AI側が子供を大いに褒めて話を引っ張ってくれているのが印象的です。話を聞いた三人からも、子供がいきなりは解決できない課題をAIが分かりやすい形に分解し、更に問答形式にすることで子供の理解を引き出してくれていることに感心の声が上がりました。教育面でのAIの有用性を感じさせるエピソードです。

子供の理解を促すにはこういった丁寧な対応が理想なのですが、学校教育の現場で人手不足の深刻さが叫ばれている昨今、子ども一人ひとりに合わせた丁寧な対応は難しい状況です。AIが更に進んで、個々の子供にあった内容、ペースで勉強をできるようになると良いですね。

例えばAIによって教科書の内容が子供ごとに変わったらどうでしょうか。ゲームを遊びながら算数を理解するとか、歴史の年号をラップに乗せて覚えるといったように、その子の得意な部分を活かして無理なく理解できる可能性がありそうです。

学校の授業はどうしても一定のペースで進んでいかざるを得ませんが、そこから遅れてしまった子もAIがフォローしてくれたら塾に行く必要もなくなるかもしれません。AIによる家庭教師が安価で使えるようになれば、高額な塾に通えるか否かで進学先が決まってしまう格差を埋める一助になるのではないかとのコメントも出ました。

一方、「学び」は苦手なものを乗り越えていくことも大事なので、あらゆる勉強をAIによってわかりやすくしてしまうのが本当に良いことなのか疑問だとの意見も。苦労して覚えていくことが必要な部分も確かにあります。要するに上手くバランスを見る必要があるのでしょう。

AIによるサポートを公教育へ導入するとなったとき、誰がそのバランスをコントロールするのかという部分は議論が必要になりそうです。

いずれにせよ、子供の教育にとってAIは大いなるポテンシャルを秘めているので、うまく利用できることに期待したいとの意見で一致しました。


・・・

いかがでしたか? 今回はAIと子供の関係について、パパ・ママクリエーターの話を聞いてみました。

子供たちとAIの関係は今後も進化し続けるでしょう。AIと子供の関係は未来を見据えた興味深いテーマです。皆さんはどのような感想を持たれたでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?