地獄の岸辺で祈り続けよう——エデン条約編3章・感想【ブルーアーカイブ】
・祈りの言葉は得てして、自分自身で制御できる範疇を遥かに超越した、成就が困難な物事に捧げられる。「ニーバーの祈り」もその一つで……変えがたい運命が降りかかると、人はそれを簡単に受け入れられないし、変えられるにせよ過酷な運命に立ち向かう勇気は湧かないものである。そもそも、運命の質を見分けることなんてできないのだから、正常な判断のしようがない。
・大量の銃弾を浴びても平気な肉体を持っていようが、人間がそれ程までに小さな存在であることに変わりはない。百合園セイアと白洲アズサがその例だ。運命を前にして、セイアは変えようとせず受け入れた、アズサは受け入れずに変えようとした。プロローグの二人は対照的だ。見てみると——
・アズサはセイア殺害の任務を与えられる。セイアは予知夢でそうなることを知っていたが、逃げも隠れもしなかった。足掻いても無意味だからと彼女は語る。そんなセイアに、アズサは人を殺す数々の方法を流暢に語ってみせるが、
・その問いに言葉を詰まらせる。セイアは語る。予知夢で見た。人殺しになることを恐れる君の姿を。全ては虚しい(vanitas vanitatum)——そんな世界の理を知っていながらも、君は足掻こうとする。私にはよく分からなかったけれど、と一言を添える。
・後に二人の心情は奇妙な交錯を迎える。セイアズてぇてぇなあ……じゃなくて! まさにエデン条約編3章「私たちの物語」を象徴するプロローグだ。理性と良心が擦り切れるほどの悲壮な運命の輪の中で、叫び、瞑目し、のたうち回り、足掻き、祈る。そんな小さな人間達の叙事詩が幕を開ける。初見感想をお届けします。
<前回の記事はこちら>
「銃で撃たれれば血が出る」「純粋に物量の差で負ける」
・今回は15話まで一気読みしちゃいました。あんなもん見せられたらなあ……あらすじをまとめる前に、衝撃を受けたことを2つ。1つ目は——
ヒナぁ!!!!!😭
嘘でしょこんな立ち絵あるの!?!?!?
・「生徒は銃で撃たれれば血が出る」その事実に気付かされたこと。当たり前だろって思うじゃないですか。でもね、ヘイローを壊せば死ぬだの、それ以外にも殺す方法はいくらでもあるだの、そんなことを言われても「まあ言うて大丈夫やろ。みんな頑丈だし。不穏を煽るための演出やろ(鼻ホジー」って認識だったんですよ。
・でも、ここまで真に迫った流血描写を提示されると話が変わってくる。ブルアカのダメージ表現は、服が破けてえっちな感じになるんじゃない。ガチで血が出る。彼女達は血を流しながら戦う兵士である。突然突きつけられたその事実に、めちゃくちゃ動揺しました。
・しかも先生は腹に銃弾を受けて重傷。……そうだよな。先生は生徒と違って貧弱な肉体なんだって、これまでにテキストでしっかり表現されてきたもんな。知ってた、知ってたけど、いざこれを目の前にすると……うわあマジかよ……
・衝撃を受けたこと2つ目は「純粋に物量の差で負ける」。どういうことかっていうと……これまでのメインシナリオで繰り広げられてきた戦闘は、どれも銃撃戦だった。ゲーム部分ではヘリや戦車もいたけど。陸上戦の域を出ない。まあこのゲームって銃がキービジュアルの一部だしそりゃそうだわな、とはっきり意識することすらなく、当然のこととして受け入れていました。ところが——
巡 航 ミ サ イ ル 発 射 !
着 弾 !
・「………………………………はあ?」これですよ。規模が桁違いすぎるだろ、と。アリウス分校がエデン条約調印式で何か仕掛けてくるだろうなあ、ってところまでは予想できる。でもトリニティやゲヘナに比べると、いかんせん母数が少ない。だから搦め手で攻めてくると思った。奇襲、アズサのようなゲリラ戦術、この世界観特有の特殊能力、まだ裏切り者が潜んでいるとかとか…………それがミサイルだあ!?!? はあああああああ!?!?!? 次元の違う大量殺戮兵器を突然ぶち込まれたんだが!?!?!?
・うわっ地下墓所(?)から変な幽霊うじゃうじゃ出てきた!!!!
・それを用意をすることができたのは、ゲマトリアが協力したからのようだ。ホシノ先輩をたぶらかしていた黒服と同じ連中。……そんなことまでできるのあいつら!?!? ジョジョで言うとスピードワゴン財団が敵のバックにいるようなもんじゃん!!!! はっきり言うぜ!!!! 勝てる気がしねえ!!!!
・一連の展開に衝撃を受けた、呆然とした、ただただ立ち尽くすしかなかった、ドスで突然刺された。そんな感覚がありますね。ブルアカ始めて1ヶ月のオタクがこれですよ。リリース当初から1年かけてリアタイしてた人はそれ以上でしょ。みんな泡吹いて倒れたんじゃないか……?
・トリニティの正義実現委員会も、キヴォトス最強と謳われるゲヘナの風紀委員ですらも、みんな等しく、大いなる戦火に巻き込まれ、血を流し、大混乱に陥る。強くて頼もしいと思えていた生徒達は、こんなにも弱くて脆かったのか——引いては、人間がどれほど矮小な存在であるかを思い知らされる。
・対策委員会編は、みんなでワイワイと銀行強盗したし、愉快な便利屋68との共闘もあったから安心感があったんですが。今回ばかりは次元が違う。えっと、あの、これ……マジでここからどうなるんですか? 勝てるビジョンがまったく見えないんですが……
約束、審判
・あらすじをまとめるパートに入りますと——アリウス分校の特殊部隊アリウススクワッドによる大規模作戦が展開。この作戦により、エデン条約調印式に参列していたトリニティ総合学園およびゲヘナ学園の首脳部・主戦力は大打撃を受ける形に。
・アリウス分校の目的は、条約の書き換え。通功の古聖堂という「場所」、条約締結のために集まった「代表者」、「戒律」の守護者であるユスティナ聖徒会の複製(ミメシス)——第一回公会議と同じ要素が集まったことで、エデン条約調印式は、公会議の再現、アナロジーになった。そこで生み出される約束事は絶大な効力を有する。
・セイアの解説によると、キヴォトスにおける「約束(契約、戒律)」という概念はかなり効力が強い。で、アリウススクワッドは条約の内容を「我々こそがエデン条約機構(ETO)である」と書き換えちゃった。これにより、アリウスはトリニティとゲヘナの紛争を解決するという名目で、戒律(条約)の守護者たるユスティナ聖徒会の複製を「トリニティとゲヘナ絶対殺すマン」として稼働することが可能になった。両校がキヴォトスが消え去るまで。ヒエッ……アリウスの憎悪はそれだけ深いってことか。
・ちなみに、こうした「約束」の概念ゆえに、ゲマトリアも生徒達に無理強いをすることができず、契約を持ちかけるという形にせざるを得ないようだ。関係者以外は契約内容に直接干渉できない。契約を破った場合はペナルティもある。対策委員会編でいうと、黒服はホシノをハイエースできず、退部の勧誘という形に留まった。そして、先生が退部届を認めなかった=契約が破棄されていなかったので、手を引かざるを得なくなった。なるほど、そんな裏事情があったのか。
・じゃあ私がカヨコと——あっいや、特定の生徒と結婚したらさ、これも約束(契約)に該当するじゃん? もし私が他の生徒とイチャイチャして、それが浮気、すなわち契約不履行と見なされた場合、重罰が下されるのかな。なるほど。生徒との距離感は真剣に考えないとな。
・……ってそんなことはどうでもいいんですよ! 私が大事だなと思ったのは、アリウスが成し遂げたことは「エデン条約ぶっ壊して台無しにしたった!w」ではなく、「エデン条約を乗っ取って、第一回公会議の関係図を反転させた」ことである点。図解すると、
・こんな感じで赤い矢印の向きが逆方向になる。トリニティから鎮圧対象として定義されていたアリウスが、逆にトリニティとゲヘナを鎮圧対象として定義する。これは復讐というより、意趣"返し"、仕"返し"、しっぺ"返し"、そんな言葉で表現するの方が似合う。「お前らが昔やったことを、そのままやり"返し"ただけだぞ」という寸法。
・サオリはこう語っている。アリウス分校を徹底的に弾圧した報いを受けさせる、という目的を達するのなら、なるほど"返し"こそが最も正しい手段だ。
・そういえば、旧約・新約聖書においても、神罰によって破壊がもたらされるお話はよくありますね。悪徳が栄えていたソドムとゴモラの街は、空から火と硫黄が降り注ぐことにより滅亡した。巡航ミサイル直撃、7〜8話タイトル「火と灰に染まる日」はその景色に重なる。
・また、街から逃げのびたロトの妻は「後ろを振り返ってはいけない」という神との約束を破ったがゆえに、塩の柱になってしまった。これはまさに契約と、その不履行による罰。何かと重なる部分が多い。"エデン"条約編だし、やっぱこういう聖書のエピソードが下敷きになってるのかな。
・閑話休題。正直に言うと、「アリウスの奴らめちゃくちゃかっけえじゃんか……」と思ってしまった。てっきり無差別テロや破壊活動に終始すると思ってたけど。審判を下す。彼女達には確固たる信念と目的がある。しかも、大胆な作戦でキヴォトス最強の二校を圧倒した。小悪党だと思ってたけど全然違う。作品が違っていれば、サオリはディストピアに立ち向かうダークヒーロー主人公として描かれていてもおかしくない。立ちはだかる敵として畏怖を抱き、同時に崇敬の念を抱いてしまった。でもね、先生として思うところもあって——
・やっぱり私、サオリがこんなにお腹出してるの心配だよ……大丈夫? お腹冷やして腸内環境乱れてない? お婆ちゃんの心境になってきたな。まったく最近の子は……ほら、この腹巻きを使いなさい?😊
・それに、ここまで大胆な露出って、自分のくびれに相当自信がないとできなくない?🤔 あるいは、切り込み隊長として「この方が身軽だからだ」っていう実用的な理由? 気になる……会話を観たいわ! この子の絆トークをみせてちょうだい!!
アズサとサオリ
・アズサは、アリウススクワッドの仕業であることをいち早く察知。彼女達に単身突撃。
・そうか! アリウススクワッド=エデン条約機構を無力化すれば、ユスティナ生徒会の複製も止まる! そこに勝機があるってわけだ! 希望が見えてきたな! と思いきや——
・そう来たかあ……殺してみせろ、だがセイアを殺せなかったお前では無理だろう。サオリはアズサにそう語りかける。
・アズサは撤退を余儀なくされる。しかし、サオリの言葉や、予知夢で見た未来に足掻こうとしないセイアに影響されたのか、つい覚悟を決める。ヒフミに、そして補習授業部の平穏な日々に別れを告げる。
・人を殺す、死んでも忘れない。そんな言葉を当たり前のように口にする。笑顔の裏側に潜む、その覚悟の強さが窺い知れる。かくしてアズサはサオリと再戦。その結果は——
・(カタカタ)……身長は149cmと167cmか。白と黒でカラーも対比的。でも使用しているアサルトライフルはM4とSIGM400で形状が似ていて、同じ学校の生徒だった名残が感じられる。敵対ロマンスだ。アズサオてぇてぇ……とか言ってる場合ではなく、アズサは銃口を向けられる。で、大量の銃弾を浴びせられるんですが、
・……このシーン、強烈な違和感を覚えたんですよね。全ては虚しい。それなら、アズサの信じる友情が虚しいもであると知らしめようとする、サオリの行為すら虚しい。虚しいって言うけどお前がやってることも虚しいじゃんと。ブーメランなんですよねサオリがやってることは。
・そもそも、トリニティとゲヘナを潰そうとする行為すら虚しい。仮に両校を消し去ったとして、サオリはその先に何を見るのか? 達成感や解放感か? 否、やはり「全ては虚しい」という真実だけだろう。
・そこで気づいた。この銃撃シーン、サオリがアズサに「全ては虚しい」という真実を押し付けている構図ではない。サオリもアズサと立場は同じで、振り回されている側に過ぎない。二人の問答すら包括してしまうほどに「全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいのだ」——その報われない現実を提示しているのが、この銃撃シーンの本質なのだ。虚しいという言葉の連呼は、サオリが自分自身に言い聞かせているようにも聞こえる。
・この対決は最悪の決着を迎える。サオリは友情を放棄させようとしたが、アズサは自分の手で、ヒフミとの友情の証であるぬいぐるみを爆破して撤退する。私は冷酷な人間だ、ヒフミを裏切った……アズサは街の片隅でうずくまり、雨に打たれながら慟哭する。
・人はかくも小さな存在である。5人を轢殺するトロッコを止めるために、1人を橋から突き落とす——たとえそれが正当な行為であったとしても、良心の呵責に苛まれる。この残酷で冷たい世界を生き抜く上で、理性はあまりにもちっぽけだ。
・だからこそ、人は祈る。ニーバーの祈りのように。変えられない物事を受け入れる心の平穏と、変えるべき物事を変える勇気を、その二つを見分ける知恵を、乞い願う。たとえ全て虚しくとも、前に進む理由があるから。
・かくして、少女は絶望の淵から立ち上がる。そして、再び動き始めるのは彼女だけではなかった——
証明しえぬ楽園を
・ここが終着点だとセイアに諭されても、先生は再び立ち上がる。エンドロールの先にある、エピローグを求めて。楽園の存在を証明できずとも、その存在を信じて進むことに意義がある。まだ癒えない傷を抱えながら、再び立ち上がる。
・そんな先生の姿に、セイアは感化される。足掻くことは無意味だと語りながらも、本当は彼女自身、受け入れる覚悟がなかった。この物語を最後まで見届ける決意を固める。一人でアリウスに立ち向かったアズサのように。
・で、復活した先生に真っ先に待ち受けていたのは——
・なんと集団リンチされる聖園ミカでした……って待てや!!!! ブルアカ、まさかここまで「暴力」を綿密に描くゲームだったとは……ヒロインが集団リンチされるとは……頭がくらくらしてきた……
・コハルと一緒に聖園ミカを救出。そして、ミカの心情が今こそ語られる。なぜトリニティの裏切り者になって、ナギサやセイアを傷つけるようなことをしたのか? それは——
・彼女自身わかっていなかった。
・アリウスがヘイローの破壊まで目論んでいるとは思っていなかった。気づいた時には全てが手遅れだった。どうしてこんなことに。そうだ、二人がおかしいからだ。ゲヘナと仲良くするのも間違ったことだ。多少の犠牲はつきものだよね。と、そうこうしているうちに、やること成すことが全て裏目に出て、後戻りできなくなっていた。ナギちゃんとセイアちゃんに会いたいと、彼女は涙ながらに語る。
・コンコルド効果、合理化、言語化できない無意識の奥底に眠る情動、エトセトラエトセトラ……人間はいかにして憎悪を募らせるか、暴力に駆り立てられるか、そのプロセスは時として混沌(カオス)だ。自分ですら理由がわからないことがあるのだから、他者が全てを理解できるはずがない。
・冒頭のハナコの問い。「証明できないのなら、信じるしかないのかもしれない。そこには楽園がある、って」と先生は語った。証明できない楽園の存在を信じる。それはもはや、死後は天国に導かれることを信じるのと同じだ。祈りだ。サオリなら虚しいと言うだろう。しかし、ミカの心には、優しさや思いやりと呼べるものが確かにあった。それは楽園を信じて進み続けた結果手にした、ほんのひと握りの希望。
・エデン条約、証明しえぬ楽園の名を冠した条約。そこには憎悪が渦巻いていた。しかし、ミカの心がそうであったように、一抹の希望が残されているはずだ。
・アズサを助けるために補習授業部が再結集。運命の歯車が、再び回り始める——
青春の物語 -Blue Archive-
・通功の古聖堂。アズサとアリウススクワッドが激突していた。そこへ補習授業部が駆けつける。トリニティやゲヘナも来てくれました。
・「私とヒフミは住む世界が違う」その反論として、ヒフミは正体を明かす。これまで彼女は、覆面水着団の話題が出た時、愛想笑いでごまかしていた。当然だ。正体が明らかになれば、トリニティ総合学園から処分がくだされかねないし、ブラックマーケットの連中から狙われる恐れだってある。それほどのリスクを背負ってでも、彼女は正体を明かした。全てはアズサを連れ戻すために。友達として隣にいるために。
・……な、なあ、ちょっと待ってくれ。対策委員会編でヒフミが銀行強盗に加わったくだりは、まさかエデン条約編のこの展開から逆算して作られたものだったのか……? と、そこへ——
嘘ぉ!?!?!?
対策委員会も来てくれたのぉ!?!?
・いやいやいやいや!!!!!! 待って待って!!!! 確かに前記事で書いたよ、「ギャグ描写が思わぬ伏線だった、が全然ありえるんだよなこのゲーム」ってさあ!! でもこれは予想の遥か斜め上すぎるだろ!? うわっやばっ何この激熱展開すごすぎる!!!(語彙力低下)
・あらゆる学校の生徒が一同に介する中、ヒフミは未成年の主張を始める。今日はみなさんに〜! 言いたいことがありま〜す! \\な〜に〜?//
私たちの物語……
私たちの、青春の物語(Blue Archive)を!!
・あまりにも青かった。眩しかった。空も、ヒフミも。秩序が破壊され、苦境に立たされ、非情な現実を突きつけられ、自分がどれほど小さい存在であるかを知ってもなお、ヒフミは自分の信念を貫いた。平凡な女の子が抱える挫折と成長。ちっぽけな勇気。やがて彼女は補習授業部の代表となり、あらゆる生徒達の前で堂々と宣誓する——それはまさに、青春の1ページであった。
・…………………………えっ? ああ、そうか!! 場所! 代表者! 約束! 条件は全部揃ってる!!!!!! うおおおおお!!!!!
・そう、これはアリウスと同じ。やり"返し"ただけだ。だから、これが絶対的な正解ではない。ハッピーエンドを求めるヒフミの願望も、生徒を守るための先生の行動も、所詮は自己本位(エゴイスティック)に過ぎない。全ては虚しい。その真実は何も変わらない。青春の物語も、ハッピーエンドも、楽園の存在も、信じることは全て等しく虚しい。
・しかし、進み続けた先には晴れ渡る青空があった。そこに架かるであろう虹に、私達はどうしようもなく心を惹かれる。良いことが起こりそうだと根拠もなく思える。ならば虚しくとも祈り続けよう。理性と良心が悲鳴を上げる、この地獄の岸辺で。証明しえぬ楽園の存在を信じて。紡ぎ続けよう、青春の物語(Blue Archive)を——
ヒエロニムス(初心者の壁)
・エデン条約の改正。トリニティ補習授業部、正義実現委員会、アビドス対策委員会、ゲヘナ風紀委員による包囲。アリウスを追い詰めていく。サオリは古聖堂の地下へ撤退。
・と語るのはアリウスのアツコ。サオリからは姫と呼ばれている。ミカと同じように、その憎悪は混沌の中にあった。他人から植え付けられた憎悪を自分達のものだと思い込むようになっていた……よーしわかった! みんなシャーレに来なさい! 4人前なら鍋料理だな!! アレルギーがある子は先に申告してねっ。
・しかし、ゲマトリアのマエストロが、地下に眠っていた戦術兵器を起動させる。戦闘に突入。
・………………あれ? 自由編成なんだ?🤔 えっと、じゃあ——
・ま、適当でいいっしょ❗️😁 さて、きっとこれが最終決戦だ。気合入れていくぞ!!
瞬殺されたわ……
・(カタカタ)……へー、メインシナリオを読むのにノルマがあった頃の名残なんだ。しかも最近になって攻略難易度かなり下げられたと。それでも推奨レベルは45前後、かつ構築もきちんと考える必要があるのか……ご、ごめん、みんな、ちょっと待っててね!!
〜数日後〜
・……うん、そうだね、送金はいつもの口座に。今回はムツキだけ借りるけど。また機会があったらみんなに依頼するね。……うん、アルも元気で。それじゃ(ガチャッ)
オラアァッ!!!!!
・編成はこちら。これをきっかけに攻略情報を参照するようになり、その過程でゲームシステムへの理解が深まりました。なんだかんだ必要な壁なのかも。私と同じく詰まった人は気長に育成しましょう。アニメや推しの動画を消化しながら気長にね。
エピローグ
・本編に話を戻しますと……ヒエロニムスとアリウススクワッドの無力化により、事態は収束。平穏な日常に戻り始める。まずゲヘナ。ヒナは風紀委員長に続投。
・アリウススクワッドを包囲する前、彼女は「私はホシノのように強い人じゃない」と、ずっと隠し続けていた不安を打ち明けていた。ヒナ、ごめんね……ずっと一人で頑張ってくれてたんだね……ありがとう……😭
・ヒナは先生の言葉で立ち直る。そういえば、絆トークの先生、やたらヒナにグイグイ迫るなあと思ってたけど……そうか、構ってあげるためだったんだ。ちゃんと「先生」してますね。風紀委員長としての職務は相変わらず大変そうだが、元気そうなヒナの姿を見ることができてホッとしました。
・……いや、やっぱり不安だわ。忙しくて食事おろそかになってないかな。っていうか毛量すごいな。手入れ大変そう。寝癖直したり、髪乾かしたりさ。毎朝毎晩手伝ってあげたい。肩揉んであげたい。よし、ヒナのママになるか。
・続いてトリニティ。ティーパーティーのナギサ、ミカ、セイアは、今回の事件を機に、お互いに本音を打ち明け始める。他人の心は証明不可能だが、楽園を信じて進み続けることに意義がある。相変わらず痴話喧嘩が絶えないようだが、喧嘩するほど仲が良い、仲睦まじい関係を築いている。
・……この三人について言葉を尽くすのは野暮か。先生はクールに去るぜ。
・補習授業部が再設されました。部員は同じくあの4人。なんでだよ!!! なあ!!! まあアズサが戻ってきてくれたのは嬉しいな……
・最後にアリウス。アリウス分校のバックには、同校の生徒達がゲヘナとトリニティを憎むように洗脳し、逆らえば殺そうとするやべーやつがいる。スクワッドは、そんな奴から必死に逃げることになった。誰かから与えられた憎しみを振り払うために。アズサが自分で生きる道を選んだように。
・追い詰められた4人を見て、こんなことを言うのもなんですが……今の私にとって、彼女達はアリウススクワッドではなく、アリウス四姉妹ですね。サオリの長女感。ヒヨリの末っ子感。姉妹喧嘩はあまりしなさそうだけど、言えないモヤモヤがお互いに募って、すれ違いが多そう。また合流できたら絶対に守ってやらないと。
・かくして、各々が別の道を歩み始める。その心の内には、今回の事件で味わった挫折と成長がある。何かこう、卒業後の進路は別々だけど、同じ学び舎で過ごした思い出が背中を押してくれる、って感じでいいですね。これまた青春の1ページだ。私も頑張らなきゃな。シャーレの「先生」として生徒を育てる、「ママ」として娘を守る、両方やらなくっちゃあならないってのが「大人」の辛いところだな。覚悟はいいか? 俺はできて——
・……ん?
キッッッッッモ!!!!!!!!!
何だこいつ!?!?!?!?
完走した感想
・えっ、ちょっと待って!? ここで終わり!?
・いや確かにね、物語の終わり方としてはとても綺麗なんですよ。アリウススクワッドの行方も、彼女達のバックにいる存在(ゲマトリア?)も気になるけど、一連の騒動に決着は着いた。ヒナが返り咲いた。ティーパーティーは仲直り。アズサとヒフミはまた肩を並べることができた。まさにヒフミの求めていたハッピーエンド。
・何が引っかかるって……4章のタイトルが「忘れられた神々のためのキリエ」なんですよ。どゆこと?? 何この不可解なタイトル?? エデン条約編を読む前からずっと気になってた。きっとストーリーを進める過程で紐解かれていくんだろうなと思ってた。でも全然違った……「忘れられた神々」も「キリエ」も、ここまで一切登場してないよ!?!?!?
・恐ろしい話だが、このエデン条約編という物語、まだ全貌が明かされていない。あらゆる暴力と残酷な現実と、仮初めのハッピーエンドを見せつけてなお、この物語はまだ後ろ手で釘バットを隠し持っているのだ。ブルアカというゲームが恐ろしい、私は初めてそう思った。
・と、後の物語を読む不安はひとまず置いて……3章、本当に素晴らしい物語でした。1〜2章から匂わせていた暴力と不穏な影。それが最悪の形で顕現し、最良の形で解決へと導かれる。その過程へ至るまでに、各々が己の無力さを味わった。「全ては虚しい」とつぶやくサオリすら含めて、誰もが運命に翻弄されていた。誰もが足掻き、のたうち回り、やがて成長を遂げる。そんな群像劇はカタルシスに満ち溢れており、まさにこのゲームがBlue Archiveと題するにふさわしい、極上の青春の物語がそこにあった。
・唐突な自分語りで恐縮ですが、私が本記事を書いたのは3月上旬。年度末ということもあって、自分のキャリアについて考えていた。転職、資格取得、エトセトラ。最初は新たな事に挑戦する前向きな気持ちが強かったが、やがて莫大な不安に押し潰された。人生の悩みを知人に打ち明けていると、ボロボロに泣いてしまった。つい先日の出来事だ。
・そんな時期に読んでいたからだろうか。この物語には、特に補習授業部のみんなには背中を押される思いがした。2章ではめげずに努力して学力試験に合格し、3章では友人のために奮闘する彼女達の姿に、胸を打たれた。
・思えば、私は小学生の頃から悩みが多い子どもだった。しかし、そうやって「子ども」の頃をどこかで引きずり続けているのなら、ヒフミが続けようとする青春の物語ってやつを、私も目指してみようと思う。私はこれから先の人生で、何度も悩み、何度も挫折するだろう。それでも、辛い思いをしたからこそ成長したこともあって……「大人」と呼べるほど立派なものではないかもしれないが、少しずつ変わった。証明しえぬ楽園の存在を信じて、祈り続けて、どうにかこうにか小さな一歩を踏み出していきたいと思う。
・……と、自分の人生と照らし合わせて語りたくなってしまうくらいには、今の私には響くものがありました。ブルアカのシナリオは「子ども」と「大人」の対比が印象的だ。大人から教えるべきことが多いのはもちろんだが、それと同じくらい子どもから教わることも多いなと痛感させられる。
・これからも生徒達の成長を見守り、その姿から私自身学んでいきたいと思います。実装順で読むなら次は「カルバノグの兎編」か。今度はどんな生徒達と出会えるのだろうか。それではまたどこかで。
<ブルアカ関連記事>