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全て虚しくとも、その熱情は——エデン条約編2章・感想【ブルーアーカイブ】

「すべてが無駄なら 私たちはなぜ 生きてるんだろう……」

・シャーレに招くと、アズサはそんなことをつぶやいた。vanitas vanitatum——全ては虚しい。彼女が思い悩むに至ったきっかけは何なのか。私は先生としてどう答えるべきか。真摯に向き合いたいと思います。それではエデン条約編2章「不可能な証明」の感想をお届けして——

〜アズサの絆トーク鑑賞〜

あ゛っっっっ!!!!!(即死)


<前回の記事はこちら>


愛と平和、理性と暴力

「生徒名簿とかそういう書類を全部捏造して、あの子を入学させた。」

・アズサはアリウス分校の生徒。身分を偽ってトリニティ総合学園に潜入中。裏で手を回していたのは、トリニティの生徒会長であるミカ。彼女はその目的について「トリニティとアリウスを和解させるため」と語る。

・そもそもアリウス分校って何?🤔 話はトリニティ総合学園創設時に遡る——トリニティ総合学園は、第一回公会議を経て、争い合っていた3つの主要校が和解することで創設された。同時に主要校以外の分派も統合。争いなんかやめよう! バカらしいよ! ラブ&ピース! その決定に最後まで反対していたのがアリウス。

・前回の記事でも少し触れた通り、元ネタはキリスト教史上初の公会議であるニカイア公会議、およびそこで異端認定されたアリウス派。「異端」と聞くとダークファンタジーなイメージが想起されるが、あくまでも思想上の対立であり、アリウス派は黒ミサや悪魔崇拝をしていたわけではない。

・ブルアカにおけるアリウスも、元々は反社会的集団ではなく、方向性の違いからトリニティと袂を分かつことになった。ミカ曰く、経典に関するちょっとした解釈違いや、ゲヘナ学園に対する憎悪があったのだという。

・巨大な軍事力の誕生。その実力を確かめるのにちょうどいい異分子がいる——当時のトリニティはアリウスを徹底的に弾圧。その残党が今なおキヴォトスのどこかに潜伏している。そんな歴史の闇に葬られた学校の生徒がアズサ。

「人間の不幸は部屋でじっとしていられないがために起きる」——哲学者パスカルの言葉が何となく思い浮かんだ。トリニティを暴力に駆り立てたのは、異分子がいる不安感か、新しいオモチャを試したい好奇心か、新時代の平和を築こうとする良心か。いずれにせよ、アリウスという存在を黙って見過ごすことはできなかったのだろう。人間は悪意のみではなく、理性に基づいて暴力という結論に達しうる。

「私はあの子……「白洲アズサ」という存在に、和解の象徴になってほしかったの。」

・長年に渡る因縁を断つために、ミカはアズサをトリニティに引き入れた。トリニティとアリウス、両校が和解できる未来を信じて、たった一人で奮闘しているのだ。

・ミカにはもうひとつ目的がある。それはナギサの暴走を止めること。エデン条約——トリニティとゲヘナ、両者のメンバーで構成される中立組織・エデン条約機構(ETO)を創設して仲良くやっていきましょう! ……聞こえは良いが、その実態は、キヴォトス最高峰の軍事力を誇る両者を合わせた、誰も対抗できない巨大な武力集団の誕生

「……連邦生徒会長が行方不明っていう、こんな混迷の時期に。」

・圧倒的な軍事力を手中に収めたナギサは、はたして何をするのか。気に入らないものを徹底的に排除するのではないか。かつてトリニティがアリウスにそうしたように。あー……確かによく言いますよね。巨大な権力を手にした時に、その人の本性が表れるって。

・ナギサは「トリニティの裏切り者」を探し出すと豪語する。アリウス分校の元生徒であるアズサと、彼女を用意したミカがそうだと言えるかもしれないが、見方を変えれば……これまで調和を保っていたトリニティを巨大な怪物(リヴァイアサン)に変えようとしているナギサこそが、本当の裏切り者だと言えるのではないか? ミカはそう語る。

・ナギサとミカ、どちらもトリニティの未来を思っての行動だが……そのやり方は正反対だ。前者は暴力による排斥、後者は手を差し伸べて和解。少し長くなるが、人生で3番目に好きな本からこの文章を引用する——

聖書に「右の頬を打たれたら左の頬をも向けよ」と書かれているから、キリスト教徒はみな、せめて建前上は絶対平和主義者であり非暴力主義者だろうと考えるのは、「宗教」に対しても「戦争」に対しても、認識が甘いのである。もちろんなかには、いかなる暴力をも拒否して平和主義を貫徹する人たちもいた。今でもいる。しかし、そうした彼らは、キリスト教全体のなかでは、あくまでも少数派であり、珍しい連中に過ぎないというのが現実である。
[……]同じ信仰のもとに生き、同じように愛と平和を祈っているように見えても、現実的な振る舞いとして選び取られる選択はさまざまである。それぞれが、自分のやり方こそ正しいと思い込み、あるいは、正しくはないがその状況ではそう振る舞うしかないと考える。互いに批判したりされたりしながら、困難な現実のなかでどうにかやっていこうとするのが、キリスト教徒たちの現実であり、人間の現実なのである。

「キリスト教と戦争」p.69~70 石川明人

・ナギサとミカはまさに、同じように「愛と平和」を祈りながらも正反対の選択に至りうることを——人間の現実を、鮮明に映し出しているように思う。

……まあ、でもこれも含めて全部全部、私からの一方的なお話でしかないよ。
だから、もちろん最終的には先生が決めて。白洲アズサを守るのか、裏切り者を見つけるのか……ナギちゃんを信じるのか。それとも、私を信じるのか。

・ミカは最後にそんな言葉を残す。押してダメなら引いてみろってか。やめろよ好きになっちまうだろ。先生は惚れっぽいんだぞ。

・うーん……読めないなあこの子。過酷な運命を前にして気丈に振る舞っているようにも見えるし、ジョーカーを隠し持っているようにも見える。最初はただのドジっ娘だと思ってたけど想像以上に奥が深い。まあCV:東山奈央だから当然か……っていかんいかん、「俳優が豪華なヤツが犯人だ」みたいなメタ推理はよくないぞ私!

・疑惑と陰謀。愛と平和のイロニー。善悪の基準は立場によって容易に変わる——今後の展開の布石になりそうなテーマが散りばめられたミカとの会話。な ん と ま だ 1 話 ! 重てえ……ひとまず夕飯食べてから続き読むか……


ハナコ

・シリアス回の後といえば……みんな待たせたな!! テコ入れ回だ!!!

水着パーティー!!
シリアスとえっちの温冷交代浴で疲労回復だぜ!!

・ちなみに夜這いイベントもありました。ブルアカ特有の倫理観狂った展開、俺クセになっちまったよ……責任取って?

・その間にあったことは——紆余曲折あって、ハナコが少しだけ秘密を打ち明けてくれました。やはりわざと試験に落ちていた。その目的までは教えてくれない。

「……ありがとう、ハナコ。」

・ますます謎が深まるばかりだが……みんなが退学処分にならないよう、今後の試験では努力すると約束してくれる。よかった。みんなを大切に思ってくれる気持ちは本物なんだね。それなら信用できる。

・ハナコ、もしかして露出癖には深い理由がある?🤔 元は敬虔な信徒だったけど、陰謀に巻き込まれて還俗して、それに対する疑念や禁欲生活の反動でこうなっちゃったとか? ギャグ描写が思わぬ伏線だった、が全然ありえるんだよなこのゲーム。でも一切関係なくただただ個人的な性癖だったら、それはそれでめちゃくちゃ面白いよなあ……ほんとズルいよこの子。

・何にせよ、この子が引っ掻き回してくれるおかげで、ともすればシリアス一辺倒になりそうなこの物語に、休息地となるオアシスが生まれているのは事実。ありがとうハナコ。コハルもちょっとは大目に見てあげてね?


疑心暗鬼

美食研究会 会長
黒舘(くろだて)ハルナ

・息抜きも必要だよねーってことで、みんなで夜の街へ。すると、ゲヘナ学園の美食研究会が暴れ散らかしていました。この子が部長。吸血鬼っぽい見た目。DECO*27「ヴァンパイア」のポーズしてほしい。マスク外して横顔で口あーんってするやつ。

・現場ではトリニティ総合学園・正義実現委員会のハスミがドカ食いを……おっと、たまたま居合わせていました。本来であれば正義実現委員会が動くのが道理。しかし、エデン条約締結前で緊張が走るこの状況下、トリニティ自治区でゲヘナ学園の生徒を取り押さえてしまうと、外交問題に発展しかねない。なので中立組織であるシャーレの先生、およびトリニティ上層部とは無関係な補習授業部のみんなが鎮圧することに。

・部員イズミ以外は確保。シャーレからゲヘナ学園風紀委員に引き渡す形に。すると先方も、政治とはあまり関わりのない救急医学部の生徒を差し向けてきた。お互いに薄氷の上を歩んでいる感じだ。まさに一触即発の状況。ここは先生として冷静に対処しないと——

風紀委員会 委員長
空崎(そらさき)ヒナ

・あっ❗❗ ヒナちゃん、おひさっ😍 絆トーク💞以来だネ❗️✋ ヒナちゃんの髪の匂いまた嗅ぎたいナ……σ(^_^;)ナンチャッテ あっソーダ🥤 エデン条約に関するヒナちゃんの考え、聞かせてもらえないかナ?🤣 ナギサちゃんが悪いコト😈を企んでるって、ほんとカナ?😰 ミカちゃんから聞いたんだけド……

条約によって生み出されるエデン条約機構(ETO)……あれを武力集団と捉えたところで、あれはナギサが単身で統制できるようなものじゃない。
万魔殿のリーダーであるマコトも、ナギサと同等の権限を持つことになる。
それだけじゃなく、他のティーパティーや万魔殿のメンバーに対してもある程度の権限が分割される。だからETOの誰かひとりの意志で本来の目的を失って、暴走するようなことは考えにくい。

クソッ、あの女狐め……! ——いや待て。ミカはトリニティ総合学園の歴史から鑑みた、最悪のシナリオを想定しただけであって、先生に悪意のある嘘をついていたわけじゃないかも。そういえば、1章プロローグでセイア(※ケモミミ)がこんなことを言ってたな……

もしかしたらこれから始まる話は、君のような者には適さない、似つかわしくない話かもしれない。
不快で、不愉快で、忌まわしく、眉を顰めるような……
相手を疑い、前提を疑い、思い込みを疑い、真実を疑うような……
悲しくて、苦くて、憂鬱になるような……それでいて、ただただ後味だけが苦い……そんな話だ。

・前提を疑う。まさにそんな状況に置かれた。ナギサの目指すところは暴力ではなく、むしろミカが悪だくみしてる……? ううむ、わからなくなってきた……

「私はちゃんとヒフミのことを理解できているのか、それともやはり私が知らない真実があるのか……私には分からないのです。」

・と、そんな風に疑心暗鬼になっているのは、私だけではなく、ナギサも同様だった。エデン条約を成就させるために、不安分子は全て排除する。そのための補習授業部。こよなく愛しているヒフミのことすら、「恐 ろ し い 犯 罪 集 団のリーダーである」という情報を受けて、疑いの眼差しを向けるようになった。……えっと、あの、その件については深い理由がありまして——って言えないか。銀行強盗の件が公の場で知られたら、補習授業とは関係なしに退学処分にされかねない。

・先生もミカを疑い始めたから、ナギサのことは強く責められないけど……補習授業部のみんなまで疑おうとは思わない。ハナコだってみんなを思う気持ちは本物なんだから。しかし、ナギサはそれすらも——さながら「走れメロス」の暴君ディオニスのように、疑念が膨れ上がって仲間にすら敵意を向ける心理状態に陥っている。それでは自分の首を締めるだけだ。ふふん、だったら、そこから救い出す勇者メロスが必要だな?

「君を、そこから出してみせる」

・勇者はいるさ。私が……いや、私達がメロスだ。見てろよ。みんなで次の学力試験に合格してみせる。私達の結束力を見せつけて、ナギサを改心させて——

あのーすみませーん
どうして学力試験なのに「⚔️戦闘」って付いてるんですか?


第2次特別学力試験

「げ、ゲヘナで試験を受けるんですか!?」

・ゲヘナ自治区は無法地帯。条約締結前なので安全保障なんてあるはずもなく。加えて、試験範囲は3倍に拡大。合格ラインは90点に引き上げ。それを試験前日に発表……鬼! 悪魔! ナギサ!

洋画のアクションシーンを思わせるド派手なスチル
額縁に入れて飾りたい

・試験地に赴いてみると、温泉開発部が市街地で爆発騒ぎを起こしており、その混乱に乗じて美食研究会が脱獄。補習授業部は彼女達に協力を仰いで検問を突破するも、風紀委員に追跡される。結果、ご覧の通りの光景に……おいどうなってんだよゲヘナ自治区!! ブラックマーケットですらここまで治安ひどくなかったぞ!?

・何とか試験は受けられましたが、試験用紙が木っ端微塵に吹き飛ばされて全員不合格になりました。爆発オチなんてサイテー!

・ナギサ、解決方法が脳筋すぎる。優雅に紅茶を飲みながら「ふふふ……全部吹っ飛ばせば解決ね」って考えてたのか。補習授業部のみんなには悪いけど笑っちゃった。これさすがにナギサは更迭されるんじゃないの?🤔 試験前日の急変更はアンフェアだし、生徒を危険な試験地に赴かせたのは責任を問われるはず……いや、それもこれも「条約締結のためやむなし」と揉み消されるって寸法か。


全て虚しくとも

「……ティーパーティーのナギサが探してる「トリニティの裏切り者」は、私だ。」

・最終試験を前にして、アズサが補習授業部のみんなに告白。ナギサが探している「トリニティの裏切り者」は自分であること。アリウス分校の生徒として、ナギサのヘイローを破壊するよう命じられていること。そして——

「最初からナギサさんを守るために、ナギサさんを襲撃する任務に参加した……いわば、二重スパイ。」

・アズサ自身はその任務を拒否し、ナギサを守ろうとしていること。その理由は、補習授業部のみんなを守りたいから。

何かを学ぶということ、みんなで何かをするということ……。
その楽しい時間を、私は手放せなかった……。
……まだまだ知りたいことが、たくさんある。
海とか、お祭りとか遊園地とか……行きたいところも、知りたいこともまだまだたくさんあって……。

・かげがえのない日々を、未来を守るために。トリニティをアリウスに潰させはしない。vanitas vanitatum(全ては虚しい)と彼女は唱えていたが、その後には必ず、前向きな言葉を付け足していた。

「……うん。たとえ全てが虚しいことだとしても、それは今日最善を尽くさない理由にはならない。
「それにあの事態は気の毒だけど、いつまでも虐げられてるだけじゃダメ。それがたとえ虚しいことであっても、抵抗し続けることを止めるべきじゃない。

・そんなアズサの姿勢に、ハナコは感化されていた。ハナコの過去が明かされる——成績は常に最優秀。そんな彼女を他人が放っておくはずはなく、シスターフッド、ティーパーティーと引く手数多であった。しかし、どこもかしこも嘘と偽りで飾り立てられた、欺瞞に満ちた空間。誰も自分の本当の姿を見てくれない、全ては無意味だ……そんな彼女を救ったのが、補習授業部であった。お互いに悩みや本音をさらけ出し、同じ目標に向かって切磋琢磨する。ハナコにとって補習授業部は、嘘偽りのない、"丸裸"の姿で過ごせる唯一の場所だったのである。やっぱりあの露出癖には深い理由があったのか……

・いったん涙拭きます。……少し解説を挟みますと、前記事で触れた通り、「コヘレトの言葉」は「すべては空しい」という言葉から始まる。厭世的でネガティブな言葉のように聞こえるが、実は続きがある。アズサやハナコの心情を踏まえた上で、これを読んでほしい——

若者よ、お前の若さを喜ぶがよい。
青年時代を楽しく過ごせ。
心にかなう道を、目に映るところに従って行け。
知っておくがよい
神はそれらすべてについて
お前を裁きの座に連れて行かれると。
心から悩みを去り、肉体から苦しみを除け。
若さも青春も空しい。

「コヘレトの言葉」11:9-10 新共同訳聖書

・いかがだろうか。「若さも青春も空しい」——その言葉が、前向きであるように聞こえてこないだろうか。宗教書の言葉と聞くと眉をひそめてしまう人もいるかもしれないが、生の哲学として、ひたむきな言葉であると私は思う。カミュ「不条理な論証」も踏まえると——世界は死と不条理を突きつけてくる。しかし、そんな世界の「無関心」にこそ、人は仮初めの自由を幻視する。全ては虚しい。だからこそ、自分の愛する者のために生きなさい、自分のやりたいことを精一杯やりなさい。それがこの言葉の説くところなのである(あくまでも私の解釈だが)

・結論ではなく、出発点。世界が広大無辺な砂漠であることは前提条件であり、そこでどう生きるかが問題なのだ。そして、先生が答えるまでもなく、アズサとハナコはその答えを手にしていた。そこに辿り着くまでに、どれほどの苦悩が、そして、どれほどの喜びが、二人の胸に溢れていたことだろう。その心情を思うだけで……すみません、マジで涙と鼻水が止まらないです。いったん風呂入ってリセットしてきます。

涙を堪えて (錆び付いた心の)
虚しさ殺して (枯れ果てた景色を)
どこまで遠くへ (どこまでも遠くへ)
僕ら行けるだろう

「センチメンタル症候群」Hello Sleepwalkers


トリニティの裏切り者

「これまで様々な嘘や策略の中で弄ばれてきましたが……今度は私たちの方から仕掛ける番です。」

・試験会場である第19別館は、ナギサの命令により、正義実現委員会が厳戒態勢を敷く。また、同時刻にアリウス分校も襲撃作戦開始を予定。堂々と試験に合格するには……トリニティとアリウス、両方の勢力を相手にした上で、安全な状態を確保して試験に臨まなければならない。

・補習授業部による作戦が開始。深夜。まずはハナコの先導により、ナギサを安全な場所へ隔離。アリウス分校は本当の「トリニティの裏切り者」からこの情報を受けて、予定より早く襲撃を決行——そこをアズサのゲリラ戦術で撃滅していく。戦闘員の総数が減ったところで、補習授業部総出で迎撃。戦闘部隊の全滅に成功。いいねー。時計じかけの〜編1章でテンション上がった戦闘描写の妙、ここでもしっかり活かされてる。

・間もなくアリウス分校の増援部隊がやって来るはずだが、襲撃を察知した正義実現委員会が到着するまで時間を稼げば問題なし。……と思いきや、委員会が動く気配はない。混乱の中、アリウス分校を率いて現れたのは——

何やってんだミカぁ!!

・聖園ミカ、私が本当の「トリニティの裏切り者」だと堂々宣言。

・動機はエデン条約の阻止。ミカはゲヘナ学園を忌み嫌っている。その点で利害が一致しているアリウス分校と結託。ナギサを更迭して、自らがティーパーティーのホストとなり、枢要部メンバーをアリウス分校の生徒にすげ替えることで、トリニティを支配する算段。全てはキヴォトスからゲヘナという存在を抹消するために。

・ちくしょう、ジョーカーを隠し持っているように感じていたけど、まさかここまで大それたことをやってのける生徒だったとは……エデン条約で巨大な怪物(リヴァイアサン)が生まれるうんぬんも先生を騙すための言葉。ナギサは暴力による解決、ミカは和解による解決、という構図が一瞬でひっくり返った。マジでゾッとしましたこの場面。

・こちらは補習授業部の4名。対して向こうはアリウス分校の大軍勢。ミカの策略により、トリニティのあらゆる勢力が封じられてしまったので、増援は望めない。絶対絶命のピンチ。と思いきや——

ケモミミ! ケモミミがいます!

シスターフッド参戦。劇中ではあまり説明がなかったが、ティーパーティとは独立した集団らしい。中世ヨーロッパにおける叙任権闘争のように、俗権VS教権という感じの対立構図なのだろう。

・シスターに銃。慈愛と武力。祈りを捧げるように瞑目しながらも、その手には逆徒に下す鉄槌が握られている。美しい……こういう作品ならではのキャラデザって感じでいいですね。額縁に入れて飾りたいスチルだ。

・彼女達がティーパーティーの内紛に介入するのは、慣習に反している。ハナコは何かを代償に彼女達を呼び寄せたようだ。ともかく形成逆転。ミカは最後まで抵抗を続けたが、間もなく無力化された。

「……あの言葉を聞いた時は本当に、本当に嬉しかったんだ。」

・正義実現委員会に連行される別れ際、ミカは「先生が味方だと言ってくれたことは嬉しかった」と語る。何かが違えばこの結末も変わっていたのかな……でも、そうはならなかった。ならなかったんだよ、アロナ。だから——この話は、ここでお終いなんだ。


エピローグ

ハナコ—100点(合格)
アズサ—97点(合格)
コハル—91点(合格)
ヒフミ—94点(合格)

よっしゃああああああああああ!!!!

・みんなよく頑張った!! ずっと徹夜で勉強して、アリウスを退けて、ヘトヘトになりながらも、よくぞ……!! みんな自慢の生徒だよ!! 長かったけど、これで平穏な学園生活を——

「……でもまだ、エンドロールには早すぎる。」

えっ

「全ては、破局へと収束していく。」

ねえなんでそんなこと言うの!!!!

ねえ!!!!!!
やだやだやだやだ!!😭


完走した感想

ここから心をぐちゃぐちゃにされそうな予感するわ。

・全4章っぽいから、まだ起承転結の「承」だもんな。私も、もっともらしいことを語ったけど、「これを見てもそう言えるかあ!?」って突きつけて来るのが、ここからの展開なのかなあ……はーしんどい。

・少し自分語りをしますと……私自身は無宗教ですが、一時期は宗教学に関する本を読み漁っていました。歴史上、宗教は人を排斥と暴力に駆り立てたことが数え切れないほどあるが、人を救ってきたのもまた宗教。そこにイロニーを感じ、また、不合理な現実の中でより善く生きようとする人々の姿を垣間見ることで、どこか救われる思いがしました。

・エデン条約編2章はまさにそんなお話でした。タイトルは「不可能な証明」——誰かの心の内も、あらゆる行為の果てにもたらされる平和が本物であることも、誰も証明できない。それでも人は歩みを止めない。止めることができない。そんな、理想と現実の狭間で必死にもがく普遍的な人間心理が巧みに描かれた物語でした。偽りと陰謀、そのベールを剥がしてみれば、みんな不安を抱えていた。なるほど、ハナコの言うように、人は全裸になることも時として必要なのかもしれないな……?

・私にどストライクなストーリーだったなあ。さてさて、3章はどんな内容なんだろう——

ついに迎えた、エデン条約調印式の当日。
平和に見えていた日常に亀裂が入り、混乱と憎悪
が加速する。

ねえ!!!! なんで!?!?!?!? ヒナのメモロビ回収してから読むか……それではまたどこかで。


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